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矯正人間  作者: 後藤広海
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世界観・用語・登場人物

<世界観>


 舞台は人々の精神衛生状態に対する意識が高まり、「普通の人間」「健常者」の定義が限りなく厳しくなった近未来社会。

 国民は精神の健全度を数値化し、社会的平均値よりも低い傾向のある人間は、何らかの精神障害や発達障害を診断され、治療を受けさせられる。

 また、遺伝子工学やサイバネティックスの技術が進歩し、より優れた人間を作り出す競争が活発化している状態。

 一部の思想家や社会不適合者は、過剰な文明の発展に抗議し、自然回帰主義の活動が過激化して問題視されている。

 

<用語>

・EQ(心の知能指数)

 自己や他者の感情を知覚し、自分の感情をコントロールする知能、コミュニケーション能力を測定する指標。

 ビッグデータに蓄積された個人情報からAIが算出する。全ての企業が社員の人事評価をする際の指針として用いており、真っ当な社会人であればEQを外部に表示している。

 EQが著しく低い、或いは可視化されていない人間は社会から排除・隔離される。


・遺伝子組み換え人間(仮称)

 受精卵の段階で遺伝子操作を行うことによって、特定の身体的特徴を持つようデザインされた人間。

 国としては遺伝的疾病を回避することを目的とした遺伝子操作のみ認可されている。


・優良化人間(仮称)

 遺伝子操作を駆使し、「より優れた人間」として生まれてくる人間。倫理上の懸念から国では作成をまだ認可していない。


・電脳化人間(仮称)

 脳の障害や発達障害などにより、社会的な生活に制限を受ける者のうち、脳の一部を機械化してAIに脳機能の欠陥を補足させることで、健常者と同様問題なく生活・社会活動を行えるようになった人間。

 遺伝子改変技術と同じく、障害を持った人間の治療に限り認可されていたが、健常者と障害者の境目が曖昧となり、僅かな社会不適応に対しても手術で電脳化してしまう人間が増え、社会問題化されている。


・選良市民特区(仮称)

 富裕層によって築かれた公共サービスに頼らない民営の特権自治区。

自分達の納めている税金の多くが貧困層に分配されることへの不満から、富裕層だけで合法的に独立した街。周辺はフェンス(?)で囲まれ、市の住民以外は勝手に出入り出来ないようになっている。

公共サービスは全て民間企業に委託され、市の運営にはビジネスのノウハウがとりこまれている。

 住民として認可されるには、EQが一定以上の値を示していることと、それなりの社会的地位が必要となる。

 また、国の規定に囚われず、住民の多数決で物事が全て決定されていくため、日本ではまだ認可されていない「優良化人間の作製」が行われており、ビジネスに有利な能力を持った人間が歯止めなく設計・生産されている。

 所得の高い家庭程、遺伝子操作にお金をかけ、才能のある優れた子どもを出生することが出来る。 


・GMOサピエンス

 遺伝子操作によって生み出された人間の正式な呼称。 


・ナチュラルズ

 GMOサピエンス・電脳化人間に対し、遺伝子操作や機械化をしていない天然な人間の俗称。


・IoT

 全てのモノ(テレビや時計、眼鏡、電化製品などの日用品から、洋服、靴、財布といったアナログなモノまで)がネットに繋がり、相互に情報をやりとりする社会システム。

 モノから随時データが送られ、ネットワーク上に蓄積されたビッグ・データはAIによって解析・管理される。

 人間にとってはより快適な生活空間を享受することが出来るようになったが、システムに不調が生じたり、ハッキングなどの攻撃を受けると、人命に関わる深刻な事態を引き起こす。


・犯罪予報システム

 ビッグデータを介して国民のメール・SNSなどプライベート情報を全て監視し、予め犯罪を起こしそうな人物を予知して知らせるシステム。

 犯罪予報で、危険因子と解析された人物は、事前に警告を受けたり、拘束されることで、犯罪を未然に防ぐことが可能。

 民間の警備会社が採用し、警察も導入を検討しているが、人権団体から抗議を受けている。


・ロボフォン

 人工知能を搭載したコミュニケーション型ロボット。形は様々で、たいていは使用者の側を浮遊して着いていけるようになっている。子どもや高齢者をサポートする他、ネット検索や、スマートフォンなどとの通信も可能となっている。


