第24話 小さな秋桜
どうもお久しぶりです。班目紫音です。この度は遅くなってしまいごめんなさい。
休載理由はあとがきの方に記載させてもらいます。
24話、ぜひ楽しんでいってください。
……遠い遠い昔のことがふと頭をよぎる。
楓と過ごしたあの家での出来事や、そのあとに起こったあの悲劇が。
……一生忘れることができないあの地獄の光景も。
でも、何かが違う。思い出せない……。
なにか大切なことを忘れてしまっている気がするんだ。
*
「んんっ……」
目を開けると、そこはいつもと変わらない我が家だった。
どうやらテスト勉強をしている最中に寝てしまったらしい。
……やっぱり慣れないことはするもんじゃないな。
「あ、起きた。 なんか珍しいね、お兄ちゃんが寝落ちしてるなんて」
隣のソファーに朝のニュース番組を見ている楓がいた。
「こんな丁寧に毛布かけてくれてるなら、起こしてくれたらいいのに」
「……それで起きた記憶がないんだけどねぇ」
楓は呆れた顔をしながらパンをかじってテレビを眺める。
ニュースといっても、特に大きな事件はない。
しいて言うなら北海道の気温が37度とかいう規格外な温度を記録したくらいか。
「最近は物騒な事件も減って平和だな」
「まぁね。 あ、今日の予定は?」
楓に言われて、本日の予定を頭の中で考える。
まず今日の一番のイベントは桜木さんにこの前夕凪が話していた事を相談してみるくらいか……。
「一応、桜木さんに会いに行く用事があるけど。 そっちは?」
「んにゃ、特に何にもないよー」
「了解、んじゃあ留守番よろしく頼む」
「あいあいさー!」
返事をすると楓はまたテレビのほうに集中し始めた。
「……勉強もーー」
一言添えるつもりだったが、今から外に行くやつに勉強しろっていわれるのは癪に障るか……。
「ん? お兄ちゃんなんか言った?」
「いや、なんにもない」
こうして、僕の一日が始まった。
*
テスト前日。それは各々が今後の学校生活や人生での『安全』を勝ち取るための一つの破片である。
必死に暗記をする者もいれば、漫画やテレビなどで一日を堕落する者もいる。
後者の人なんかいないだろうって? 残念、僕がいるんだ。
しかしあれだ、テスト前日にみる漫画やテレビはいつもと違う雰囲気を感じるのだが、気のせいだろうか……。
その考え方で行くと、この目の前の部屋に入りたくないという気持ちはなぜ変化しないのだろうか。
「はぁ……」
無意識のうちにため息をついてしまう。
携帯を見ると、約束を5分も過ぎている。
「すいません、秋野です。 約束通りきましたよ」
コンコンと2回ドアをノックし、一応返事を待つ。
「桜木さん? ドア開けますよ」
ドアを開けると、ある資料をただ見つめる桜木さんがいた。
「あぁ、椛君。ごめん、気がつかなかったわ」
声が震えている。部屋は特には寒くないようだし、いったい何があったのだろうか。
「あのね椛君、私やっとわかったの」
やはり声に力が入っていない。
「え? それより声に元気がないんですが大丈夫ですか」
「……この資料を見てほしい」
資料のタイトルは、秋桜研究所という聞いたことのない研究所の名前だった。
「なんですかこれ、秋桜研究所について……?」
「秋桜研究所。 今はもうないんだけどね」
「これがどうかしたんですか」
「そこが、今椛君と私がいるところだったの」
……一向に話が見えてこない。桜木さんは何か言うのををためらっているがこのままではわからないままだ。
「その研究所が今日僕を呼んだ理由とどう関係あるんですか!」
「その研究所は私がいたところで、あの日の事件を引き起こした原因だと思う」
……あの日の事件?
それって……。
「あのヨンナナ事件……のことですか」
桜木さんは下を向いて、小さく頷いた。
「……私はやっと気づけた。和平はだからあの時、私を遠くにやったんだ」
「和平……? わかったことを全部教えてください、桜木さん」
「わかった。 少し私の過去の話になるけど我慢してね」
そういうと桜木さんは小さな1枚の写真を持ってきた。
「これは……?」
「この人が、秋桜研究所の感情について研究を始めた第一人者」
その写真には、4人の人物が写っていた。
24話いかがでしたか? 一切謎だった桜木薫の過去と秋桜研究所とヨンナナ事件のつながり。
またゆっくりですが、少しずつ更新していきます。
さて、今回の休載についてのお話というか言い訳を。
まず、三ヶ月も待たせてしまい本当にごめんなさい!
この三ヶ月の間なにをしていたかというと、一つは学業に集中していたこと。
これに関しては以前Twitterに記載させていただきましたので省略します。
二つ目は小説を書くにあたって怠けが来ていた事。
これに関しては僕自身、PCとにらめっこする時間がなかったというところと、この「マイナス同士は惹かれあう」の今後の方向性に悩んでいたという二つの問題と小説を書くという火が消えかかっていたことです。
一か月悩んで桜木さんの過去を書きましたが、正直雪子さんや夕凪のことはもっとかかるような気がします。
常に考えているわけではないのですが、思いついたことはいつもスマホのメモに書いてます。
今後出てくる秋桜研究所のメンバーや、ヨンナナ事件の真相とか。
残りの二か月は何をしていたのかというと、いろんな方のラノベを読んで参考にしていました。
その時、友人からアニメの映画に誘われ、行って見てみると三回泣きました。
何の映画かは言いませんが、その映画を見たとき「僕も人を感動させる物語を創りたい」という目標を再確認できたんです。
だから何度も逃げて、そのたびまた挑戦して物語を完成させると決めました。
その小説の作者様には感謝しかありません。いつか会って一緒にその映画について語り合いたいくらいには。
最後になりましたが、またこんなポンコツの自分をよろしくお願いします。




