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ワールド・ティーチャー -異世界式教育エージェント- 作者:ネコ光一

十八章 不揃いの天使

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番外編 ミート・ライオル

※注意

 この話は作者の悪ノリによって書かれています。
 話の大雑把さ、若い人の置いてきぼり感が半端ないので、寛容な心で読んでいただけると幸いです。

 今回の話は時間軸や状況は本編とまったく関係ないので、読み飛ばしても問題ありません。
 そしてパロディー全開の作品ですので、苦手な方は気をつけてくださいませ。

 本編は明日更新になります。

 今日も今日とて旅を続ける五人がいた。

 大きな剣を携え、とある秘密を持つ御隠居様……ライオル。
 その従者である……エミリア。
 従者その二の……レウス。
 食事が大好きな付き添い……リース。
 一行を縁の下から支えるエルフ……フィア。

 そんな五人による一行は、大きな宿場町へ到着していた。

「むう、腹が減ったのう。どこかに美味いものが食える店はないかのう?」
「あの……御隠居様? それを先に言われたら私の存在意義が……」
「存在意義なぞ気にする必要はないわい。小僧、初めての町じゃが何か良い店は知らんか?」
「御隠居と一緒の俺がわかるわけないだろ」

 その時、一行の足元に一本の矢文が突き刺さった。

「これは……シリウス様からですね。手紙によると、あちらにある団子屋が美味しいそうです」
「団子かぁ。美味しそうだね」
「ほう、団子か。じゃが今は甘いものより辛いものが食いたいんじゃがー……」
「シリウス様がお勧めしたところですし、行きませんか?」
「うむ、行くとしよう」
「御隠居様はエミリアの言う事だけは即決よね」

 切り替えの早さは見事な御隠居様である。
 そして一行は、小さな団子店へとやってきた。

「店主! メニューに載っている団子を全部じゃ!」
「だから私より先に言わないでほしいんだけど……」
「ケチケチせんでいいじゃろ。どうせお主も食べるんじゃろうが」
「それはそうだけど……あ、このメニューに載っている団子、全部三個ずつください」
「ぬう!? わしは五個ずつじゃ!」
「張り合わないの」

 フィアに窘められながらも注文を済ませ、一行の前に大量の団子が運ばれた後、突然店内に柄の悪そうな男たちが入って来たのである。

「店主! 店主はいるか!」
「は、はぁ……私が店主ですが」
「貴様が俺たちから借りた金をさっさと返せ! さもなくば、この店がどうなっても知らねえぞ?」
「お、お待ちください! そのような金を借りた覚えはー……ひぃ!?」

 店主は柄の悪い男に胸倉を掴まれ、店内は不穏な空気に包まれ始めていた。

「……明らかに様子が変ですね」
「ああ、金を返すにしては強引過ぎるっていうか、とにかく酷いぜ。御隠居、ちょっと行ってー……」
「それはわしのじゃぞ!」
「御隠居様こそ私のを取らないで」
「……いいから助けちゃいなさい」

 指示を仰ぐべき御隠居様はリースと団子の取り合いに夢中なので、エミリアとレウスは気にせずに店主を助けに向かうのだった。
 そしてあっという間に柄の悪い男たちを撃退した二人は、店主から話を聞いてみた。

「あの者たちは最近この辺りで暴れ回っている悪党組の連中でして、先程のように借りた覚えのない金があると言って脅しに来て、我々から金を無理矢理毟り取っているのです」
「酷い話だな。町の役人は何も言わないのかよ?」
「我々も何度か申告しているのですが、役人たちは積極的に捕まえようとしないのです。少し前に悪党組の連中が牢へ入れられた事がありましたが、すぐに出てきたそうです」
「役人の方が怪しいですね……」
「ですが、お上が相手では我々には何も出来ないのです。実は先日、役人の人たちが金を渡せば連中から守ってやると言いに来たのですが、払わずにいたらご覧の有り様ですよ」
「腐ってるやがるな! 御隠居、こうなったら俺たちがー……」
「おかわりじゃ!」
「おかわりお願いします」

