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09_疾走!街を走りつくせ!

 冬が近づいてきた、といってもこの国はそれほど寒くない。

 孤児院に来る前からそうだが雪は未だに見たこともなく、記憶を掘り返してみてもそれほど凍えるような経験はない。

 一応四季はあるのだが、日本ほど鮮明ではない感じだ。それでも冬になるとちょっと寒くなるので冬に向けた支度が始まる。と言っても大したことはない、年末の大掃除感覚だ。


 やることは本格的に寒くなる前の大掃除と、菜園で育てている一部の寒さに弱い植物を小屋の方に移すこと、追加の掛け布団をだしてきて干してから使う、とその程度。

 ちなみに衣替えは行わない。

 この世界の人は寒さに強い?のか薄着がデフォルトだ。

 冬でも普通に半そでの人とか全然いる。なので季節によって服を変えるということ自体している人を見ていない。


 この辺も魔力の影響なのかな。

 自分自身も明らかに日本にいた時より寒さにはかなり強くなっているみたい。

 子供だから体温高く暖かいだけかもしれないけど。


「ねぇねぇ、マリィはお湯は出せないの?」


 私は水魔法が得意ということで水回りの掃除担当になっている。

 給水タンクもこの大掃除の日は水を抜いて掃除するがそっちはさすがに大人が担当だ。私はハルトンと外の水道、洗濯機周りの掃除をさせられている。

 ちょろちょろと魔法で真水をだしては雑巾で拭いていたところだ。


「教えてもらったクリエイトウォーターは水しか出せないっぽいんだよな。お湯が出せる魔法は別であるのか、炎系の魔法と組み合わせ方とかあるのかな。」

「そっか!水を火であぶったら沸騰するから火を使えばいいんだ」

「いやいや、毎回鍋もってきてやるんだったら普通に炊事場でやればいいだろ。」

「それもそっかー」

「さっさと終わらせようぜ」


 あれから結局水魔法だけを集中して特訓することにしている。

 今ではかなり制御能力があがって水を出す量や方向はかなりの精度で調整が可能になった。

 ただ、一度に出す水の量を多くするというのはほとんどできていない。

 初期よりは上がってきたものの、全然増えない。もっと大量の水を一気に召喚できれば攻撃魔法みたいに使えると思ったんだけどなあ。


「あれ?、びちゃびちゃになってないじゃん」

「当たり前だろ、毎日練習してるんだからな。もう完璧よ。」

 ふとん組の手伝いをしていたベイリャは先に戻ってきていた。


「そっちも終わった?じゃあ、こっから暇だな」

「じゃあ、外回り行こうよ」

 一度ギルドに行ってから外に対する不安感は全然なく、この辺は治安もかなりいいことがわかったため、最近は孤児院の近所を練り歩くのが趣味になりつつある。

 さすがに遠くまで行くと怒られるが近所くらいであれば、別に問題ない。


「いつものピンポンダッシュしにいくか」


 外に出始めたことで最近の熱い遊びはこれだ。


 コンコンコン・・・ガチャ

「よーい、どん!」

「あら、誰か来たと思ったのだけど」


 特に足の速い私は大人相手でも逃げれそうだし、最悪の場合は先に足の遅い子分どもがつかまるからノーリスクでスリルを楽しめる最高の遊びだ。


 コンコンコン

 コンコンコン


「いやー、今日もいい汗かいたな。」

「全部逃げ切れたわね!この遊び面白い!こんなの考えつくなんてマリィは天才ね!」

「そうだろう。そうだろう。絶対捕まらずに生涯やってやるぜ。」


 笑いながら今日も無事孤児院に帰還

「もうすぐ晩御飯か」

「マリィ、ちょっといいかしら」

「どーしたの院長先生」

「部屋にいらっしゃい」


 なんだろ、今日は何も壊してないから流石にいつもの説教じゃないだろう。

 もしかして、また神童としての特別な魔法訓練とかの話だったりして。


「何にやにやしてるの、そこに座りなさい。」

「はーい」

「最近ね、というか今日もだけど、ご近所さんから苦情がきているのよ。どうも子供がいたずらしてるって」

「んっっっ」

「やってない」

「まだ何をしたかは言ってないのだけど?」

「証拠は、証拠はあんのか!」

「はぁ、逃げていく子供の中に金髪を見たっていう人がいたわ。この辺りで金髪なんて、私はあなた以外知らないわね・・・」


「ぐぅぅー」

「マリィちゃん大丈夫?」

 結局、私が主犯認定され、罰として夕食抜きにされてしまった。育ち盛りなのに!

