18_金の巨城(自宅)
孤児院を出発した後に途中高そうなホテルに泊まり、二日目
「見えてきたな。ロングサンドの街じゃ」
「「おおー」」
おっさんが適当なことを言っていたのかと思っていたが本当に都会だ。
まだ街からはかなり遠いっぽいが、この時点で見える建物は明らかに高さのあるものが多い。
「マリィちゃん!あれ!あれ!」
「ん?上? 飛行船か!?」
こっちで生まれてから一度も見たことがなかったが本当に飛行船が飛んでいる。
正確にはわからないが、かなりの高度を飛んでいるように見える。
「これくらいで、驚くでないぞ! 最近ついに王都トールランドまで直通の魔導列車も開通しておる。タイミングがあれば見えるぞ」
タカダーイアが色々知識を披露してくる。どうも飛行船の方が列車より歴史が古いらしい。
なのでタカダーイアも最新技術だと列車を見せたがっているのだが、私は飛行船の方がよっぽど気になる。
なにせ日本でも飛行機は普通に飛んでいたが飛行船というのはなかった。
「飛行船って空を飛ぶと魔物とかに襲われてあぶなくないのか?」
「鳥の魔物はおるにはおるが、実際あの高さを飛ぶものはほぼおらんし、魔物はなわばりからでることも少ないので安全じゃ」
話からすると、十分安全な乗り物だとか。値段は高いけど。
飛行船と言っても形状も明らかにゴテゴテしていて前世で知っているバルーン的な感じはなかったから、明らかに異世界の謎技術だ。
さっき見た飛行船だと速度もかなり出てそうだったし、移動手段としてはかなりいいみたい。
「飛行船乗ってみたい!」
「そのうち王都にも行くと思うからその時にな」
そうこうしているうちに街の中に入ったみたいだ。
私とシロッコはずっと窓に張り付いて外を見ている。
やはりここもトラクーンと同じで中世の城塞都市みたいな感じの門などは特になく、なんとなく農村地帯から徐々に街中に景色がかわっていく感じだ。
建物の大きさもトラクーン同様に必要以上に1個1個が大きいのは同じだが、ここは集合住宅タイプで高さがあるものもあるようだ。ちょっと地震はきになるが、この世界で生まれて以来、一度も地震の経験はないから、ほとんどないと思われる。
舗装された道路やお店も多く、整備されている感がかなりある。
さらに景色が変わって明らかに街の中心部っぽいほうへ向かっていったと思ったらさらに先に進む。
「あそこ!お城があるよ~」
「ほんとだ、でっけー城だな。王様とか住んでそう。」
遠くから見ていた時も何となく見えていたが二つの巨大な塔に囲まれる形でバカでかい城が建っていた。
「うむ、立派じゃろう。あれがウィンガーラ邸じゃ」
「ん?ウィンガーラ邸?」
「今日からマリィの家じゃぞ」
「「ええー!」」
王都というわけではないから、てっきり城は観光地かなにかになっているのかと思ったがそんなことはなく、普通に私邸らしい。
城門にもしっかり門番がいて止められた。
「連絡だけは先にいれておいたからマリアンヌもきているはずじゃ。」
門からもまだ馬車で進んで城の入り口で降りた後にタカダーイアについていく、ここにほんとに住むのか?一体前世の家の何倍の広さだよ。
坪じゃなくて東京ドーム何個分とかで表現する広さだぞ。誰も東京ドームしらないだろうけど。
天井の高さも半端ないのにわざわざ4階まで登り、豪華そうな扉の前についた。
「ここじゃ」
そういってタカダーイアが扉を開いて前に進む。
「あなたが!!マリィなのね!!」
「おばあさま・・?」
マリィ!と言われて抱き着かれたもののタカダーイアの時と一緒で、ぶっちゃけ初対面だし特に感動もなにもなく、ふーんって感じではある。
ただ、どうもこれまでの話から総合的に考えると、このマリアンヌはかなりの権力者っぽいので愛想よくしておいて損はないだろう。
そしてこの人が自分の祖母だというのは確かに一目見てわかった。
ずっと言われていたとおりで私をそのまま成長させたらこうなる、みたいな見た目をしている。
しかもタカダーイアと違って普通に若そうに見える。
なんならおばあ様というよりお母さまのほうがしっくりくる。
見た目年齢だけなら母親とほとんど変わらず30前後かどうかのレベルだし、間違いなく実の母より見た目は似ている。
むしろ母親より美人でスタイルもいい、パンツルックのスーツもめっちゃ似合ってる。
おばあさまの横には同じくスーツ姿の秘書っぽいお姉さんにグランツと同じ意匠の軽い鎧っぽい服を着た男女が一人ずついる。護衛かな?
