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18.オーク挟み撃ちの陣

次の日、朝食を食べた後俺たちはギルドに向かった。


カウンターにいたのはアリスさんではなかったが1か所しか開いていないのでそこに向かう。


「すみません。

マジックバックを借りたいのですが。」


カウンターでそう頼むとサイズを聞かれた。


「アリスさん、サイズはどのくらいですか?」


「そうだなあ、余裕をもって200kgぐらい入るやつを借りておこう。」


「わかりました。」



俺たちはカウンターで銀貨5枚を支払いマジックバックを借りた。


あいにくゴードンさんの姿も見えなかったのでそのままギルドを出て森に向かった。



森に入ってからは俺が先を歩き、奥に向かう。


2回ほどゴブリンたちとの戦闘を行い、オークの活動範囲までやってきた。


「そろそろでてきますよ。」


「そうだな、慎重にいこう。」


2人いるとはいえ俺たちはどちらもEランク。


大股で森の中を闊歩できるほどの余裕はない。


しばらく歩いているとオークを見つけた。

どうやら食事中のようで何かを食べている。


食べ物に気を取られている今がチャンスだ。

俺はアリスさんに声をかける。


「行きます!」


後ろから回り込むようにして気づかれないように距離を詰めていく。


まずは俺一人で近付き、オークの気を引く。

その後、オークの意識が完全に俺に集中した時にアリスさんが魔法を放つ。


そう言う作戦だ。



俺はオークまで残り10mほどまで近づき、飛び出した。


オークは音で気づき、瞬時に振り向くがその時すでに俺は剣を振り下ろしていた。


完全に頭を捉えたかと思ったが、反応したオークが間一髪で間に手を挟み直撃はしていなかった。


それでも鉄の剣で腕を斬られたオークは怒りで俺に攻撃を開始した。


俺は攻撃に当たらないように大きめに距離を取りながらオークの気を引く。


俺が反撃をしないことを勝機と見たオークはさらに攻撃の手を強める。


「今です!」


その時、オークの後ろから火の玉が飛んできて、背中に直撃する。


オークは予想していなかった攻撃に一瞬ひるむも、俺から目を離すわけにもいかず、俺のほうをにらむ。


しかし、もう一度火の玉がオークを襲い、たまらずオークが後ろを向く。


そこには杖を持ったナハナさんが立っており、呪文を唱えている。


火の玉の攻撃主を見つけたオークは俺のことを無視してそこに向かおうとするが、そんなことはさせない。


俺はオークとの距離を一気に縮めると渾身の力で右ひざを斬りつけた。


ブシュッ

と皮膚が切れ、血が噴き出す。


さらに、攻撃の衝撃により膝がくの字に折れ曲がり、オークは膝をついた。


オークが振り向きざまに手を振り回すが、俺は再び安全な距離をとる。


「行くぞ!」


ナハナさんの掛け声がかかる。


「火の聖霊よ、水の聖霊よ、わが創生のもとに敵を包め。生み出したるは延々の霧中。フェイクミスト!」


ナハナさんが呪文を唱え終わり、火魔法と水魔法が同時に放たれる。

オークの顔の直前でぶつかった二つの魔法は局所的な濃霧を作り出し、オークの顔を覆った。


オークの視界が閉ざされたその瞬間、俺はオークの首に向かって渾身の力で斬りつける。


確かな手ごたえとともに、オークの首の骨が折れる感触が手に伝わる。


ドサッ

っとオークが倒れ、動かなくなった。


オークは完全に意識がなくなっている。

念のためもう一度首を斬りつけた。



「やりましたね。」


「ああ、上手くいったな。」


今回はほぼ完ぺきに作戦どおりにいった。


一人だとどうしても常にオークの意識が俺だけに集中してしまうが、この作戦であればオークの気がそれている瞬間に攻撃することができる。


「私の水魔法ではオークの厚い皮は貫けないからな。

火魔法でも森の中だと威力を押さえるからどうしても決め手に欠ける。

セイタのおかげで倒すことができたな。」


「いえいえ、僕こそ一人だとこんなに上手くは行きませんから。

お互い様ですよ。」


それから俺たちはオークをマジックバックに無理やり押し込んだ。


このマジックバックは容量が大きくなるほかにも入れたものの重量を小さくする効果もある。


とはいえ、そこはあくまでも小さくなるだけなのである程度重さがある。


もっといい品質のマジックバックであればより軽くなるのだが、今日はオーク一匹だけの予定だったのでこれで充分である。


「一度ギルドに戻りますか?」


「そうだな、今日は初めてのオーク狩りだったし、ギルドに戻って反省会でも開くとしよう。」


というわけで俺たちはギルドに戻った。



戻った後はギルドの横の倉庫を借りてオークを解体した。


以前ゴードンさんにも習ったが、時間が空いており曖昧ところもあった。


しかし、ナハナさんは何度かオークを解体したことがあるようでしっかりと手順を覚えていたため、何とか解体することができた。


「いやー、やっぱりゴブリンとは違ってかなり収入は良いですね。」


「そうだな。

2人で分けるにしてもゴブリンを半日買ったときの10倍ほどになるからな。」


今回のオークを売ったお金が約金貨14枚。


2人で半分にしても一人当たり金貨7枚の収入だ。


ゴブリン狩りが中心の時はよくても一日で金貨1枚程度なので、危険はあるがかなり実入りはいい。


「明日からもオーク狩りに行きますか?」


「そうだな。

このままオークを狩ることができれば金銭的にもかなり余裕ができる。

明日からもオークを狩りに行くか。」


「はい、頑張りましょう。」


俺たちはギルドの食堂でいつもより少し豪華な昼食をとりながら、明日に向けて作戦を話し合うのであった。


ブックマークありがとうございます。

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