 日ごろの行いからお前が考えてやり始めたんだろってなんだよ!

 日ごろからいい子にしてるだろ!

 まあ実際考えたのは私だけど・・・


「そんなに走りたいなら、次の体育テストは合同だったから走らせてあげるわ。いい成績を出せるなら、もう少し遠出も許可してもいいわよ。」

 次の日の朝、朝食前にお腹が減りすぎてしょんぼり待っていた私に院長が話しかけてきた。


「体育テスト?」

「ああ、マリィはやったことなかったかしら、何年かに1回向こうの孤児院と合同で子供たちの体力勝負みたいなものをするのよ。競った方が才能をみやすいでしょう。今年はやる予定だったから徒競走でいいかもね」

 向こうの孤児院というのは同じ街にもう一つあるというひまわり孤児院のことだろう。

 もちろん行ったことも向こうの子どもとも会ったことはないけど。

 どうやらヴェストリアの話を要約すると運動能力の高い子供は将来有望だから、それを競う形で正確に確認する。

 その結果も元に追加で魔法教育を受けさせるとか、住み込みできる仕事のうち、重労働になるようなものを積極的に回すとか、そういった指標にしているらしい。


「よっしゃ!私に任せろ!絶対向こうの連中に勝ってやるぜ!」

「張り切るのはいいけど、あなたはまだ7歳だから勝てはしないし、就職の色々ももうちょっと先よ。」

 そういうヴェストリアの声は既にマリィには届いておらず、朝食をかきこんできた。


「よし、特訓だ!」

「なになに?」

 午後の内職をそうそうに切り上げて外に出てストレッチをはじめる。


「また、ぴんぽんだっしゅってやつやるの?」

「いや、あれは・・・」

 ちょっとやりたいと思ったが我慢だ。

 初めて言われたが確かに金髪は珍しいのか全然みていない。

 母親は金髪だったから、その遺伝だろうけど、こればかりはどうしようもない。


「そうだ、おまえら体育テストって知ってるか?」

「あれでしょ?ひまわりのやつらと競争するやつ、いつだったっけ、ボール投げ競争するやつでしょ」

「前回はそんなことやってたのか、今回はどっちが足早いかで勝負するらしい!」

「だったらマリィが一番になっちゃうじゃない!」

「そうそう!年上の奴らもごぼう抜きにしてやるんだから練習するんだ!」

「どこを走るの?」

「さあ?」


 しまった、足が速いから絶対勝てるぞって浮かれててコースを聞いてなかった。


「とりあえず走る前の準備だ。今日のところは近所を走ってトレーニングするぞ!」

「お~」

「その変な動きなに?」

「これはラジオ体操だ!」

「ラジオ?」

「気にすんな!これすると健康にいいんだぞ!」

 やっぱりこれだよね、意外と体は動きを思えているものだ。第2もあるらしいけど。


「それじゃ、しゅっぱーつ!ついてこいよ―!」

 まずは全力だ!