 食べる事に夢中で、御隠居様は碌に話を聞いていなかった。
 そしておかわりが来る前にエミリアから説明を聞いた御隠居様は……。

「それで? 誰を斬ればいいんじゃ?」
「いや、そんな簡単な話じゃないんですけど……」

 御隠居様は少し複雑で長い話になると面倒になるので、誰を斬ればいいのかと単純に考えるようになるのだ。

「ふーむ……どちらにしろまずは宿じゃな」
「あ、そっか。さすがに今から行くと夜になっちゃうもんな」
「いや。甘いものばかりじゃから、普通の飯が食いたいのじゃ」
「助けないのかよ!?」
「そんなわけないじゃろうが。つまり明日になったら、その役人の所に乗り込んで手当たり次第に斬ればいいんじゃろ?」
「いや……そんな簡単な話じゃねえって」
「まあまあ。とりあえず調べるのはシリウスに任せましょ。気配が感じられないから、今頃調べに行っているかもしれないわ」
「そうですね」

 その後、二度のおかわりを要求した一行は店を出て宿へと向かうのだった。





「ふぅ……良い湯ね」

 その日の夜、一行が見つけた宿のお風呂にフィアが入っていた頃、夕食を終えた御隠居様は部屋で寝転がっていた。

「ふぅ……今日も疲れたわい。さて、剣を振りに行くとするかのう」
「何か台詞がおかしくねえか?」
「ぬ? 何がおかしいのじゃ?」
「いや……御隠居が満足しているなら別にいいよ」
「変な奴じゃな。もちろんお主も来るにー……」
「素振りに行くのはちょっと待ってくれないか?」

 剣を手に外へ出ようとした御隠居様を止めたのは、陰から一行を助けているシリウスだった。

「あ、シリウス様! 何か判明したのですか?」
「ああ。あの団子屋を襲った悪漢たちだが、役人たちと手を組んでいるのが判明したよ」

 そして町の役人は完全に黒で、悪漢たちを使って店から金を盗らせるか、悪漢たちから守ってほしければ金を寄こせと言って金を毟り取っているそうだ。

「それと連中が邪魔をした爺さんたちを探しているそうだ。そのせいで団子屋の店主が役所に連行されて、爺さんが何者か尋問しようと企んでいるらしい。乗り込むなら急いだ方がいいぞ」
「許せねえ……御隠居! 今すぐ乗り込もうぜ!」
「仕方がないのう」
「御隠居様。暴れ過ぎて店主さんも斬らないでくださいね」
「視界に入らなければ斬らんから安心せい」
「全然安心出来ねえよ……」
「私が確保しておくから大丈夫よ。すぐに行きましょう」
「あ、ちょっと待って。すぐに食べ終わるから」
「「まだ食べてたの!?」」





「答えろ店主! 店で暴れた連中は何者だ!」
「し、知りません! 私が困っていたのを助けてくれた、通りすがりの旅人ですよ」
「貴様が雇った護衛ではないという証拠がどこにある? 牢に連れて行って拷問してでも吐かせるのだ!」
「お、お許しください!」

 一行が役所へとやってくると、そこでは不当な裁判が行われていた。
 そして冤罪で地下牢行きになった店主だが、連行しようとした男たちが急に吹き飛ばされたのである。

「な、何者だ!」
「よっと!」

 そしてシリウスは意味もなく空中で回転しながら店主の前に降り立った。

「名乗る程の者じゃない。ただあんたの邪魔をしにきただけだよ」
「そこまでだぜ!」
「無事ですか店主さん? 帰ったらまた団子を食べさせてください」
「ふむ……あいつを斬ればいいんじゃな?」
「それはもう少し待ってくださいね」

 同時に御隠居様一行も現場に雪崩れ込み、役人の長は怒りの形相を見せながら一行を指差していた。
 そして役人の近くには、団子屋で暴れていた悪漢たちの姿もあった。

「あいつだ! 俺たちの邪魔をしたのはあいつ等だぞ!」
「何だと!? 我々の邪魔をするとは不届きな連中め! 全員出てくるのだ! 連中を始末しろ!」

 そして建物の奥から武器を手にした役人や、柄の悪そうな連中が次々と現れたのである。
 その数は多く、あっという間に御隠居一行は囲まれてしまった。

「仕方がないのう。エミリア! 小僧! ここで待っているのじゃ!」
「お任せをー……って、違う!? 何で俺たちが待つんだよ!」
「御隠居様。戦いは私たちに任せて下がってー……」
「ぬおおおお――っ!」

 すでに戦いは始まり、御隠居様はノリノリで剣を振り回していた。

「……あのままだと全員斬っちゃいそうだから、急いだ方がいいんじゃない?」
「斬り殺される前に、俺たちで気絶させるんだ」
「わ、わかりました!」
「前に出過ぎだっての!」

