嫌悪
「道垣内さんさぁ。何であんな奴と一緒にいるの?」
黒木君の、いきなり棘のある言い方に変わったのにビクッとした。
「俺の友達もさぁ……前話してて言ってたんだけど、あんな変わり者につきあって、葉山さんの学生生活消化しちゃうの勿体なくね?」
自分ではよく分からないけど、他の人から見たら、やっぱり“普通な”私が“普通じゃない”ルカにつきあってるように見えるんだ。
誰かにそう言われると……そうなんだと思えてしまう。
「」
ルカが話しかけてくる前に、黒木君たちのグループに入っていった。
その輪に入ってしまえばルカが一人ぼっちになってしまうのは分かってるけど
でも……私が誰と話そうと、私の自由……だと思うことにした。
ルカは一人でずっと何をするでもなく机で座っている。
廊下で私が話している時、一人で歩いているルカと目が合った。
私はすぐ目を逸らした。
ルカが一人ぼっちになるようになってから
ルカに目をつけていたクラスの男子たちがちょっかいを出すようになった。
「くせぇ」とか「こっちくんな」とか
ある日ルカが嫌な音の咳をしながら登校してきた。でも彼女はマスクなんかつけない。
男子は「学校来るんじゃねぇよ!うつるだろぉが!」と言いながら傘の先でルカの頭をガンガン叩いていた。
その男子は陸上部で、大会が控えていた。そういうのに敏感になっていたのかもしれない。
私は黙って見ていた。
風邪引いてるなら、マスクつけてくるくらいの配慮を、しない方が悪い。とさえ思った。
こうやって、外側からルカを見ていると、本当にルカは変わり者に見えてしまうようになった。
感じるようになった。
サイズの合わないだぶだぶの服を着て
髪はボサボサで
校則に書かれている決まりは何一つ破っていないけれど、どこがどう悪いって指摘する要素がある訳じゃないんだけど、彼女のいで立ちは、なんかもうちょっと何とかしてよ。と言いたくなる違和感が漂う。
言葉とかで説明する以前の配慮、常識、感覚。
それが彼女は分からない。理解しようともしない。頑なに。
理解する必要性を彼女は信じない。
それを言葉で訂正する術はない。
何が悪いって一から説明する方法が、きっと誰にも分からない。
だから、見ててイラつく。