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2.冒険者ギルドの受付嬢は大体美人

まずは安全確保だ。


そう思った俺は少し周りを見渡してみた。

幸い、近くには何か動いているようなものもおらず、安全だと思われる。


転生していきなりモンスターに襲われたのではたまらない。


「で、ここからどうすればいいんだ?」


さっきまで話していた人からは何も聞いていない。


「うーん、こういう時は基本に忠実に・・・『ステータス』」


俺が小声でそう呟くと目の前に半透明のガラスでできたウインドウらしきものが現れた。


セイタ

年齢:20

レベル:1

恩恵:異世界の才能


一応情報を得ることは出来るが、必要最低限過ぎて何のことだかさっぱりだ。

と思ったが、よく見ると画面の右上のほうに『!』の記号がある。


そこを見ると、メールのようなものが開かれた。



「中山征太へ

これを見ているということはステータスを見ることができたということだろう。

異世界転生の小説を読んでいればそうすると思ったよ。

急に異世界に送られてびっくりしているだろうが、今君がいる場所は比較的安全なところだ。

心配しなくても大丈夫だ。

とりあえず近くの町に向かうといい。

それからこちらの言語をしゃべることができないと困ることもあると思い、基本的な読み書きと会話はできるようになっている。

さらにこれは私からのプレゼントだ、大切に使ってくれ。

神より」


そこまで読むとその画面は勝手に消され、目の前にコインが10枚とカードのようなものが1枚現れた。


地面に落ちたそれらを拾ってみると、おそらく金貨と思われるもの。

それから俺の名前とレベルが書いてあるカードだった。


「うーん、これはこちらの通貨だと思うが、いくらぐらいの価値があるのだろうか。」


というかあのしゃべっていた相手は神様だったのか。


異世界転生の定番ではあるが、あまりにテンプレ過ぎる。

もうちょっと丁寧な対応をした方がよかったかな。


まあ過ぎたことはしょうがない。

もしも今度会うことがあれば気を付けよう。


それよりも、言われた通り街に向かってみるか。

俺はコインとカードをポケットに入れて石壁のほうに向かった。


近付いてみると、それほど大きな石壁ではないが、けっこうしっかりしているように見える。


石壁の周りを歩くと少しして、門のようなものがあった。

そこには鎧に身を包んだ人が立っている。


近づくと向こうから話しかけてきた。


「こんにちは。身分証の提示をお願いします。」


「・・・はい、これでよろしいでしょうか。」


突然で少し戸惑ったが、先ほどのカードを見せると何か機械のようなものに通して、返してくれた。


「ありがとうございました。問題ないので、通っていいですよ。」


「はあ、ありがとうございます。」


あの装置が何だったのかは分からないが、まあ問題がないようでよかった。


俺は言われた通り門をくぐり中に入った。


門から入ってすぐのところには特に何もないのだが、少し離れたところには民家のようなものが立っている。


街の中には人?が歩いており、やはりと言うべきか動物の耳がついて尻尾が生えている人や、背が低くてがっしりとした髭の長い人がいる。


おそらく獣人やドワーフと呼ばれている人だろう。


もちろん普通の人もいる。

ぱっと見半分ぐらいは普通の人に見える。


物語の世界に入ってきたみたいでかなり興奮する。

とはいえ、それを伝える相手もいないのでソワソワしながら歩いてみる。


町ゆく人達は何やらしゃべっており、耳をすませば意味もしっかりと理解できる。

神様の言った通り、読み書きなんかは問題ないのだろう。


街の中を少し歩いていると、すこし大きな建物が見えた。

近付いてみると、看板には『冒険者ギルド』と書かれている。


おお、これがあの冒険者ギルドか!