 そこから多くの者が入り乱れる、激しい戦いが繰り広げー……。

「おりゃ! 次はどいつだ!」
「ぬおおおお――っ!」

「背後が甘いです!」
「ぬおおおおおお――っ!」

「あの爺さんには近寄らない方がいいぜ?」
「はあああああ――っ!」

「私の後ろから出ちゃ駄目よ。斬られちゃうから」
「わ、わかりました」
「せりゃああああ――っ!」

「あ、これ美味しい。金を集めているだけあって豪華なものを食べているみたいだね」
「ぬははははは――っ!」

 否……激しい戦いというか、もはや蹂躙劇であった。

「「「…………」」」
「ぬりゃあああぁ――っ!」
「……もう、いいんじゃないのか?」
「そ、そうですね。皆の者、静まりなさい! 静まりなさーい!」

 そして戦いを一時中断させようと、エミリアが周囲に声を響かせるが……。

「ぬおおおおおお――っ!」

 御隠居様だけ止まらなかった。

「ぬはははははっ!」
「何で俺に斬りかかってくんだよ! 敵はあっちだって!」
「連中が温過ぎるのじゃ! 小僧が相手になれい!」
「お爺ちゃん、ハウス!」
「むっ!?」

 エミリアが放った魔法の言葉によって戻って来た御隠居様を確認したところで、今度はレウスが注目を集めるように叫んだ。

「この漆黒に輝く大剣が目に入らぬか!」

 ちなみに御隠居様が掲げた大剣は……返り血で真っ赤だった。

「こちらにいらっしゃるのは、かの名高き剛剣、ライオル様です!」
「お前たち、斬り捨てられたくなければ座れ! 控えろ!」

 役人と悪漢たちはどうするか一瞬迷っていたが、逆らっては駄目だという点は理解したので大人しく平伏していた。

「うむ! では右から順番に斬るとするかのう」
「お爺ちゃん、ちょっと向こうで素振りしててください」
「わかったのじゃ!」

 どっちが上なのかわからない光景だが、御隠居様が大人しくなったところで、エミリアが役人たちの罪状を問い詰め、シリウスが持ってきた証拠を突き付ければ観念したようだ。

「というわけで、すぐに自首してください。もし聞いていただけないなら……」
「き、聞かなければ?」
「あちらのライオル様が……張り切ります」
「「「……張り切る?」」」
「はい。凄く張り切ります」

 その時、とてつもない轟音と同時に役所の建物が真っ二つとなっていた。

「お爺ちゃん! 建物は斬っちゃ駄目です!」
「か、勝手に斬れたんじゃよ! わざとじゃないわい!」
「とまあ、張り切るとああなるから、素直に自首する事をお勧めするわ」
「……はい」

 こうして、役所による悪行は全て晒され、町に平和が訪れるのであった。

 一方……。

「ねえ、もっと美味しいものはないかな」
「……我が家の食糧庫が空に!?」

 役所の食糧事情にも危機が訪れているのだった。





「この度は助けていただき、本当にありがとうございます」

 次の日、一行は再び団子屋にやってきて団子をご馳走になっていた。

「いえ、私たちは当然の事をしただけですよ」
「そうだぜ。それにこうして、団子をただで食べさせてもらっているんだからさ」
「おかわりじゃ!」
「おかわりおねがいします」

 絶好調な二人が団子を貪る中、一行の下に一人の男が現れた。
 それは新たに派遣された役所の者で、エミリアに一通の手紙を渡して去って行ったのである。

「それで、何て書いてあったの?」
「……昨日、御隠居様が斬った、建物の請求書です」
「…………」
「むう……食った食った! これで一件落着じゃな!」
「落着じゃないです! とても払える額ではありませんから、お爺ちゃんはその剣を売ってきてください!」
「ぬあっ!? いくらエミリアでもこれだけは駄目じゃ!」

 一行の旅は、まだまだ続く。

 というわけで、実に暴走した作品となりました。
 さすがに雰囲気がやばい気もするので、状況次第では削除する事も考えています。

 この作品は、御隠居様が従者を差し置いて暴れる事と、静まらなければいけないのに御隠居様一人だけ静まらない……という小ネタをやりたいが為に作られたものです。
 基本、ノリだけで突っ走る話ですので、雰囲気だけでも伝わっていただければ幸いです。


 本当は二日前に本編である次の話を挙げる予定だったのですが、次の話を書き終わる直後にこのネタが浮かび、時折暴走したものを書きたくなる病気が発動したので書く事にしました。

 というわけで、次の話はほぼ書き終えていますので、本編は明日更新となります。

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