「おばあ様、お会いしたかったです!」
「マリィ! 今まで大変だったでしょう! もう安心なさい! 今日からは華族ですからね。華族として、ここでしっかり育つのですよ!あなたにウィンガーラが、ウィントールがかかっているのです!」
「はい、もちろん華族として務めを果たせるよう、精進させていただきますわ!」
「聞いてはいたけれど、間違いなく私の孫娘ね。ウィンガーラの金色の髪もそうだし、感じる魔力もすごいわ。まさかここまでとは。この年でこれならきっととてつもない才能よ。マルカナトより。マーガレッタより。今度こそ絶対に育て方を間違えないわ!」
育て方という部分も気になるが、たしかにさっき抱き着かれたときに何となく魔力っぽいものを感じた。
おそらくこのおばあ様、相当魔力が高いっぽい。
「うむうむ、そうじゃろう、そうじゃろう。“わしが“探し出した甲斐があったわい。不良娘どもで家がどうなるかと思ったが確実に安泰じゃ。道中も喋ったが非常に聡い子じゃぞ。」
「さっきから受け答えもびっくりするほどしっかりしているわね。マルカナトに習ったの?」
「いえ、お母さまとは幼いころより離れておりますので、特に教育をいただいたことはありませんわ。作法もすべて自己流ですので、これから華族の方法を勉強するようにいたします」
「ん~~~~心がまえも素晴らしいわ! あの二人は華族のなんたるかもわかっていなかったのに孫がここまで覚醒するなんて!」
「はい!わたくし、国のために尽くすことを誓いますわ!」
どうも貴族?華族?としての価値観がかなり強いっぽいので話を合わせてそれっぽいことを言うとえらく感動している。
そこまで感動するか?大げさだなあ。
「マリィ!その通りよ!私たちがこの国を支えていかなくてはいけないの!この激動の時代に必要とされているものは強い指導者、王よ!あなたも王を目指し、王になりなさい!」
「華ぃ族王に!私はなる!」
くくくくく、言ってやったぞ!
王というのがどういう意味合いの比喩表現なのかはよくわからなかったものの、日本人が一度は言ってみたいセリフだけど絶対に言う機会がないセリフをまさかこの異世界でやれるとは。
感動だ。
おもしろくてちょっと涙でてきた。
「言葉遣いはこれからだけれど、意気込みは何かドンッっていう凄味と共に伝わってきたわ。涙まで流して!そこまでの決意なのね!」
「マ、マリィや、そ、そこまでの感じじゃったっけ?」
「明日からしっかり教育するわよ!スミレ!手筈は?」
「はい、マリアンヌ様。昨日時点で連絡を受けておりますので早速手配しております。ご要望のとおり、大至急で王都に宮廷講師もできるものを選抜せよ。とだしていますので1週間程度でそれなりのものが手配可能かと」
「おばあ様、私、魔法の勉強もさせていただきたいですわ。魔法大学に入るのもお勉強が必要なのでしょう」
「コネでなんとかなるぞ」
「あなたは黙りなさい!もちろんよ!スミレ!」
「は、“水月”から誰か出すように手配させていただきます。ネイア至急連絡を」
「承知しました」
タカダーイアがどつかれてふっとんでったが大丈夫なのか?
護衛の内、ネイアと呼ばれた女のほうが慌てて出て行った。
とりあえずこれで本格的な魔法について勉強もできそうでなによりだ。
あとは
「それで、おばあ様、おかあ様は・・・」
マリアンヌの顔が険しくなる。やはり親子の確執的なものがあるのか?
「ええ、いずれマルカナトにも会わせてあげるわ。マリィがしっかり勉強して華族として一人前になったらね」
随分と先過ぎる感じがするが・・・どうしても会わせたくないっぽいな。
まあ別に会いたいわけじゃないけど、さすがに育ててもらった実の両親だし気にはなるところだな。
「直接会えて本当によかったわ。色々すっぽかしたけれど、本当によかった。」
「明日のスケジュールは詰めさせていただきます。」
「容赦ないのお」
「タカダーイア様も明日より復職で人事発令されていますよ」
「うそ・・じゃろ・・・」
「マリィも色々あって疲れたでしょう。今日はゆっくり休みなさい。」
「はい、お心遣いありがとうございます。」
「本当に、あの孤児院でどう教育をうけたらここまで育つんじゃ?」
その後も少し話をして、もう今日は解散かな?晩ごはんは豪華なのかな?っと考えていたら何やら外の方が騒がしい。
「こっちで楽しそうなイベントしてるってきいたぞ」
「今は要人の面談でしてお通しできません。」
「自分の家で入れないわけないだろ」
バーン
いきなり扉が開いた
「その子供か?」
「マーガレッタ!あなたは呼んでいませんよ!」
「筆頭騎士がわざわざ挨拶しにきてやったっていうのに」
「あなたは筆頭騎士代理よ。名乗るときは必ず正式名称になさい」
なんだ?この失礼なやつは?
ただ一目見てわかった。こいつからもかなり大きい魔力を感じる。
マリアンヌと違って隠そうとしていなくぶつけてくるからよくわかる。
こいつ・・・かなり強い。