・LAST CRIME

 民間の警備会社。選良市民特区内で警察の代行も行っている。

 普通の人間に心療内科で何らかの「障害」の診断書を書かせ、電脳化人間にした上で障害者雇用の形式をとり、国から補助金を受け取りながら低コストで警備員や捜査員を雇うことに成功している。

 公共の警察よりも、ユーザーの信頼に依存しているため、法よりも世論を優先して犯罪者を取り締まる傾向があり、「印象の悪い人間」や「ネットで炎上発言した人間」を逮捕することがある。


・貧困都市(仮称)

 富裕層が選良市民特区を築いたことにより、貧困層が取り残され、税金が確保出来ず、公共サービスが弱くなった市。治安が悪化し、犯罪多発地域となっている。


・公共の警察

 選良市民特区の独立により経費を確保出来ず、 ブラック化している状態。警察官を志望する若者が激減し、人材不足で度々不祥事を起こすようになる。また、サイバー犯罪に対応出来ず、冤罪を多く生む。

 市民からの信頼は低く、ある程度お金のある人間は選良市民でなくとも治安関係の事柄について民間の警備会社に相談するようになっているため、多くの警備会社を敵視している。


・自然回帰主義

 過剰な科学の発展や近未来化に反発し、原始的な自然環境の中で暮らすことを理想とする人々。都市部で生まれ育った若者に多い。


・ガイア復興の会(仮称)

 環境哲学サークル団体→新興宗教団体。

 自然回帰主義の若者を中心とする信者を多く獲得する。

 結成当初は、競争社会の中で疲弊した心をマインドフルネス療法で癒したり、有機農法で育てた人工甘味料を含まない食材で調理したものを食べたりするサークル団体に過ぎなかったものが、次第に反社会的思想を持ち始め、EQの低い社会的弱者の構成員を増やして非合法な活動を行うようになる。


・ガイア国家樹立計画

 過剰に近代化した現代社会を全て破壊し、自然と共生した、人が人間らしく生きられる社会環境を一から作り直すことを目標としたガイア復興の会の最終目的。



<登場人物>


・LAST CRIME

民間の警備会社。全員が本名ではなくコードネームで呼び合う。


ルート

本名:遠藤方生

 LAST CRIMEの社長。

 大学を中退して警備会社を立ち上げ、急激に成長させて、選良市民特区議会に取り入り、特区専属の警察組織を築いた高い経営手腕を持つ。学生時代に、パソコンを遠隔操作でハッキングされ、サイバー攻撃の咎で警察に冤罪で逮捕された過去を持ち、警察と司法に恨みを抱いている。家族や友人からも信頼を失い、ビジネス上の交友関係以外は全て断っている。

 表向きは金銭にしか興味のない利己主義・拝金主義を演じているが、それなりの道徳観念は持ち合わせており、自分では否定しているが人情の機微を察する能力も高い。


電脳捜査員

 人件費削減の為、半強制的に何らかの精神障害の診断を書かされ、障害者雇用の形で雇われている捜査員。全員が「治療」と称して脳に電子チップが埋め込まれ、思考をAIに干渉されつつ、脳派で直接コンピューター機器に接続することが出来る。


クロス

本名:道垣内碧(仮称)

 対人関係に臆病で周囲からの評価に敏感な中学生時代、教室では底辺同士、小屋敷ルカと仲良くなるが、変わり者であるルカに徐々に嫌気がさし、次第に碧はクラスの他のグループの子達とも馴染むようになる。反対に小屋敷はクラスでいじめられるようになるが、それを無視し続ける。

