6.鉄製の剣ってかなり重そうだけどそうでもないんだろうか?
図鑑は絵と文で構成されており、先ほど採集した薬草についても書かれていた。
多くはゴードンさんが話してくれた内容とかぶっていたのだが、より詳しく書かれているものもあった。
それからモンスターについては、スライムだけでなく、ゴブリンやオークについてもその特徴が示されていた。
曰く、ゴブリンは体長約100cmほどで力はそこまで強くない。
しかし、最低でも2,3匹の群れで行動しているため、初級冒険者が一人でいると危ないと思われる。
また、中には冒険者の落とした武器などを使うものもいるらしい。
繁殖力が強く、まれに大繁殖することがあるらしいが、多くの場合はそこに至るまでに他のモンスターに食べられてしまうそうだ。
ただ、一度大繁殖すると、群れを統率するのもがあらわれる。
ゴブリンリーダーと呼ばれるその個体は1匹であってもそこそこの戦闘力を持ち、一般的なDランクの剣士と同等の力を持つといわれている。
ゴブリンの魔石は1個銅貨3枚とそこまで高くはないものの数を集めれば、稼ぐことが出来そうだ。
一方でオークは体長約200cmの巨体で、基本的に単独で行動する。
攻撃力が高く、初級冒険者がその攻撃に当たると、一発で戦闘不能になりかねない。
ただ、その巨体のせいか足はそこまで早くない為、走って逃げることが可能である。
俺がもしであったとしても、戦闘にならなければ大丈夫だと思われる。
オークは主に魔石よりもその肉が収入源になる。
魔石も1個銀貨1枚とそこそこではあるが、一匹のオークからとれる肉の量は、可食部で約70kgである。
それが1kgあたりだいたい銀貨2枚、70kg分だと金貨14枚になる。
もちろんその時々で相場は変わるのだが、オークが狩れるようになれば生活はかなり安定しそうだ。
その他のモンスターの情報も書かれていたが、この街の近辺には出現することはほとんどないらしい。
一応目は通したが、この街から出ることになればその時にまた確認したほうが良いだろう。
それから、図鑑の後ろの方には簡単な地図が書いてあり、この街の名前は『スノーデン』というらしい。
国の名前はサージナル王国というらしく、スノーデンは王国の南側に位置している。
人口は一万人ほどで現在の領主の名前はダーナル・スノーデンというらしい。
王国の北側には海があり、西と東は他の国に面している。
ここからさらに南はいくつか街があり、そのさらに南は大きな森になっているらしい。
まあ今の俺にはほとんど関係ないだろう。
そんなところで、一通り読み終えた俺は少し伸びをして周りを見渡してみる。
今の時間は冒険者は外に出ているのかあまり人はいない。
カウンターにも人が並んでおらず、受付も一か所しか開いていない。
アリスさんではないが、女の人が対応している。
「あの、ゴードンさんに図鑑を借りて読み終えたので返しに来たんですけど。」
「はい、わかりました。
ではお預かりします。」
俺は、その女の人に図鑑を渡した。
奥の方で仕事をしていたゴードンさんと目が合った。
「ありがとうございました。」
「おう、お疲れさま。
明日も来るのか?」
「はい。そのつもりです。」
「了解。
まあ今日とおんなじ時間に来てもらえれば大丈夫だ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
挨拶をした俺はギルドを出た。
少し街を見てみようと思い、お店が並んでいる場所に足を運んだ。
お昼を過ぎて少し静かになった商店街は見たことないものもたくさん並んでいた。
とはいえ、買ってもどうしようもないので見るだけ見ていた。
すると一軒の店が目に入った。
看板には『武器・防具店』と書かれている。
「買うことは出来ないと思うけど、少し見てみたいな。」
店に入ってみると、確かに剣や盾、それから鎧のようなものが置いてあった。
「いらっしゃい。」
声をした方を向いてみると、そこには髭を伸ばしたおじさんが一人座っていた。
おそらく手元で何か作業をしていたのだろうが、俺が来たのでいちっど作業を止めたのだろう。
「何を買いに来たんだ?」
そう聞かれたが、特に何かを買いに来たわけではない。
「いえ、少し入ってみただけでして・・・」
「なんだ、そうか。
まあ見て減るもんでもないし存分に見てくれ。」
そう言うとそのおじさんは手元の作業を再開した。
あの人はドワーフなのだろうか。
じっと見るのも失礼だと思ったので、ちらりとしか見ていないのだが、俺の中のドワーフのイメージ道理の姿である。
とりあえずおいてある剣を見てみるのだが、良し悪しはあまり分からない。
値段は安いものでも金貨50枚からで高いものだと金貨1000枚以上のものもある。
ここに置いておいて防犯的には大丈夫なのだろうか?
一応高いものには説明がついており、材料が何とかの牙だとか、何とかの骨だとか、おそらく鉱石の名前だと思われるものなどが書かれているが、たいして理解はできない。
安いものは鉄製だと思われる。
「あのー、すいません。
これすこし持ってみてもいいですか?」
「ああ、気を付けてくれよ。」
一番安い剣で、俺が使っている片手剣に一番近いものを持ってみる。
ずっしりと重く、木剣よりもかなり重量がある。
これを扱うのはなかなか大変そうである。
剣を元に戻してお礼を言った俺は、店から出て再びギルドのほうへ戻った。
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