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11.盾も使えるように

左腕に盾、右手に片手剣を持ち草原に立っている。


周りを見渡せばぽつぽつとスライムが見える。


俺は盾を構えてスライムに近付いていく。


俺の気配に気づいたスライムがこちらに向かって飛び跳ねた。


ボスッ

っとスライムが盾にぶつかる。


以前身体で受けたときよりも少し衝撃は軽く感じる。


これがレベルアップの影響なのか盾で受けたことによる効果なのかは分からないが、これなら大丈夫そうだ。


スライムが地面に落ちるが今回は剣でスライムを倒さずに再び距離をとる。


すると再びスライムが体を震わせながら飛んできた。


盾で受けては距離をとることを繰り返し、だんだんと盾の使い方がわかってきたような気がする。


少し疲れたので剣でとどめを刺して休憩をする。


スライムを相手にするのであれば問題はないだろう。

まあもともと剣だけでも問題ない相手なので大丈夫だと思っていたが、この感じならゴブリン相手でも大丈夫だろう。


それでも、少しでも慣れておくために俺は何度もスライム相手に盾の使用感を確かめた。


日が暮れる前に宿に戻った。


この一か月はほとんどお金を使っていない為、収入の割にはかなりお金がたまっている。


一日の出費は宿の銀貨1枚と昼食代の銅貨5枚。

日本だと1500円くらいだ。


結果として約1ヶ月で金貨10枚ほどが貯金できていた。


とはいえ今は特に使う予定がないのでためておく。


それに今はギルドから鉄の剣を借りているが、ゴードンさんとの特訓が終われば装備は自分で買うことになる。


以前武器屋で見た際には片手剣は最低でも金貨50枚からだった。


今の俺の持ち金では全然足らない。

これからも努力していく必要があることを再認識したところで、俺は布団に入って寝た。



次の日、ギルドに向かった俺はゴードンさんと再び森に向かった。


「今日はゴブリンと盾を持って戦ってもらう。

わざと受ける必要はないが、有用に使える場面があればどんどん使っていけ。」


「はい。わかりました。」


今日は俺がゴードンさんの前を歩いてゴブリンを探す。


以前から何度か探索はしているため、だんだんとゴブリンがいる場所は分かるようになってきていた。


この森はゴブリンの数もそこそこいるため、適当に歩いていてもゴブリンとは遭遇する。

ただし、出会いがしらで遭遇すると危険なためその点は注意する必要がある。



ほどなくしてゴブリンを発見した。

3匹の群れだ。


「いました。

3匹です。」


俺はゴブリンがいることをゴードンさんに伝え、静かに近づいていく。


残り5mほどに近付くとゴブリンがこちらに近付いた。


「ギィギャー」


ゴブリンたちがこちらに向かってくる。


並び的には前に2匹が並び、その後ろに1匹がついてきている。


俺は左のゴブリンの前に盾を構え、右側のゴブリンが飛び込んでくるのに合わせ首に向かって剣を振りぬく。


きれいな軌道で首に当たった剣は首にめり込みゴブリンの首を確実にへし折った。

左から飛び込んで来たゴブリンは盾にぶつかり一歩下がる。


すぐに体の向きを変えて左のゴブリンの首を叩く。


後ろからついてきたゴブリンは前の2匹が倒されたにもかかわらず、そのまま突っ込んできた。

俺は一度盾で攻撃を受け、止まったゴブリンの首を狙い剣を振りぬいた。


俺の前には3匹のゴブリンが転がっている。


「よし、なかなかいい動きだったぞ。

同時攻撃にもうまく対応できていた。

次々行くぞ。」


「はい!」


その後も俺は盾と剣を使いながらゴブリンたちを倒していった。


盾の無いときと比べると幾分安定して倒せている気がする。

その後は昼まで森でゴブリン狩りを続けた。


今日もゴードンさんの手を借りることはなかった。


「昨日も練習しているとはいえ、なかなか様になっていたぞ。

このままいけば近いうちにオークと戦えそうだな。

となると、そろそろお前との訓練も終わりに近付いてきたってことだな。」


「ありがとうございます。

頑張ります。」


ゴードンさんからお褒めの言葉をいただいた俺は意気揚々と魔石を売って宿に帰った。



それから約2週間は盾と剣による戦闘の練習が続いた。


ただし、ゴードンさんは基本的には戦闘に参加せず、時々アドバイスをくれるのみとなった。


一人ですべての戦闘をするのは体力的にも精神的にも苦しいが、訓練が終われば当然ゴードンさんと行動することはなくなる。


今のままだと当然一人で行動することになるのだ。


今の内から音を上げているようでは今後はやっていけないだろう。


俺は慎重に、そして確実にゴブリンとの戦闘を重ねていった。



「そろそろオークと戦ってみるか。」


ゴードンさんがそんなことを言ったのはある日の訓練が終わってからのことだった。


「お前の技術であればもう十分にオークと戦うことが可能だ。

あとはお前の心しだいだ。」

「それから、オークと戦うときは基本的に俺は参加しない。

事前にモンスターの情報を集め、作戦を立て、準備をするのも冒険者としての仕事の一部だ。

この訓練が終わればお前も冒険者として自立することになる。

そのことをよく考えておけ。」


ゴードンさんはそう言った。


確かにそうだ。


今まではゴードンさんが先に戦って見せてくれたが、この先いつも誰かが戦っているのを見ることはあまりないだろう。

いや、むしろほとんどないといってもいいかもしれない。


相手のことを調べ、しっかりと準備をすることも冒険者としての大事な仕事だ。

それに今回はオークと限定しているが、この先急に未知の敵と戦うこともあるかもしれない。


常に余裕をもって準備をしておくことは大切だろう。


「はい。わかりました!」


俺はまずギルドから図鑑を借りてそれを読み返した。


それからゴードンさんにもオークの特徴を聞いた。

他の冒険者から常にモンスターの情報を聞けるわけではないが、聞くことができるのであれば聞いておいて損はないだろう。


オークの特徴はやはりその力の強さだろう。

まともに攻撃が当たれば俺の身体は吹き飛ぶだろうし、ゴブリンと比べると体長も2倍近い。


それにゴブリンのように剣で殴れば倒れるような相手でもないだろう。


攻撃異方法も考えなくてはならない。



俺は宿に帰る前に雑貨屋に寄って、今後必要になるであろう探索道具をいろいろと買った。


簡易的な水筒や、剣が汚れたときに使う布、それから非常食などを買った。


宿に戻った俺は夜ご飯までの時間は訓練所で自主練習を行った。


イメージ相手でしかないが、オークを想像しながら、色々と攻撃方法を試してみた。


上手くいくかはその時にならないと分からないが、できうる限りの準備は行った。


夜ご飯もしっかりと食べた俺は早めに布団に入って明日に備えたのだった。


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