「お前ら、次どっち行く?あれ?誰もいない・・・」


 しまった早すぎて置いてきてしまった。

 まあ、あいつらは小学生みたいなもんだからトロイんだよな。

 でも体力テストは孤児院の上の子もやるから中学生くらいのやつもいる。

 この世界、割と発育がいいから日本にいた時の年齢よりも実際はちょっと高めの体つきしていることが多い。

 それでも勝つけどな。


 いよいよ体育テスト!・・・の前日になった。

 こういうイベントごとは流石にワクワクする。

 学生の時の運動会を思い出すな。といってもここは学校ではないんだけど。

 この国に学校は、実はあったりする。

 ただ、日本の義務教育のような学校ではなく本当に最低限の言語や算数を習うだけで半日だけしかない。

 つまりこの孤児院と一緒らしい。


 この孤児院も公営だから同じカリキュラムなのだろう。

 もっと大きい州都とかだと貴族やお金持ちの子、特に頭のいい特待生が通う学校があるらしいのだが、この街にそこまでの施設はないと授業で聞いた。

 街の学校で成績優秀だと受験するとか言っていたけど、さすがに孤児じゃ厳しいだろう。

 まあ、行きたいかというと別に行きたくない。

 そもそもこの世界より科学の発展した文明レベルの高い日本で大学卒なんだ。

 子供のおままごとみたいな授業につきあっているより他のことをしたいな。


「今日は明日のテストの下見だからな、ちゃんと全員ついてくるんだぞ。」

 ガットルンの号令に従ってみんなトコトコとついていくが遠足気分でふわふわしている顔の奴らが多い

 。そういって歩くこと40分くらい、公園に着いた。


「ここまでの道は覚えたか?大きい道だから迷わないだろうが、明日はこの公園から走って孤児院までいき、もう一度この公園に戻ってもらう。」

「ひまわり孤児院のやつらは?」

「ああ、同じだ。ここはうちとひまわり孤児院とだいたい真ん中くらいなんだ。だから向こうも同じように孤児院とここを往復して競う。街の人にも通達してあるしアピールするチャンスだから真面目にやれよ。」

 つまり、それぞれ体力があるところをメインストリートの人に見せて、近場で就職しやすいようにっていうことか、確かに遠くで就職するのは大変だから、職の多いであろうメインストリートを走るようにしてくれているんだな。


 ただ気になることがある。

「ひまわりと距離はほんとに、ピッタリ同じなんですか!」

「同じだぞ、俺が子供の時からこの方式はたまにやっていたから、昔誰か計ったんじゃないか?」

「そんなの信用なりません!公平な条件でお願いします!」

「いやそんな勝ち負けにこだわるものじゃないんだからいいだろ」

「勝ちたいんです!」

「ま、まあ頑張れ・・・」

「みんな明日は絶対勝つぞー!」

「おー!おー!」


 イベントがないからか、孤児院のみんなはノリノリだった。

 絶対勝ってやると誓って夜は早めに寝た。

「マリィちゃん、明日楽しみだね。ワクワクして寝れないかも~」

「くかー」

「はやっ!」


 翌日

「それじゃ、これを腕に巻くんだ」

 公園についてから赤い布を渡された。

「孤児院にも同じものを用意しているから、もう1個巻いて帰ってくるんだぞ。なかったら孤児院に行ってないのと一緒だからな」

 そういうシステムか。

「じゃあ赤組としてがんばれ!」

「もしかして向こうは白組?」

「そうだぞ」

「運動会かよ!」

「向こうも来たぞ」


 説明を受けていたらひまわり個人の子供たちがぞろぞろくる、こっちより人数はちょっと多い。

 うちが12人に対して、相手は20人か。

「ひまわり孤児院の方が大きいのかな?」

 特に交流があるというわけではなく、同じ街といえど近所しか歩き回らないので全員初対面だ。


 と、じろじろ見ていたら明らかに成人男性相当でかなり大柄なやつが敵に混ざっているじゃねーか、反則だろ。


「おい、あれずるじゃないのか?」

 そういってガットルン先生の袖をつかんで文句を言ってみる。

「まあ、女の子の方が強いわけだし別にいいんじゃないか?」

「???」

 女の方が強い?

 そうなのか?