特に何か考えているわけではなかったが入ってみた。


やっぱり、異世界と言えば冒険者だろう。

安易かもしれないが、異世界もののライトノベルを読んでいて冒険者ギルドの登録をしないことはなかなかないと思う。


中に入ると、大きめの郵便局とか銀行のような感じでカウンターがあり、その奥には何人か座って仕事をしている人がいる。


カウンターにはガタイのいい男たちがおり、カウンターの中にいる職員の人たちと何やら話をしている。


特に用事の無い俺は端によって黙ってある男たちの様子を見ていたのだが、どうやら何かを売りに来ているらしい。


カウンターの中にいる女性と何やら話をして、男たちがバックから何やら取り出すと受付の人がそれを見た後、後ろの机の職員にそれを渡した。


それから何度か言葉を交わし、再び男たちのほうを向き、コインを渡していた。


男たちはコインをもらうとそれをバックに入れて出て行ってしまった。



俺もカウンターに向かってみた。


カウンターの女性はかなりの美人である。

それに耳が長く先が細くなっている。

まさしくザ・エルフって感じの人だ。

美人に話しかけるのは少し緊張するが、他の受付には人がおり今はこの人しかあいていない。


「あのー、すいません。」


「はい、なんでしょうか。」


「私は初めて来たのですが、ここは冒険者ギルドですよね。」


「ええ、そうですけど。」


「私冒険者になりたくて来たのですが、どのようにしたらいいのでしょうか。」


「そうですか、ではこちらの方にお願いします。」


美人のエルフさんはそう言うと端の方にあるカウンターに案内してくれた。


「初めましてだと思いますが、私の名前はアリスです。」


「初めまして、征太と申します。」


「はい。それではセイタさんは冒険者になりたいということですが、冒険者ギルドのご利用は初めてですか?」


「はい。初めて来ました。」


「そうですか。ではまずこちらをご覧ください。」


そう言ってアリスさんは冊子のようなものを開き、冒険者ギルドについて簡単に教えてくれた。


聞いたことをまとめると、

冒険者ギルドでは主に依頼型のクエストと常時型のクエストがあるらしい。


依頼型のクエストは街の人からの依頼や、時にはギルドからの依頼によって成功報酬が設定されるクエストである。

これらは掲示板に張り出され、受けたいものをカウンターで申し込むことで受けることができる。

クエストを達成することにより成功報酬が得られるのだが、期間内に達成できなかった場合には、罰金が発生することもあるらしい。


また、冒険者を指名して依頼がされることもあり、その場合は冒険者が受けるかどうか選択することができる。



常時型のクエストは、主にはモンスターなどを倒すことによって得られた素材や、採集したものなどをギルドで売却することにより報酬がもらえる。

この場合は成功報酬もない代わりに、失敗による罰金もない。

自分が狩ってきたものを売却すればいいだけである。

ただ、おんなじ物でも時期や場所によって価格は異なるので、いつも同じ値段で売れるとは限らない。


そこは需要と供給のバランスであるらしい。



それから、冒険者にはランクがあり、A~Fまでの6段階で、Aに行くほどランクが高い。


これは主にはギルドへの貢献度と、達成したクエストの難易度によって分類されるのだが、依頼型のクエストを受けたほうがランクは上がりやすいらしい。



「それから、これは1番大切なことなのですが、冒険者は危険な仕事です。」

「低ランクの仕事であっても危険な目に合うことがあります。それを覚悟のうえで冒険者になるかどうかを決めてください。」


「やっぱり、危ないですよね。」


「そうですね。私も何人も依頼を受けたまま帰ってこなくなった冒険者を知っています。でも、自分のことを知り、しっかりと考えた上で行動すればそうそう命を失うことはありません。」

「それに冒険者は夢のある仕事ですからね。」


「夢のある仕事ですか?」


「はい。高ランクになれば報酬は一般の人の稼ぎとは比べ物になりませんし、危険なぶんしっかりと見返りのある仕事だと私は思います。」


「そうですか。」


「ええ、それでセイタさんは冒険者になられますか?」


俺は少し考えたが、やはり冒険者になることを決めた。

神様が言っていた通り、俺はこの世界で努力をするのだ。

自ら考え、行動することで冒険者として活動することができる。


そうであるならば、せっかくの異世界。

冒険者として活動してみたい。


「はい、よろしくお願いします。」


俺はアリスさんを見てそう言った。


「わかりました。それではカードをお出しください。」


おれはカードを出してアリスさんに渡した。


アリスさんは後ろにある道具を何やら操作してカードを返してくれた。


「はい、これでセイタさんは冒険者になりました。」


帰ってきたカードには職業の欄が追加され、そこには


『冒険者 ランクF』


と書かれていた。


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