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マイナス同士は惹かれ合う  作者: 斑目紫音
第2章 梅の季節に咲く楓は儚く散る
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第13話 そして、秋野椛は出会う。

第2章第8話。謎の未来を告げる協力者からの助言。

そして、椛は目覚める。


妹である楓の入院している病室から出て、ある人物に声をかけられる。


その人物とは。


第8話、始まります。

―――何事も無かった様に目が覚める。

周囲に異変はなく、変わった様子もない。


視線を窓の外にやると、月と外灯に照らされた木々が見えるだけで、誰一人として通行人はいない。


現在時刻を確認しようと携帯電話を取りだす。

何件かのメールと不在着信がきていた。

メールの方はおそらく携帯会社からの「自称お得な情報」だろう。


不在着信の方は雪子先輩からだ。履歴を見るに、ついさっきのようだ。


電話をかけようとした時、メールがもう一通届いた。


ーーーーーーーーーー

To:秋野椛

From:春田雪子

件名 今日はごめんなさい。


こんな時間にごめんなさい。

留守番電話にメッセージを残せば良かったのですが、メールの方が用件を伝えやすいと思ったから、このメールを送りました。


本日は、急な用事でいきなり帰ってしまってごめんなさい。

大した用事ではなかったのですが、しばらくの間忙しくなりそうです。

なので、明日から放課後は先に帰ります。ごめんなさい。

……この用事が終わったら、また楓ちゃんと3人で帰りましょうね。



あと、その、また今度時間が空いたときに2人でどこかに行けたらいいなと思ってます。


ーーーーーーーーーー


メールを読み終え、返事をしようとするが面会終了時間が刻々と迫っている。


デートのお誘いが来ていたが、その喜びもまた後で。


「じゃあまた明日な。楓」


眠っている妹に一声かけて病室を出る。


「あっ、椛くん。今帰り?」


病室のドアを開けて帰ろうとしていた時、1人の女性に声をかけられた。


……この人は誰だろうか。見た目は普通の看護師だが、おそらく喋ったことは無い。


「あれ?椛くん覚えてない?ほら、楓ちゃんの入院手続きした時の……」


ちらりとストラップ付き名刺をみる。そこには


桜ケ(さくらがおか)総合病院 院長 桜木 薫(さくらぎ かおる)

と書いてある。


……院長……。なんで僕なんかに。


「ごめんなさい、覚えてないです」


知っているフリをする選択肢もあったが、嘘がバレたら面倒くさくなるのでパス。


「そっか〜、じゃあ自己紹介するね。私は桜木 薫。誕生日は12月15日。あとはーー」



自己紹介が5分程続いた。それはとても長く、どうでもいい情報が多かった。

…携帯会社からのお得な情報くらい。


「……それより、なんで僕を呼び止めたんですか?」


「おっと、そうだったね。椛君、ちょっとだけ病院の外で待っててくれない?」


「別に構いませんが、何かあるんですか?」


「えっとね、()()()()()()()()()()()()話したいんだよね」


…っ…断れない。アキノのヒントだけじゃ答えには導き出せない。


「……わかりました。10分以内に来てくださいね」


「はいはーい。なるべく急ぐから待っててね〜」

桜木さんは笑顔で手を振って去っていった。


ーーーーーーーーーー


「……で、話ってなんですか。」


「まぁまぁ、先に中に入ろうよ。すいませーん!2人なんですけどー!!」


……何かと思ってついていったらまさかのラーメン屋。


この人何を考えてるのか分からない。


「…で、話ってーー」


「まぁ、先に注文しようよ!すいませーん!」


「へい、なににしやすか。」


「えーっとね、豚骨ラーメン2つで!」


待て待て。僕は豚骨ラーメンなんか…。いや、まあちょうど頼もうとしてたからいいんだけど……。


「えー、豚骨2人前でよろしっすか?」


桜木さんはこちらを見ている。


……はいはい。それでいいですよ。


こくりと僕は頷く。


「豚骨ラーメン2人前!オーダー入りましたー!!」



……びっくりした。急に大声出されたら寿命が減ってしまう。



「あっ、でね椛くん。楓ちゃんの話なんだけど」




「……あの子…(ネガティブ)ね?」



「なんですか……それ。」


初めて聞いた単語だが、おそらく僕は知っている。


「正式な病名は負症候群(マイナスシンドローム)。私は省略して負って呼ぶけどね。」


「……主に未成年の精神が安定していない子に多い病気で、解決方法は人によって違うんだよ。」


「…楓は目覚めるんですか…。」


桜木さんは真剣な表情で考える。


「楓ちゃんが目覚めることはーー」



「お待ちどうさん!!豚骨2人前!!」


「あっ、じゃあ続きは食べ終わってからね!じゃあいただきま〜す♪」


……なんて切り替えの速さだ。


今ここで問い詰めても答えはかえってこない。

仕方がない、腹が減っては戦ができぬという言葉があるくらい食事は大切だ。


まずは腹ごしらえからだ……。


そう自分に言い聞かせて、ラーメンを食べ始めた。

第8話、いかがでしたでしょうか。


まずは新登場人物。桜木薫さんの登場です。


詳しい紹介はこの章の最後になります。


が、この人は後々物語に大きく影響していきます。


今、教えれることはそれだけですかね。



……豚骨ラーメンが食べたい。

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