 なんかからかっている雰囲気がなく、シリアスなトーンで言われたから聞き返すことができなかった。

 ガットルンは向こうの先生に呼ばれて行ってしまった。


「おい、ベイリャ、ちょっとこい」

「なになに、相手の調査してるのに」

「女の方が足って速いのか?」

「ん~足は知らないけど、女の方が強いよ。冒険者も女の方が多いし」

「そ、そうなのか」

 確かに思い返してみるとギルドに行った時も女冒険者ばかりだった。

 案内してくれたチンピラは男だったけど。

「なあ、筋肉とか男の方がすごいだろ?男の方が強いんじゃないか?」

「そっかなあ?あんましよくわかんないや」

 子供に聞いてもしょうがないな、っとそれよりレースに集中だ。

 あの大きい男には絶対勝ってやるぜ。


「ラジオ体操第一!」

「お前ら何やってるんだ?・・」

 今、孤児院ではマリィの発案したラジオ体操第一がバズっている。

 今日来ているのは年齢的にマリィの上下近い年代だったこともあり、みんな影響を受けてラジオ体操をやっている。

「なんだ、あいつら変な踊りしてるぜ」

「やっぱりしょぼい方の孤児院のやつらは変な奴らだな」

「余裕の勝利だな、所詮中央から遠いやつらだぜ」


 ブチッ

 こいつら、わざと聞こえるように言ってやがる。絶対許せねぇ。

「おうおう、言ってくれるじゃねーか、お前らなんか、うちのマリィさんが余裕で蹴散らすからなー!」

「そーだそーだ!」

「マリィ!マリィ!」

「ん?」

 まてまて、なんでこいつら、こんなに私を頼ってくるんだ。


「マリィはぴんぽだっしゅで鍛えてきてるのよ!」

「そーだそーだ!」


 あれかーーーー


「ぴんぽんだっしゅ?なんだそれ?」

「興味もってんじゃねー!、と、とりあえず私が一番にはなってやるから、その辺にしろ!」

「そんなことより、お前らの中で一番早いのは誰だ?」


「俺だ」


 やはり筋肉の多い大柄の男がすっと前にでてきた。

「リョーンは配達員になるのが決まっているからな、そっちに勝つためだけに出場するんだ、これでこっちは絶対まけないんだよ」

 向こうの孤児院でもやはり競争というのが珍しいらしくイベントとして盛り上がっていたようだ。

 そこで最終兵器としてだされたのが、本来就職に向けたアピールをするためなのに就職が決まっているリョーンとかいうやつを出してきたのか。

 きたねー。そこまでして勝ちたいか


「おい、そろそろ始めるぞ」


「今日は本気出してやるぜ」

 そうだ、よく考えたらこの世界は魔法があるんだ。

 多分身体強化の魔法とかもあるよな。

 そんなことをギルドで話してた気がするし。

 そうすると私も使えたりして?現代の知識があるから筋肉の動きとか体の構造とか意識ができる。

 それだ!筋肉に魔力を注ぐイメージでどうだ。

 水づくりで魔力については結構慣れてきている。

 水ではなく自分の動きのエネルギーにするんだ。


「んんんんー」

 眼を閉じて集中する。


「んんんんー」

 体に魔力が浸み込んでいくような、そんな気がしなくもない。


「んんんんー」

「おい、マリィ」

 体がちょっと熱くなってきた気がする。


「んんんんー」

   カッ


「みんなもう行っちゃったぞ」

「えええええー!」


 とりあえず身体強化できたような気がする、行くぞ!全力ダッシュだ!

 ダダダダダ!


「あいつ、早すぎないか・・・?」


「おー、魔力で補助できてるような気がする!いつもより調子いいぜ!」

 本当にあっという間にうちの孤児院連中に追いついた。


「マリィ、きたわね」

「おう、悪いな、先に行くぜ!」

 ぴゅーっと一気に追い抜いて孤児院へ、恐らく距離的には片道4kmくらいだと思われる。

 このあたりではメインっぽい道路なので広くて走りやすい、一気に走り抜けていく。かなり早い、日本にいたときは絶対こんなに早く走れていない、もしかして足の速さチート能力をもらっていたのか!?