 小屋敷ルカがいじめを苦に自殺し、周囲から非難され、自分が友人を見殺しにしたと考えるようになりPTSDを患う。

 贖罪と精神疾患の治療の為、電脳捜査員となる道を選ぶ。

 学生時代は人目を意識し、外見に気を遣っていたが、電脳捜査員となってからは手入れをしていない短髪に、少年のような容姿となる。

 奏未空(後述)にミューズの作成を依頼し、朝井に送り付ける。

 コードネームのクロスは「十字架を背負って生きていく」の意。


インスマス

本名:未定

 選良市民特区で作られた遺伝子編集人間の失敗作。

 顔や動作に説明のつかない不快な挙動を備えている。

 一度は社会で普通に生きていこうと努力するが、就職先の会社の上司に、「瞬きの回数がおかしい」「動きが挙動不審」「喋り方が不自然」など、僅かな動作について度々指摘されるうちに、社会で生きることに疲れ、電脳捜査員になることを志望する。

 電脳化された脳と情報通信技術によって、遠隔操作で複数のドローンを操り、随時 選良市民特区の様子を監視することが出来る。

 本人は部屋に立てこもり、滅多に外に出ることがない。非常時に外出する際は、全身をストールやターバンでグルグル巻きにし、他人の目に一切触れることのないよう注意する。

 ドローンなどを介して他人と会話することが出来、マシン経由だとかなりおしゃべりだが、直接コミュニケーションをとると声をほとんど発しない。

 コードネームのインスマスはラヴクラフトの小説「インスマスの影」から。


アベル

 最初に電脳化捜査員になった人物。

 意識に変化がないことを確認しながら、徐々に人工脳へ入れ替えていき、現在ほぼ全ての脳機能がサイボーグ化している。

 最終的には脳を全て電子機器化し、人間ベースのAIとなる予定。


・公共の警察


朝井穂香(仮称)

 キャリア組。階級は警部補。国家公務員試験一種を合格した優秀な人材だが、発達障害を持っていることが判明し、刑事部長の判断で、早期に辞職してもらうため太刀掛と組まされる。


障害の特徴

 コミュニケーション能力に大きな問題があり、言われたことを独自に解釈して理解のズレが生じたり、分かりにくい表現をして相手に上手く伝わらないことも多い。

仕事の上では業務の指示を誤って理解したり、報告や相談をするときに話が分かりづらく支障が出ることがある。また職場では状況が色々と変化する中でその場で言われたことを理解し適切に返答するといった動的なコミュニケーションが求められるようになるが、スピード感のあるやりとりだと理解が追い付かなかったり言いたいことをぱっとまとめて伝えられないということも。

 学校では急な変化が少なく自分のペースで落ち着いてやり取りできる静的なコミュニケーションが多かったため、学校生活では障害が疑われることはなかった。

 

 障害による欠陥のせいで、事件捜査の際は度々失態ともとれるミスを起こし、周囲から責められ苦労するも、立ち直りや気分転換が早いため、上層部の意に反してなかなか辞職しない。


ミューズ(仮称)

 朝井の発達障害をフォローする機能を搭載したロボフォン。円形で羽のようなものが生えており、会話することが可能。

 奏未空(後述)によって開発され、送られる。


太刀掛(仮称)

 ノンキャリ組。階級は巡査長。

 冷徹かつ厳格で、ひねくれ者だが、一応正義感と良識も持ち合わせている。やくざのような乱暴な喋り方をする。自分より階級が上の警官でも仕事が出来ない人間と判断すると敬語を使わない。捜査への執念深さから、周囲に畏怖されている。

 以前ペアを組んだキャリア組の安村に対し、厳しくあたり辞職に追い込んだため、暫く新人とはペアを組まないようにされてきた。「新人潰し」の異名を持つ。

 安村を辞職に追い込んだことには多少なりとも責任を感じており、階級は上だが警官としては後輩である朝井のことは、厳しく指導しつつ影で色々とフォローする。

 剣道6段で片手突きの達人。愛煙家。


安村

 キャリア組。階級は警部。国家公務員試験一種を合格したエリート捜査員だったが、ゆとり世代でメンタルが弱く、太刀掛と組まされたときに、現場状況判断の悪さを指摘され、キツイ叱責を何度も受けたため、自分に自信を無くし、警察を辞める。

