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16.主人公の周りに美女しかいないのか、周りに美女しかいないから主人公なのか。

次の日の朝、訓練所から戻ってくると、そこには昨日酔っていたことなどみじんも感じさせないほど澄ました顔をしたナハナさんがいた。


「ナハナさん、おはようございます。」


「おはよう、セイタ。

どこに行ってたの?」


「訓練所で少し体を動かしてました。」


「それは毎日やっているのか?」


「はい、冒険者になってからはですが。」


「そうなのか。

なかなかまじめな奴なんだな。」


「いえ、それほどでも。

自分の実力がないことは自分で分かっていますから。」


そう、一応神様から恩恵として『異世界の才能』をもらっている俺であるが、それが特別チートであるかどうかは微妙である。


今のところ冒険をするうえで困ったことは起きていないが、他の冒険者がどのくらいのスピードで成長しているのか見ることは出来ない。


一応ゴードンさんやアリスさんには成長が速いと言われていたが、オークを安定して倒せるようになるにはまだしばらくかかると思われる。


そのオークをいとも簡単に一撃で倒してしまうのが高ランクの冒険者たちである。


もっと強くならないと、この世界では活躍できない。

せっかく異世界に来たのだ。

どうせなら活躍して有名になりたいし、地球にいたころにはなれなかったような人になってみたい。


そのために俺は頑張っているのだ。


まあそんなことは恥ずかしくてナハナさんには言えないが。


「ナハナさんは今日はどうされるんですか?」


「うーん今日もゴブリン狩りかな。

セイタはどうするんだ?」


「僕もゴブリン狩りですかね。

一人でオークに行くのはまだ怖いですし。」



事実、今の俺一人でオークと戦うのは心もとない。


戦闘面ではもちろんなのだが、それ以外にもオークの運搬方法や万が一傷を負った際のことなどを考えるとなかなかきびしい。


俺が強くなるか、あるいはパーティーを組むかすればよいのだろうが、パーティーを組んでもらえるほど仲の良い人もいないので目下一人で訓練中というわけなのである。


「そうか、まあ森で会うこともあるかもしれんな。

お互いに気を付けてゴブリン狩りをしような。」


「はい、ナハナさんも気を付けてくださいね。」


アリスさんと話すことで少しは免疫がついたからだろうか、それとも最初の出会いが強烈だったためだろうかナハナさんとは普通に会話することができている。


同じ宿にいるので会話ができるに越したことはないのだが、日本にいたときには碌に女子と会話できなかったことを考えるとずいぶんな進歩である。


この調子でいけばいずれ俺にも彼女ができる日が来るのだろうか。

・・・まあ悲しくなるかもしれないので今考えるのはよしておこう。



俺は朝食を食べ、ギルドが開く時間になると宿屋を出た。


ナハナさんはもうしばらくしてから出るそうなので一緒に出ることはなかった。


今日はギルドで薬草採集の依頼を見つけた。


俺でも達成できそうなものだったので依頼を受けてから森に向かった。

このように早めにギルドに行くと良い依頼が受けられることもある。


ただ、基本的に依頼は受けつけてからすぐに張り出されるので、よほど掲示板に張り付いていないといつもいい依頼があるとは限らないのだ。


それでも前日の遅くに来たものなどは翌日の朝はりだされるので朝が一番以来の数がおおいように思う。



俺は薬草を探しながらゴブリンを倒していく。


ゴブリンにはだいぶ慣れたし、それに盾も使えるようになったおかげでだいぶ戦闘は楽になった。


お昼前には依頼の薬草も集め終わり、ゴブリンも30匹ほど倒していた。


今日の収入は金貨に届きそうだ。


俺は足取り軽くギルドに帰り、依頼品の提出とゴブリンの魔石を提出すると報酬を受け取った。


その足で食堂に向かい昼食を食べる。


しばらくするとナハナさんがギルドに入ってきた。

どうやらナハナさんも狩りを終えて昼食を食べに戻ってきたようだ。


「お、セイタ。

隣座っていいか?」


「ええ、どうぞ。」


ナハナさんは食事を受け取ると俺のいるテーブルに来て一緒に食事をとった。


「狩りはどうでしたか?」


「ん、まあまあだな。

宿賃1週間分くらいは稼げたがしょせんゴブリンだからな。

単価が安くてそんなには稼げないな。」


「そうですよね。

オークが一匹で金貨14枚以上なのと比べるとだいぶ下がりますしね。」


「そうなんだよなー。

なんとかならな

あ!お前昼から暇か?!」


「ええ、昼からは特に考えてないですけど。」


「じゃあ私と一緒にゴブリン狩りしないか?」


「ナハナさんと一緒にですか。」


「そうだ、ギルドの人に聞いたところお前は性格もまじめそうだし、武器も片手剣で魔法使いとの相性も悪くない。

上手く連携が取れればオークと戦えるかもしれないだろ。

それに昨日酔った私に対して不埒なことをしようとしなかったしな。」


ニヤリとしながらそう言ったナハナさんに俺は少しドキリとする。


もしかして昨日酔ったと思っていたのは酔ったふりをしていたのだろうか・・・


もし手を出そうとしたらその場で反撃を食らっていたのかもしれない。


俺のチキンさ加減に少し感謝しながら、俺は午後からナハナさんとゴブリン狩りに出かけることを了承した。


評価をしてくださった方、ブックマークしてくださった方、ありがとうございます。


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