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10/18

10_新年祭へ繰り出そう!

 季節は流れ10月35日になった。

 最近きちんと聞いてみたところ、この世界は一年が10カ月で一月が40日というサイクルで回っているらしい。


 なので10月40日が大晦日となり、1月1日の新年を迎える。

 季節は冬、一番寒いのが9月下旬から10月初め頃なので、少し寒さも収まり始めてきている。


 年間を通じて小さな祭りのようなものはいくつかあれど、この街で大々的にお祝いをするのは、この新年祭だ。


 開拓村で暮らしていた時も新年のお祝いはしていたような記憶があるが、街に来てからの祭の記録の方が鮮明だ。


 例年、孤児院でもお祝い用の料理を食べて、夜まで遊んですごす。

 なんで夜まで遊んで待っているかというと、新年を祝うための花火が上がるのだ。

 日本で見た大きな花火大会ほどではないものの、綺麗な花火が打ちあがって新年を迎えお祝いする。


 その新年祭を5日後に控え、今日は街の方でお手伝いだ。

 もう7歳だし、近頃は割と近所に行くことも認められ始めたため、今年からは街の祭りの方に参加してもいいことになった。


 孤児院も出店を毎年出しているそうで今日は店の準備をする。

 店の方は屋台のような大変なものではなく、単に孤児院の内職で作った小物販売だ。

 12歳より上くらいになってくると既に仮就職していたり、インターン的なこともこの祭りの時にやっていたりするらしく、孤児院の出店をやるのはそれより下の年齢の子が、接客練習もかねてやるらしい。


 そして5日も前の今日、何をやっているかというと孤児院の倉庫から木でできたお店セットをストリートの方に運んでいる。

「おら、さっさといくぞ」

「これ、重いのによく一人で持てるわね」


 みんなとろいから一人で先行してストリートの方にでていく。

「お、ライトニングボルトの嬢ちゃんじゃねーか」

「ライトニングボルト少女、祭りの準備かい?」

「おう!いっぱい買ってくれよな!」


 先日の高速疾走を経て近所では私に二つ名がついた。

 その名もライトニングボルトの少女。


 ライトニングボルトというのは雷系統の攻撃魔法らしい。

 攻撃系の魔術師におけるエレメンタル魔法の基礎の一つなんだとかで、単純に敵に向かって雷を放つ魔法みたいだ。みたことないけど。


 その後も次々と店の部品を運んでいく。すでに私は5往復だ。


「さすマリ!力持ち!」

「こんなもんか」

「はやくおわったねー」

「ちょっと周りも見ていこうぜ」


 私が頑張ったこともあり思いのほか早く終わった。


 組み立ては明日以降の予定で今日は荷物の移動だけ。

 この辺りは天下の往来だし治安もいいようで店の部品は置いておいても盗まれたりはしないらしい。というかもう相当年期の入った部品だし価値もない。、


「他の店は、まだ準備してるとこはないのか」


 このあたりの区画は出店がでると聞いているが、今日の時点で準備に取り掛かっているのは自分たちだけのようだ。


 この大きいストリートの方は普段くることはない。

 ちょこちょこお店があるものの、そもそもお金をもってもいないし、馬車も通っていて危ないからだ。


「特に見るところもねーなー」


「中央までいけば色々あるらしいけどね~」


 この辺りは聞いたところによると街の西側にあたるそうだ。

 中央付近と、役所関連のある北側が栄えていて、その次が東側、この辺りは少し外れで庶民が多いみたい。とはいえスラムとかでは全然なく、今も普通に警察っぽい人たちが見回りしていたりするし危なくはない。


「お、金髪の嬢ちゃんじゃねーか。お前、ライトニングボルトなんだってな」


「誰だっけ?」

「マリィ、ギルマスよ!ギルマス!」

「ああ、ベイリャはよく覚えてたな」


「自分で言うのもなんだが、この顔で忘れられることはあまりないんだがなあ。お前ら、今日は子供だけか?何やってるんだ。」

「新年祭の準備だよ!」

「もう始めてんのか、偉いね~」


 そう言ってマスダはポケットから飴を出してくれた。うまうま。


 翌日、この日は店の組み立てだ。もちろん取扱説明書など存在しない。

 そんな中でどうやって組み立てるのか、簡単だ、口伝である。

 例年行事なので去年やった人から教わる感じだ。


「とりゃ!とりゃ!」

「おい!マリィ、それ順番がちがっ」


 ボキッ


「あー、これ、ガタがきてたわ。寿命だね!」


「んなわけあるか!しょうがない、ちょっと削りなおしてくる。」


 途中から組み立てが結局わからなくなったのでガットルン先生が応援に来てくれている。

 が、適当に組んでたら、また怒られた。

 見てわからない組み方なら取説つけとけよな。

 その日は凡そ枠組みが完成した。


 翌日は仕上げだ。特に何もなければこの日に完成する。

 屋根用の布の取り付けや看板、飾りつけなどをやっていき、小さな出店が完成した。


「おぉー、これがうちらの城か!」

「いいか、絶対に壊すんじゃないぞ」


 謎の注意を受けたがこれで準備万端だ。


「荒稼ぎするぞ~!」

「お~」


「みんな元気がいいわね~、はい、飴ちゃん」

「さんきゅー!」

 この日になると周りも出店が組み始められてきている。隣で作業をしていたおばちゃんからまた飴を貰った。


 本格的な祭りにワクワクが止まらないぜ!


