42.実習って大変そうだよね。なんか色々考えることがありそうで。
教会に着くと外にだれもいなかったのでドアをノックしてみる。
「こんにちはセイタです。」
中から子供たちの声が聞こえて、しばらくしてナーニャさんが出てきた。
「セイタさん。
お待ちしてました、どうぞ。」
ナーニャさんに笑顔で迎えられた俺は顔をニヤつかせながら教会に入った。
「それで、今日は如何されたんですか?」
「前回買った教本を読み終えたので新しい教本を買いたいと思ったのですが、ありますか?」
「もう読んだんですか?」
「はい。」
「でも、読んだといってもしっかり覚えてないとあまり意味はありませんよ。」
「多分覚えられたと思います。」
ナーニャさんが疑うような目で見てきた。
そりゃ俺だってびっくりしてるよ。
前世であれば1年、いや、2年かかっても覚えられるかどうか分からないような分量はある。
でもなぜかこの世界に来てから記憶力が爆発的によくなっている。
記憶力だけでなく、出てきた内容同士を関連付けることもできているのだ。
何でここはこうなっているんだろう。
ああ、もしかしてこんな理由だろうか。
なんてことが驚くほどスラスラと出てくる。
実際の正解はナーニャさんに聞いてみないといけないが、以前の俺であればそんなことを考え付くことはほとんどなかった。
これが『異世界の才能』の力なのだろうか・・・
「ではちょっと問題を出すので答えてみてください。」
そう言うとナーニャさんは部屋に戻って紙とペンを持ってきた。
「ありがとうございます。」
紙には10問ほど記述式の問題文が書かれており、いずれも教本の内容であった。
「この問題を解いてみてください。
教本の内容が理解できているのであれば1時間ほどで解くことができると思います。」
「はい、わかりました。」
「私はキッチンの方にいますので、出来たら呼びに来てください。」
ナーニャさんはそう言うと部屋を出ていった。
ちなみに教本は持ってきていないし、先ほども出ていく前に確認された。
一応テストみたいな感じだと思う。
問題に目を通してみる。
中には少し難しめの問題もあるが、全部答えは書くことができる。
なんて言ったって教本を丸暗記しているようなものなのだ。
教本を見ながら解いているのに近いような感じである。
俺はスラスラと答えを書き続け、大体30分ほどですべての答えを書ききった。
見直しもしてみたが、正しく書けているはずだ。
俺は部屋から出るとナーニャさんを呼びに行った。
「ナーニャさん、できました。」
「そうですか。
確認しますので、少しお待ちください。」
ナーニャさんと部屋に戻った俺はナーニャさんが答えを確認しているのをじっと待っていた。
さっきまでは自信があったが、無言で回答を確認されているとなんだか緊張する。
ナーニャさんはしばらく回答を確認した後、いくつか質問をしてきた。
俺が回答した内容についての質問であったが、それに対してもしっかりと答えることができたと思う。
「驚きましたが、本当にあの教本の内容を習得されているようですね。」
俺が質問に答えた後、ナーニャさんはそう言った。
「本来であれば、あの教本は3年をかけて習得するように書かれているものです。
それをたった2ヶ月で習得されてしまうなんて。
テストの回答も完璧です。
まるで教本をすべて覚えているかのようでした。」
まあ、実際にすべて覚えているとは思うが、そんなことは言わなくていいだろう。
「いえ、そんなことは。」
「この結果であれば次の教本を渡すことができます。
それに、光魔法を練習することもできますよ。」
「本当ですか?」
「ええ、ですが実際に光魔法を練習するとなるとこの教会に来ていただくことになります。
確かセイタさんは冒険者だったと思いますので、冒険者としての活動は少し休むことになるかもしれないのですが、大丈夫でしょうか。」
「どのくらいですか?」
「そうですね。
人にもよりますが、大体週に2,3回、時間は2時間ほどでしょうか。」
「帰ってパーティーメンバーにも相談してみますが、たぶん大丈夫だと思います。」
ナハナさんは基本的に俺が光魔法を習得することに賛成している。
もちろん俺が光魔法を覚えられれば冒険者としての活動がしやすくなるということもあるのだが、それに加えて、パーティーメンバーの募集にも大きなメリットがある。
正式に光魔法を習得している冒険者は少ないのでそれだけで入りたいと思う人は増えるだろう。
入りたい人が増えるのはいいことばかりではないかもしれないが、募集してくれる人が増えれば、こちら側の選択肢も増える。
光魔法を習得するまでにはかなりの年月がかかるのはナハナさんも知っているだろうが、可能性の一つとしては大いに賛成してくれているのだ。
「それから、こちらが次の教本です。
前回お渡ししたものは基本的な生物学特に生理学的要素が大きかったのですが、この教本は実際に光魔法を行うことに関しての教本になります。
もちろんセイタさん自身で勉強していただくこともありますが、多くの場合私と一緒に勉強することになりますので、あまり焦らずに頑張りましょう。」
「わかりました。」
本は金貨1枚で前回のものよりも高いが、前回と同じほどの厚みがあり内容はたっぷりとありそうだ。
「正直ここまで覚えるのが早い人は見たことがないので私が十分に教えられるかわかりませんが、私も頑張りますので一緒に頑張りましょう。」
「いえ、ナーニャさんに教えてもらえることになってとてもうれしいです。
頑張ります!」
美女に褒めてもらって舞い上がった俺は控えめにガッツポーズをしながらそう言った。
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