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12_マリィの行方2

「あ、あけおめ~・・・」

「・・・・・・」

「あの~・・・あけおめ~・・・」


 この部屋の主である黄色に近い金髪でエメラルドの瞳をした美女は紳士の挨拶を無視してペンを走らせている。

 暖炉の火だけが静かな部屋にパチパチと小さな音を立てて虚しくたてていた。


「あ、あの~」

「よくもノコノコと来れたものね。」


「半月に一回は報告しろって・・・」

「で?わざわざ私に会いに来たということは良い報告がきけるのよね?」


 ・・・・・・・


 なにも考えていなかった・・・

 静まり返った部屋、今日は新年二日目ということもあり美人秘書のスミレちゃんもいなく完全に二人きりだ。


 このままでは噴火する。


 まずいと思ったタカダーイアは必死に言い訳を探す。

 昨日まで何をしていたか。

 一瞬のうちに走馬灯のようにこの数日のことが思いださ・・・、一部酔っぱらって忘れた部分もあるが思い出される。


 市内歓楽街の一画

「もうすぐ新年だしタカダーイアさんも飲もうぜー!」

「いえー!、このビールうまいなー!」

「ねーちゃん!もういっぱい!」


 一緒に飲んでいるのはかつての同僚たち、みな年を取ったが未だに仲が良く、子育てももう終わっているものばかり、少しはめをはずしていた。


 市内広場の一画

「ここだ、ここだ、花火見るために場所どりしておいたんだ。」

「よっしゃ!花火の瞬間、みんなでジャンプしようぜ!」

「地酒~地酒いかがっすか~」

「にいちゃん!こっちにもくれ!」


 そっからはよく覚えていない。

 ただ、その辺で一緒に花火を見ていた人たちと肩を組んで騒いでいたような・・・

 気づいたらベンチで寝ていた。さむっ!


 いいわけ、いいわけ

「そ、そうだ。少しでも情報を見つけるため年末年始も休み返上で自らの足で探していたんだ!市井!この時期は人も多いから市井に溶け込んで、聞き込みをだな・・・」


「それで?聞き込んだ結果、マリィの行方はわかったわけ?」

「いや・・その・・」



 マリアンヌは思う。

 タカダーイアは決して頭が悪いわけではない。

 しかしながら、どうもちゃらんぽらんな所があるのは若いころからだ。


 農林水産副部門長として、それなりに仕事をしてきた経歴もある。

 でも、それをやめさせて個人の仕事をさせると結果がこれだ。ここで怒っても何も始まらないが、あの事を聞いたからには怒らざるを得ない。


「で、市井の誰に、どこで、聞いたのかしら?」

「そ、それはもちろんいろんな人だな。うん、うん。一番人手の多い時期だから、外に出ている人に聞き込みをね。」


「居酒屋や外で飲んでいる酔っ払いに大した情報があるとはとても思わないけれど。肩を組んで歌って、ずいぶん楽しかったみたいね。」

「いやー久しぶりにはしゃいじゃってね~」


 ・・・・・


「え、なんでそれを・・・」


「今朝の時点で報告がきていたわ。ベンチで寝てる不審者がいるってね!てめー!まじ舐めてんだろ!おらぁ!」


 強く丸められた新聞が剛速球でタカダーイアの顔面に激突した。


「ま、まさか探偵!?いや私兵の暗部か!?」

「そもそも、あなたは長年、農林水産部門にいたのよ、そこそこ有名人よ、そんな人が大騒ぎしてベンチで寝てるなんてなれば、警察に通報入るし、私のところまで情報はすぐ届くわよ。まさか、こんなことのために暗部を使うわけないでしょう!」


「じゃあ、集まった情報とやらを出してもらいましょうかねぇ~~」


「え、えがおだけど笑ってないんじゃが・・・そ、そうだ南の方へ行ったという話はしたんだっけか?」


「南?初耳よ。まさか州の外にうまく逃れたってこと?」

「そうじゃないかな?」

「それは信頼できる情報なのよね?」

「信頼!信頼できます!」


「なら今すぐ行ってこい!」

「ま、まだ外寒いんだけど」


 ぺシーン!

 丸まった新聞紙が次はタカダーイアの尻を強く叩いた。


「あぁ、私のかわいいマリィ・・今頃、新年のお祝いも対してできずに泣いているわよね・・・」




「あなた達、勝手に屋上に入ったでしょ?」

「知らない!知らないよ!」

「そう、じゃあ、花火の時にどこにいたのかしら」

「ほら!みんなと一緒に外にいたよ!」

「うそおっしゃい!途中から誰も見ていないし、屋上のドアにかけていた木の棒が落ちていたわ!」

「きたねー!鍵もかけてないくせに入ったことが分かるようにしてたのかよ!あの棒なんのいたずらかと思ったのに」


「あら?棒のこと知ってるのね?」

「あ・・」

「落ちたら危ないから屋上は禁止っていってたでしょ!」

「に、にげろー!」


 前回とは違う、今日は先回りをされないルートで逃げ切るんだ!

 そして案の定、マリィは身体能力でうまく出し抜き逃げ切った。かに思えた。


「マリィ!出てきなさい!出てこないとその分のお仕置きは他の三人に受けてもらいすよ!」

「えぇ~!」

「マリィのばかー!」


 人質作戦だと・・・子供相手にすることじゃねぇ!


「げ、外道が」

「でてきたわね、これが大人のやり方よ」


 結局マリィも加わり四人はこってり絞られた。

「大人って汚い・・グスン」



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