 さらに中一日置いて10月39日、いよいよ新年祭の前日になった。


「お前ら、祭りを最高に楽しむために重要なものは何か知ってるか?」


「花火を見るために寝るの我慢すること!」

「お店がんばること!」

「ファーーー」


「全員不正解だ。大事なのは今日!事前準備だ!」


「マリィばかなの?お店の準備はおわってるよ」

「その準備じゃねぇ!当日、回る店のめぼしをつけておくんだよ!」


 そう、今年からは外に出る。出店もやる。そして、お小遣いも貰えるのだ!


「店は当番制で空き時間は自由に周りの出店を見て回っていいっていわれてるだろ。だけど渡されるお小遣いはいっぱい回れるほどは絶対もらえない。どんな店があるかを確認しておいて計画的に使うんだ!」


 とりあえず、自分たちが準備した店の前まできた。

 販売物の搬入は明日だが、かわらず準備万端だ。

 まずはここを中心にして、周りにどんな店があるのかをチェックする。


 流石に前日ともなると、ほとんどの店が準備を終えている。

 まだこれからなのは元々道路沿いに店があって簡易的にカフェテラスを拡張するとかその程度の作業で済ませる店だけだ。

 すでに道幅は狭くなっているが警察っぽいのが交通整理して馬車も通している。


「食いもの系ばっかりだな」


「ねぇ、何食べる?何食べる?」


「魔物はくいたくないなー」


 近くを散策がてら看板を見てみたが、ほぼほぼ飲食店だ。

 串焼き、網焼き、肉系はピンクボアとかいう豚ばかり、あとは漁港が近いとのことで海鮮の焼き物が多い。

 そんな中、一軒めちゃくちゃ気になる看板を見つけた。



 “タピオカミルクティー”



「こっちの世界にもあったのか!?」


「タピオカってなに?マリィ知ってるの?」


「私が知ってるやつだったら絶対うまい!明日飲もうぜ」


 他にもめぼしい店を探していく。

 祭りらしくアクセサリー屋とかもあったが絶対買えないので却下。


「焼きそばもたこ焼きも射的も金魚すくいもないなー」

「なにそれ?」

「祭りの定番だけど、お前らは知ってるわけないもんなー、来年は焼きそば辺り開発してやらせてもらってみるか」


 あとはお酒もビールを中心に種類もあるっぽいが、こっちでも未成年は規制されているらしくだめだった。

 まあ、さすがにこの年で飲もうとは思わないけど。


「中央の方だったらもっとおもしろい店あるかなあ」


 この通りのめぼしい出店はだいたい把握できた。となると気になるのは他の場所だ。

 とはいえ、地図もみたことないしわかるのは体育テストで行った公園くらい。

 さすがにここで適当に行って迷子になりましたー、なんてアホなことはしない。


「中央の方も行ってみたい!」

「いかねーぞ、道分かんねーし」

「えー」

 まあ、まだ7歳だし、おいおいだな。楽しみはとっておこう。


 他に面白そうなのはっと。

「そうだ、ベイリャ、冒険者ギルドって新年祭は何かやるのか?」

「うーん、知らないわ」


 まあ、冒険者が何かすることもないか、どうせ荒くれなんだったら飲んで食ってだろうしな。


「お、ちょうどいいところに」


「マスダのおっさん!」

「うぉ、なんだなんだ」


 いきなりガキンチョ4人で取り囲んだのでびっくりされた。


「なんだ新年祭か、ギルドは特にないぞ、冒険者の仕事だと警備が多いかな?」

「夢ね~」

「お前ませてるな。あ、そうだ、花火の打ち上げもやったりしてるぞ。」


「花火!」

「食いついてきたな、花火を作ってるのは職人だが、打ち上げはちょいと危険でな冒険者の名誉あるお仕事さ」


 花火と聞いて私以外の3人は目を輝かせている。

 お前らどんだけ好きなんだ。

「ほら飴ちゃん持ってきな」


 その後は孤児院に帰っていつもより早めに自室へ帰還した。


「明日はお祭りか~、ワクワクするよね。今日は寝れないかも。」

「だよね。だよね。もうちょっとお話しする?」

「くかー」


「お店がんばらないとね~」

「お小遣いっていくら貰えるんだろ」

「くかー」


「花火見るためにも起きてなきゃ出しそろそろ寝なきゃ」

「もうちょっと話そうよ~」

「くかー」


 4人部屋からは3人分の声が遅くまで響いていた・


 キャラクター紹介

 ハルトン=ローズガーデン(7歳)

 マリィの舎弟2号

 性別:女

 種族:人間

 レベル:Lv1

 職業レベル:人間種Lv2

 装備:孤児院の服

 仕事:孤児院の子ども

 トラクーン近郊の農村地帯で生まれたが、物心つく前に両親ともにはやり病で亡くなる。3人姉妹で姉が二人いたが本人はほぼ記憶にない。

 姉二人は親戚に引き取られたものの幼い子供の面倒までは見切れないと公的施設に預けられた。このため孤児院での世界観がすべてになっている。

 本人はそれほどヤンチャではなかったのだが、体を動かすことが好きでマリィとよく遊ぶようになる。その後はマリィの真似をすることが多かったため、やや粗暴になりつつある。

 将来の夢は魚関係の仕事に就くこと



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