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マイナス同士は惹かれ合う  作者: 斑目紫音
第2章 梅の季節に咲く楓は儚く散る
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第8話 在りし日の唐菖蒲の物語

斑目です。

今回は病院で眠っている楓のお話です。

彼女が眠っている間、彼女は一体何をしていたのでしょうか。

(…ここは……どこ…?)

周辺を見渡すとそこはどこか見覚えがある場所だった。


(…とりあえず誰かに聞いてみないと…!)

「あ、あの、私、秋野楓って言います。実は今、ちょっと迷子で…。ここらへんってどこだかわかります?」


通行人に話しかけるが、反応がない。まるで私が見えていない無い様子だ。


(…どうしよう…。そうだっ! スマホで現在位置を調べれば…!!)


急いでポケットに入ったスマホを取り出す。

何度も電源ボタンを押すが、反応がない。


(…なんで!なんで反応しないの!?)


全てに絶望した時、目に涙が溢れてきた。


(私は…どうしたらいいの…。助けてよ、お兄ちゃん…。)


全てを諦め、少し休息をとるために公園に向かおうとした時だった。


「…おねーちゃんは……なんでないてるの?」


「…え…?君には、わ、私が見えるの…?」


―――そこには、幼い少年の姿があった。


「ぼくのなまえは、()()()()()()。こまったひとをたすけるせいぎのヒーローだよ!」


(…今、秋野椛って…!?)


椛という名を聞いて確信した。

(ここは私の過去の記憶の中。でも、なんで私が見えているの…?)


「…おねーちゃんどうかしたの?」


「ううん。なんでもないの。まさか正義のヒーローさんに会えるなんて思ってなかったから、びっくりしちゃって!」


(正義のヒーロー…か。お兄ちゃんらしいや…。)


「へへーん。こまったことがあったらぼくがかいけつしてあげる!!」


幼い椛は太陽よりも眩しいくらいの笑顔でこう言った。


「そっ、か〜。それはすごく頼もしいや。さすが正義のヒーローだね!」


その笑顔につられていつのまにか溢れていた涙も止まっていた。




「おにいちゃーーん!!かってにどこかにいったらだめなんだよーー!!」


と、叫びながらこちらに近づいてくる少女がいる。

多分。この子が昔の私なのだろう。


「はぁ…はぁ…さがしたよ、おにいちゃん…。」


必死だったのだろうか、息切れが激しい様子だ。


姿は幼く、とても可憐な少女だ。これが私だったとは思えない。


「ごめんな〜かえで。でも、ないてるひとがいたらたすけるしかないだろ?」


「はぁ…。まったく、おにいちゃんらしいや…。」


少女は大きなため息をつく。


(昔の私はこんな子だったんだ…。)



「はじめまして。わたしは、あきのかえでです。おねーちゃんのおなまえは?」


「わっ、私!?私は…私は春田雪子!!」


…嘘をつく気は全くなかった。でも、仕方がなかった。今同じ名前で名乗ると不思議に思われるから…。


「ゆきこおねーちゃん!うんっ。いいおなまえ!!」


ニッコリと笑顔でこちらを見ている。


(明るく元気な性格。まるで向日葵だ。)


「ありがとう。楓ちゃんも可愛い名前だね。椛くんもっ!」



「べ、べつにぼくは…かわいくなんか、ないよ!」


「あっ、おにーちゃん、てれてるー!」


「てっ、てれてない!」


椛は顔を赤らめている。

(か、可愛い…。)


「って、そうだおにいちゃん、そろそろおばあちゃんのおうちにかえらないと!」


「パパとママ、きょうからふたりでしんこうりょこうだもんね。うらやましいよねー」


「そうだねー」


(…旅行…?っ!!まさかその旅行って!?)


「ね、ねぇ、今日って何日だっけ?」

まさかと思って念の為日付を聞いてみたが…。


「きょうはねー。しがつのよっかだよ!」



(旅客機の事故は確か……。4月7日…!!)


…なんてこった。このあとこの子達にとって最悪の出来事が……。


「じゃあ、ぼくたちそろそろいくね。またあそぼうね!ゆきこおねーちゃん!」





「待って!!わ、私もおばあちゃんの家に連れて行って欲しいの!」




…夢でもいいから、少しでもこの子達の力になりたい。そばにいてあげたい。



ーーーーそして、私自身を救いたい。






こんにちは。

さて、いきなり解説から入るのですが今回のタイトルにある唐菖蒲(とうしょうぶ)という花を選んだ理由から。

唐菖蒲はグラジオラスの別名で、花言葉は【記憶】。



つまり楓の記憶の中の物語なんです。

もちろん次回もつづきます。

お楽しみに。




追加で書くのですが、新キャラの件です。

えーっと、新キャラは多分2話後?になると思います。ほんとにごめんなさい!!

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