 その後、ガイア復興の会に入会するが、過激化する会の指向に危険を感じ、警察に情報を漏らそうとしたところ、裏切りを幹部に悟られ抹殺される。

 

米谷

 ノンキャリ組。ベテランの捜査員。現在は定年退職して再雇用の身。普段は温厚な性格だが、それなりの実績と貫禄があり、捜査員の中で太刀掛を黙らせられる唯一の警官。かつて刑事二課(知能犯対策)に所属し、奏未空(後述)の父親を逮捕した刑事。未空にとっては、父親を家族から奪った存在であると同時に、父が逮捕されてから家族をマスコミや野次から守ってくれた恩人でもある複雑な存在。


・ガイア復興の会(仮称)メンバー

幹部

 

石神彰(仮称)

 ガイア復興の会最高指導者

 大学で環境学を学び、優秀な成績で卒業した後、大手ゼネコン企業の環境課に就職する。

生真面目で融通がきかない性格。

人間活動にとって都合の良い環境対策ばかりで、根本的な環境保護に繋がらないという職務内容に不満を持ち、周囲とぶつかる。また、ちょっとした環境法令やルールの違反を指摘して業務を滞らせるため、社内で孤立し、ハラスメントを受けるようになったため、精神疾患を患い退職する。

 その後、海外でグリーンピースや家畜解放戦線などの過激な環境保護・動物愛護運動と関わり、刺激を受ける。

 日本に帰国後、この国にも欧米のような徹底した環境保護活動を展開するべきと考え、同志を募り、ガイア復興の会を立ち上げる。


小屋敷キバ(仮称)

 自殺した妹(後述)が残した何十匹という犬を全て引き受け、共生出来る環境を探しているうちに、社会の非情さを思い知り、派遣社員として小金を稼ぎつつ、犬を操って非合法的に生活費を得て暮らすようになる。警察に捕まりそうになったところを石神に助けられる。家畜解放戦線など、海外での動物愛護の傾向について石神に教わり、以後、石神を慕い、その右腕として働くようになる。

 結成当初は最も忠誠心が高かったが、サライヤ達が入会し、活動の指向が変わってきてからは、弱者の救済よりも組織の拡充と資金集めに重きを置くようになった石神に不信感を抱くようになる。また、最初期に共に活動してきた自分よりも、高学歴な幹部達の意見を優先的に取り入れるようになったことに対し不満を感じ、脱退を考えるようになる。

 

応需

 選良市民特区の富裕層の家庭で、遺伝子編集技術を施されて生まれてきた優良化人間。高い知性・容姿・身体能力に恵まれている。

 名前の由来は、「遺伝子編集の為に投資した分、親の期待に応えるように」という願望が込められている。

 幼少期は親の期待を裏切らないよう強迫観念を感じながらも必死に優秀な人間として生きてきたが、次第にどんなに努力して結果を出しても周囲の称賛が親がデザインした成果品に対するものと、遺伝子編集技術という科学技術に対するもので、自分の意志が一切評価されていないことに気付き、虚しさを覚えるようになる。

 石神と出会い、その思想に感化され、ガイア復興の会のメンバーとなる。遺伝子操作技術に対して批判的な活動を展開し、妨害活動をエスカレートさせていく。最終的には遺伝子操作によって生まれてきた全ての生命は本来存在してはならなかったとして、「自然秩序の回復」の為に殺害するようになる。


上村(仮称)

