表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マイナス同士は惹かれ合う  作者: 斑目紫音
第3章 日は常にノボリクダリを繰り返す
27/33

第23話 黒い影

 私は今の生活が好き。


 いつも通り学校に行って、友達と仲良くして。


 テスト前にはいつものメンバーで必死に勉強して……。


 喜怒哀楽な毎日を過ごす。


 ……でも、いつかはおわりが来るんだよね。


 嫌だなぁ。いっそのこと()()()()()()()()()()()


『嫌ならおわらせなきゃイイじゃん!』


『君が望むなら、そのお望みの力をアげるよ?』



 黒い何かが笑いながら、こちらに話しかけてくる。


 ……薄気味悪い。


 *


夏葵(なぎ)! 遅刻するわよー!」


 …………変な夢。きっと扇町(おおぎまち)が作ってくれたあのノートで勉強しすぎたのかな。


「ちょっと待ってー! 今着替えて下行くからー!」


 まっ、夢なんか気にしてられないか! アイツ(扇町)に会ったら文句の一つでも言ってやんないとね。



 扇町に会ったら言う文句を考えながら、朝の支度を済ます。


 携帯、生徒手帳、家の鍵、手鏡、その他色々よしっと。

 あ、あとは扇町のノートも……。


「よしっ! じゃあ、いってきまーす!」



「いってらっしゃい。気をつけてね」



 こうして、また一日が始まっていく。


 *


 時は流れ、放課後。


 昨日と同じ教室に扇町(おおぎまち)を除く同じメンバーがそろう。


 唯一違うのが、珍しく夕凪(ゆうなぎ)がやる気満々ということ。


「ねえねえ、ちょっと聞いてよあきのん」


 夕凪がシャープペンシルの動きを止める。


「どうかした? なんかわからない問題でもあった?」


 こちらも同じく動きを止め、夕凪のほうを見る。


「昨日? 今日? どっちでもいいや、変な夢見たんだよ!」



「変な夢? どんな感じなヤツ?」


「えぇっとね、確か……」


 必死になって記憶を辿っているのが分かる。


「なんでもう忘れてるんだ……」


「あっ! 思い出した!」


 ガタッ


 急に立ち上がり、満足気な顔でこちらを見る。


「……内容は?」


「なんか変なのに話しかけられた」


「……その話の内容は?」


 さっきから僕は内容しか聞いてないな。


「なんか、世界の半分を貴様にやろう……とか?」



「それ竜王じゃねえか。あとなんで疑問形?」


「いや……絶対違うな……」


「よかった。夕凪が勇者だったら世界が終わるわ」


「終わる? あっ!」


『終わる』というワードが出てきた夢だったのだろうか。

 ……少なくとも夕凪の記憶力は終わってるな。


「『終わらせたくないなら、君が望む力をあげる』だったかな……」


 竜王もどきじゃんか、それ。

 なんかどこかで似たようなこと聞いた気がするけど……。


「確実に疲れてたな。」


「全部このノートを渡した扇町が悪い!」


 夕凪が扇町特製テスト対策ノートを机にたたきつけた。


「ちゃんとやったんだな、それ」 「ちゃんとやってくれたか!」


教室の入り口付近にいる人物と声が重なった。


「扇町ぃぃぃぃ! よくもこんな、めんどくさいノートを!」


ものすごいスピードで夕凪が消え、扇町の目の前に立つ。


「わからないやつ、あったから教えて!」



今日の夕凪は少しおかしい気がした。


勉強のこともだし、どこか不安そうな顔をしていた。


……一応、桜木(さくらぎ)さんに話してみるか。竜王もどきのこと。






終わってほしくないことって多いですよね…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