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7.ゲームではスキルを早く上げたいが、早く上がりすぎるとやる気が削がれる矛盾

ギルドのほうに戻ったが、ギルドには入らず、そのまま訓練所に向かった。


訓練所では何人かの冒険者が訓練をしている。


いずれの冒険者も複数人で行動しており、一人でいるのは俺だけだった。


なんだか少し寂しくなったが、現時点ではどうしようもない。


早く戦えるようになって誰かにパーティーに誘ってもらえるようになるか、自分から誰かを誘うしかない。


そのためにもまずは基礎練習からだ。



まずはランニングを行ってみる。

短い距離を速く走るのと、ゆっくり走るのを繰り返す。

それから、長い距離をゆっくり走る。


その後、木剣での素振りを行って、調子を確かめる。

昨日に比べると幾分ましな動きができているように思う。


とはいえ、まだまだ異世界に来てから2日目。

そんな短期間では劇的な成長も望めないだろう。


とにかく今は回数をこなしていくしかない。

雑な動きにならないように気を付けながら体を動かしていく。


いつの間にか訓練所の冒険者の数は減り、太陽の光も赤味を帯びてきた。


「今日はそろそろ終わりにしよう。」


一人でそんなことを言っても誰も返事を返してくれる人はいないのだが、何となく口に出してみた。


井戸の水で汗を流して宿に戻った。


「おう、お疲れさま。

もうそろそろご飯できるぞ。」


「ただいまです。

分かりました。」


宿に帰るとちょうど夜ご飯の時間であった。


おなかのすいていた俺は今日の夜ご飯もしっかりと食べた。


「ごちそうさまでした。」


食べ終えた後は、部屋に戻り少しゆっくりとした。


お腹が落ち着いた後に軽くストレッチと腕立てをして早めに眠った。


なんだか単調な日々だが、今基礎をしっかりと固めていくことはこの世界での今後の生きやすさにも直結してくるだろう。


それから1週間ほどは同じような日々の繰り返しだった。


ゴードンさんがいるときには街の外に出てスライム討伐と薬草採集。

ゴードンさんがいないときには訓練所で自主練習をした。


するとステータスにある変化が起きた。


__

スキル

剣術 レベル1

__


「この世界はスキル制なのか。」


とはいえスキルを手に入れた瞬間に何かが特別変わったということはなかったと思う。


おそらくスキルを得て技術が身につくのではなく、技術の習得具合でスキルがあらわれるのだと思う。


つまりはこの1週間の練習により、俺は剣術レベル1程度のことができるようになったのだろう。


であるならばスキルがあらわれたからと言って特段何かが変わるわけではないのだが、練習の成果が認められたような気がして嬉しくなった。


それにこの1週間でこちらの生活リズムにも慣れてきた。


朝は日が昇る前に起き、夜は暗くなったら眠る。


毎日3食しっかりと食べているおかげでかなり健康的な生活を送っているといえるだろう。



それに昨日ゴードンさんとの訓練が終わった後のこと、


「そろそろスライムにも慣れただろう。

明日はゴブリン狩りに行こう。」


「わかりました。」


「ゴブリンは木剣では役不足だ。

ギルドの剣を貸してやるから、午前中はその剣でスライムを狩り、午後にゴブリンを狩るぞ。」


「はい!」


スライム狩りを卒業し、次の段階としてゴブリン狩りに行くことになった。


ゴブリンはスライムとは異なり、群れで行動している。

それに中には武器を持っている個体もいるため、より気を付けなければならない。



新たなモンスターと戦うことの不安と、自分の力がどの程度通用するのだろうという期待で少し興奮していた。


しかし、今日も訓練で疲れ切ったせいか俺の意識はすんなりと闇の中に溶けていった。



次の日いつもより少し早く起きてしまった。


やはり少し緊張しているのだろうか。


訓練所に出た俺はいつも通り顔を洗い、身体をほぐした後、素振りを行った。


朝ご飯を食べた後、ギルドに向かった。



「アリスさん、おはようございます。」


「あ、セイタさん。おはようございます。」


アリスさんとはこの一週間で何度かしゃべったがまだ何となく緊張してしまう。

それでも最初に比べるとだいぶ慣れてきた。


「今日もゴードンさんと訓練ですか?」


「はい。今日はゴブリンの討伐に行く予定です。」


「そうなんですね。気を付けてください。」


「はい、ありがとうございます。」



そんな話をしていると奥から鉄の剣を2本持ったゴードンさんが出てきた。


「おう、おはよう。

これがお前の使う分だ、気をつけろよ。」


「おはようございます。

あ、はい。ありがとうございます。」


ゴードンさんに渡された剣は片刃の片手剣でしっかりと砥がれていた。


ただ、刃は包丁のように切れ味のよさそうなものではなく、少し厚めであった。



「よし、んじゃあまずはスライムで慣らすぞ。」


「はい。」



街を出た俺たちは草原に向かった。


「よし、じゃあその剣でスライムを狩ってみろ。」


「わかりました。」



スライムに近付いていく。

スライムがこちらに気づいてとびかかってくる。


「おりゃ!」


木剣よりも重い鉄の剣の一撃がスライムの身体に当たる。

若干の抵抗はあったものの鉄の剣はその重さゆえにスライムの身体にめり込む。


ただそれでも切り裂くには至らず、身体の三分の一ほどまでで止まってしまった。


勢いのなくなったスライムはそのまま地面に落ちた。


俺はそのスライムを突き刺してとどめを刺した。



「よしよし、まあいいぞ。

だが少し剣に身体が持っていかれてるな。

もう少し力を抜いて下半身を安定させて切るんだ。」


「はい、わかりました。」


それからゴードンさんの手本も見つつ俺は鉄の剣でスライムを倒した。


「よし、一回ギルドに戻るぞ。

飯を食った後は森でゴブリン討伐だ。」


一度街に戻り、ギルドに併設されている食堂で昼食をとる。


昼食を食べながら改めてゴブリンの特徴を確認し、気を付けることなどをゴードンさんから聞いた。


あまり身体が重くなっても困るので昼食はそこそこにして俺たちは再び街を出た。


ブックマークありがとうございます。

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