広報担当

 教育学部を卒業し、真面目に教鞭を振るってきた。熱心な指導で教え子たちからの評判は高かった。「学校教育の意義は民主主義社会の運営に全国民が参加出来るようにするため」という教育理念を抱いていたが、AIやビッグデータが社会運営の全てを支配するようになり、国民が社会全体のことより自分が有利に生きていくことにしか関心を持たなくなってきた現代社会の中で、公教育の存在意義に疑問を感じ始める。また、熱心に指導した教え子たちが、結局GMOサピエンスに競争で負けていく姿を目にするうちに、大胆な教育改革が必要なのではないかと考え始める。周囲の教職員に疑問をぶつけるも相手にされず、孤立化していく中でガイア復興の会に出会い、感化され入会する。若者を煽動する話術に長け、ガイア復興の会の構成員を増やすことに貢献した。


サライヤ(仮称)

 謎の多い男。比較的遅い時期に入会してきた人物だが、策略家で組織の拡大に大きく貢献したため、すぐに石神の信頼を得、重要なポジションにつくようになる。サライヤが幹部になってから、ガイア復興の会の活動内容が過激化していき、テロ組織に近づいていく。


ゼノ(仮称)

 サライヤと同時期に入会してきた電脳化人間。ハッカー。

 自動運転車や自律思考ロボットをハッキングする術を持ち、IoT社会のあらゆる機器を乗っ取ってテロを行う。

 過去にLAST CRIME社長の遠藤のパソコンをハッキングして罪を擦り付けた犯罪者。


・末端構成員

マコ

 コミュ障で誰からも相手にされず、人の役に立ちたい一心でガイア復興の活動に参加するようになった少女。失敗することを恐れ、他人に自分が受けた指示を何度もしつこくオウム返しで確認するため、ガイアの会の中でも周囲から煙たがれている。


 その他、過剰に近代化していく社会の中で、居場所をなくした者達、社会不適合者、自然回帰主義者、DV被害者、被虐待児、精神疾患、発達障害を持つものなどの社会的弱者。


その他 主要人物




小屋敷ルカ

 中学時代のクロス(碧)の友人。小屋敷キバの妹。

 中学生時代は、教室に馴染めない者同士、碧といつも行動を共にしていたが、碧とは性格は真逆で、気が強く、変わり者で周囲から煙たがれていた。

 動物愛護思想家で、保健所から引き取った犬や猫を大量に自宅付近の森で育てていた。同世代の子と共通の趣味などは一切持っておらず、自分にとって人間の理解者は碧だけだと思い、碧に自分の考えを語ることを学生生活の唯一の楽しみとしていた。

 碧が他の学生と群れるようになり、自分がいじめられるようになっても見てみぬふりをするようになるのを認めると、その穴を埋めるため、それまで以上に動物に対する執着心が強くなり、家族が困るほどの犬を保護するようになる。

 ルカがいじめを苦に自殺した後、犬は残された家族で保護していたが、母親が病死してから兄のキバが全て引き受ける。


 奏未空

 もともと選良市民特区の裕福な家庭で生まれたGMOサピエンス。学生時代に父親が昔詐欺を働いた咎で逮捕され、有罪判決を受ける。

 自分がGMOサピエンスとして高い知性・容姿・身体能力に恵まれるに至った遺伝子操作は、他人から奪い取った金で成り立っていたことが分かると共に、周囲の人間からバッシングを浴びせられ、選良市民特区から追い出される形で貧困地帯へ移住し、母、祖母と共にひっそりと暮らすようになる。

 編入先の定時制の学校では、当時まだ遺伝子組み換え人間は特異な存在であり、周りの生徒からは化け物扱い。大人たちからは倫理的に問題のある存在として虐げられ、対人恐怖と吃音を患い、人と話すことが出来なくなる。

 その後、システムエンジニアとして働き、エンジニアとしては優秀な働きを見せるが、コミュニケーション能力が低いため、執拗にハラスメントを受け、人間よりもAIに心を開くようになる。

 IoT社会を築き上げたエンジニアの一人として、ガイア復興の会から殺害対象とされ、命を狙われるようになる。


森原

政府与党の政治家。タカ派。発達障害者の出生が増えているというデータを根拠に、遺伝子組み換えによる優良化人間の生産を全国的に合法化しようと主張する。

裏で選良市民特区の開発にも関わっている。野党や人権団体からはナチスの再来と非難されてる

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