第4話 雪の天使の劣等感
こんにちは。斑目です。今回で雪子編のクライマックスです。サブタイトルにありますように、雪子先輩のマイナスと思っている部分が…。
是非、お楽しみください。
部屋がなんとも言えない空気に包まれていく。
(…や、やばい…もしかして今の聞かれてた!?)
安心して欲しい。別に僕は世界を滅ぼすとか、そんなことは一言も言っていない。ただ、先輩のことが好きだと言っただけだ。そして偶然にもその先輩に聞かれていただけだ…。つ、つまり、何も問題はないという事だ。うん。
「…椛くん、今の本当…?」
先輩は落としたコップを拾い、僕に尋ねた。
(…覚悟を決めるしかない…っ!)
「は、はい。本当ですね。」
「……そっ、か、でもね、私達は、まだお互いの詳しい話をしてないと思うの。だからね、まずは私の過去を聞いて欲しい」
終わった。振られるルートだ。これ。
僕はただ、頷くことしかできなかった。
*
私、春田雪子は誰かに愛されたい。それだけ。
両親から沢山愛されると思っていた…。
でも、それは違った。
私の両親は私が幼い頃、どちらも旅客機の事故で亡くなったらしい。
だから、私は祖父母家の支援をうけて一人暮らしをしている。
幸い、生活に不便はなく、むしろ快適に過ごせている。……ただ一つを除いて。
*
「私はね、椛君。君とあの日出会うまでずっと孤独だった…」
僕はすぐ、疑問に思った。何故先輩には友達がいないのか…。いや、僕もそんなにいないけど…
「失礼な質問なんですが、先輩には何故友達がいないんですか…?」
先輩はしばらく難しそうな顔をしていた。
「…私ね、同じ歳くらいの人と話すのが怖いの。私が小学生の頃、同じクラスの子達からいじめを受けて、そこから、話すのが苦手になったの…」
先輩の声はとても震えていた。よっぽど辛かったんだろう。
「…僕達とは、話せてるじゃないですか」
「それはね、椛君。それは君が私のハンカチをとってくれたから…。それだけじゃないんだけど今までそんなこと、されなかったから…」
ーーそれを聞いた時、僕は無意識に目から涙が出ていた。
(先輩はこれ以上傷つくべき人じゃないんだ…)
「だからね、椛君、私と、私と一緒にいてくれますか…?」
先輩の目からは雫がこぼれおちていた。それだけ今まで苦しくて、辛かったんだ。でも、それを僕に伝えてくれたんだ。
(…そうか!天使の堕天は彼女の精神の崩壊を意味していたのか!)
とりあえず、アキノの発言の考察は後にして、今は返事をしないと。答えはもうでてるけど。
「こんな僕でもいいのなら、来世まで、喜んで付き合いますよ」
僕は笑顔で彼女にこう答えた。
*
こうして、2人は春の終わりに始まったのである。
どうも、紫音です。第4部目、雪子先輩のクライマックスでしたね。
僕自身、この後書きがどこらへんに出てくるか把握できていないので、この物語の詳細は……書いていいのかな?
……うん。書こうか。後書きなんて読む人ほとんどいなさそうですけどね。
さて、今回は雪子さんのマイナスの原因について
です。彼女の負は『孤独』と『トラウマ』ですね。
椛と出会った時、動きが不思議だったのはどう反応したらいいのか困っていたからなんです。
ですが、彼女にとって、トラウマよりも椛の接し方が強かったみたいですね。
そ し て !
次回は椛の負が明らかになる回と同時に第1章の最終回です。
では、次回もお楽しみに。