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マイナス同士は惹かれ合う  作者: 斑目紫音
第3章 日は常にノボリクダリを繰り返す
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For X

ずっと昔から生きる意味を探し続けている。

「将来の夢は×××です!」

すらすらと形のある未来を語れる友達が羨ましかった。

私に明確な夢は無い。

得意な事はなく、好きな事も何もない。自分自身がどうしようもなく嫌い。自分が苦しくても誰かが幸せならそれでいい。

だってそのほうが役に立つでしょう?利己的な人間より利他的な人間のほうがよっぽどいい。


一度、夢や目的を持たない自分に生きる意味を聞いたことがある。

「生まれてから明確な目的を持っている人間なんか存在しないんじゃない?」

いつこの言葉を聞いたかはもうわからないけれど、ずっと頭に残っている。これを聞いてまだ目的が分かっていないだけと安堵したのか目的を見つけることですら才能が必要なのだと絶望したのかどうかは覚えていない。


でも、その日から私にも夢?と呼べるものができた。

その夢は「誰かのために死ねること」だ。私が誰よりも大切に想い、命を賭してでも守りたいって人のために私は生きていたい。

そのことを話すと母は「優しい夢だね。でも……」と微笑んで頭を撫でてくれた。記憶が曖昧で正確な言葉は思い出せない。

あの時の言葉の続きを聞こうにも母はもういない。


「また来るね」


届いているかわからない想いと言葉を灰色の石と秋桜(コスモス)の花に伝え、家に帰ろうとすると、ガサガサガサと橙色に染まった木々が返事をするように強い風が吹いた。


季節は巡っていく。それは木も花も命も同じ。枯れて、尽きてはまた生まれる。

……いつか私自身が尽きた時、またみんなに会えるのかな。




 

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