「あら、やっぱりマリィが一番にきたわね」

 孤児院につくとタニアが布を持って待っていた。

「はい、どうぞ。頑張ってね。」

「ありがとう。絶対勝ってくる。うおおおおおお」



「なあ、さっきの金髪の子、すごくないか?」

「ウルフ系の魔物が出たかと思ったぜ」


 ドドドドオドドド

 再度折り返しで金色の高速移動する何かが通りを横切っていく。

「きいいやあああ」


「また、きたぞ!」

「なんだなんだ」

 折り返しがあることを知っているので何人かが「すごいのがいる」と人を呼んできていており、帰りの道は行きより人が多い。


「この街にあんな子がいたのね。」

「あの身体能力なら上級冒険者になれるんじゃない」

 こうして本人の知らないところで神童の噂が広まりだした。


「うぉ、マリィもう帰ってきたのか!?」

「ごおおおおおおる!」


 ドゴーン

 ガサガサ

 勢い余ってそのまま公園の生垣に突っ込んでしまったが、辺りを見回すと敵さんはまだ帰ってきていないようだ。

 ガットルンとヴェストリアと向こうの職員しかいない。

「それにしても速すぎるわ。でもちゃんと布は巻いてますね。」

「そちらの子、すごすぎません?こんなに足の速い人そもそも見たことないですよ。」

「冒険者だといなくもないが・・・本当にあなた才能だけはすごいみたいね」


 おい、才能「だけ」ってなんだよ。まるで普段から才能の無駄遣いしているような言い方じゃねーか。私には思い当たるふしが・・・・


 結構あるな・・・


「まあ、なにはともあれ、一番ですよ。凄いわマリィ」

 素直に褒められると悪い気はしない。

 それから5分以上待ってようやく配達員見習いのリョーンが帰ってきた。


「ハァハァハァ」

 ゴールして倒れこんでいるリョーンに金色の影が近づく。

「ハァハァハァ、え!?」


 大の字になって息を整えているところに横から突然にやけきったドヤ顔に見下ろされる。

「いやー、楽勝だったわー、息すらあがらなかったわー、口だけだったなー」

「うわーーーん」

「こら!何やってるの!」

 走り切って疲れたはずのリョーンは泣きながら走って行ってしまった。


 その後はみんなが戻ってくるまでヴェストリアにいつもの説教、結果としてはひまわり孤児院の方が全体的には速く帰ってきた。

 体育テストも終わって、ゆっくり歩いて孤児院に帰る。


「マリィ一番だったのよね?」

「あったりまえよ!」

 周りのみんなからの信頼度が一段と上がった気がするな。


「お、さっきのお嬢ちゃんか、すごかったなー」

 珍しい金髪だからかよく覚えてもらえたようで街の人からもちょこちょこ声をかけてもらえる。一躍有名人だぜ。


「あらあなた、うちにこの前ノックを・・・」

「ひっ」


 キャラクター紹介

 タニア=フラム(51歳)

 教会職員

 性別:女

 種族:人間

 レベル:Lv7

 職業レベル:プリーストLv1、他

 魔法:鎮魂Lv1、他

 装備:安物の服

 仕事:女神教会の一般職

 生まれてからずっとトラクーンの街に住んでおり、職業斡旋の結果、教会に就職した。

 世界中で信仰されている女神教会がこの国でも主たる宗教として成立しているが、厳しい世界において神頼みをどこまで本気でやるのか、ということで世界中に教会があり、信仰されているものの、信仰度事態はさほど高くない。

 女神そのものにも名前はなく、とある理由から憶測で女神と評され、そのまま教会として成り立った。

 教会の役割は主にアンデッド対策であり、葬祭を執り行う役割である。(冠婚は行わないし、説法などもない)また、組織力もギルドのように強くなく、本部は存在するものの影響力は低く基本的には地場に合わせて運営されている。

 なお、回復魔法は存在しているが教会で行うものではなく病院が担当しているため、聖職者が回復魔法を使うということはない。

 アンデッドモンスターの発生を防ぐための浄化魔法が主である。

 また、金銭的にも儲けが大きいわけはないことや、死者のための仕事で敬遠されがちなことから成り手が少ないという課題を抱えてる地域が多い。

 トラクーンももれなくそれに該当し、就職してくれるものを積極的に勧誘するため孤児院に人を出している。

 タニアは教会の職員であり週に数回ローズガーデン孤児院にお手伝いとして派遣されている。

 この派遣枠は長い間維持しており、タニアは5年前に引き継いでそこから継続している。

 タニアも教会に就職したが特に才能があるわけでもないため、一通りアンデッド対策方法をマニュアル的に覚える中でプリーストの職業もLv1ながら習得している。

 実作業としては各種道具や触媒を使っての清めを行うことが主なので特に才能あるものを必要としているわけではない。

 タニア自身は既婚者で子供は二人、元々子供好きだったこともあり孤児院枠の前任者の高齢退職に合わせ本人の希望でローズガーデン孤児院の補助員となった。





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