第6話 犯人
───俺はどこで間違えたのだろう。
なぜ、この時間家を出て、この時間になっても妹が……鈴が帰ってこないという変化が起きてしまったのだろう。
いや、わかってる。料理の量が増えたのが原因だろう。材料……いや、調味料が切れた。
そう考えれば自然だ。
いや、待てよ。それ以前に何かがおかしい。
何もおかしくないはずだ。鈴は17時半くらいに家を出たんだ。誘拐犯に襲われたんだろう。
───誘拐犯?
今回の今日には誘拐犯は発生していない。俺と霧島が付き合っているのに、一体何が引き金になっているんだ?俺の変えようとしてる今日に何が起きているんだ。
「……くん!」
誰かが呼んでる……。この声は…霧島。
バチンッ!いきなり右の頬に衝撃が走る。
「……っ!」
何が起きたのか、と我に帰る。
そこには目に涙を浮かべる霧島の姿が。
「朝日くん!何してるんですか!ショックなのも……わかります。けど、今するべきは無事を信じて探しに行く事ではないのですか!?」
霧島の言葉に目が覚める。俺は何をしてるんだ、妹を探しに行かず、彼女にこんな顔をさせ、友達にも迷惑をかけてる。
「朝日くん……大丈夫です。私たちも、その。いますから。」
霧島は俺の目を見て精一杯の笑顔をくれた。
「鈴ちゃん探しに行かないとね!」
「親友の妹なら俺の家族でもあるってな!あれ?違うか?」
本多……最後のそれ言わなければいい感じにおさまったぞ。
「みんな、頼む。鈴を……妹を探すの手伝ってくれ。」
「当たり前だ。」
全員で手分けをして探しに出た。
───21時15分。
父から電話がきた。
「もしもし?どうかした?」
俺はすぐに出る。
「あ、えーと、光?そのな、鈴が、帰ってきた、ぞ。」
なんで、そんなに途切れ途切れなのかわからなかったが、俺は「わかった」と、電話を切り。
もう時間も遅いからみんなにも連絡を入れ、各自帰宅するように伝えた。
俺は自宅から近い位置にいたから、五分足らずで帰って来れた。
家の前に黒いゴミ袋が一つ置いてあった。
"プレゼント"と、書かれている。
一体なんだろう、と思い俺はその袋をあけると……。
「……っ!?」
バラバラに刻まれ詰められた鈴の姿があった。
「な!?と、父さん!」
俺は家に駆け込む
「す、鈴が!鈴が…そ……とで。」
血の飛び散るリビング、そして動かない父。
どういう事だよ。なんでこんな事に。
俺は、気が付いたら外へ逃げ出していた。
少し走ると、そこには倉西の姿があった。
「何か、あったのですか?」
俺は1通り説明し、倉西に頼む。
「お願いだ。俺を今日に帰してくれ。」
「はい、では握手を。」
そのまま、俺は家に帰り何も見ないようにしながら自室で眠りについた。
───7時20分。
今日……か。
大体目星はついた。霧島を彼女にしない。本多から関係を聞いたりしない。
ほとんどを本来の今日として生きてやる。
心音も、本多も、鈴も誰も死なせない。
ただな……。
『復讐はしてやるよ。俺はお前を許さない。』