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01_クソガキ4人組

初投稿になります。

よろしくお願いします。

恋愛要素は非常に薄い予定なので、そこは期待しないでください。

不定期で投稿させていただきますが、ストックもあまりないので長い目で生暖かく読んでいただければと思います。

「あ、トンボだ!」

「待て待て~」

「何やってんのよっ」

「ファーーーー」

「オヒャッ、ウヒャア」


 ここローズガーデン孤児院は広い敷地があり、遊具なども少なからず設置されている。常時20人から30人ほどの子供たちが暮らし、この国で成人とされる15才まで預かっていて、主に自治体からの支援を受けて運営されている。

 決して裕福とは言えないが子供たちが生きていくことは十分に可能な状況が整えられているのは国が十分豊かだからだ。

 様々な理由から預けられた孤児たちを院長含め二人の住み込みの先生、もう一人、教会から派遣されている先生の計3名で面倒を見ている。子供たちの数に対して教師は十分な人数であり、10才くらいになると下の子の面倒をみてくれるものや、外に働きに行くものもいるため問題なく運営されている。

 15才になると孤児院をでていくが、大抵は自治体経由で住み込みの仕事を主に就職斡旋される。一部の優秀な子供は冒険者になるものもいるし、教会がスカウトし、教会入りすることもある。教会は純粋にボランティアで1名だしているわけではなく、このような人材確保の側面もあるのだ。

 こういった孤児院は決して珍しいものではなく、この国、ランバルシア=ウィントール王国では、大きい都市なら大抵複数ある。ここウィンクーン州、第3の都市トラクーンでも2か所ある。


 この孤児院で働いている住み込みの男性教師ガットルン=ローズガーデンは苗字からわかる通り、この孤児院出身者だ。一度、成人と共に大工仕事の住み込みで就職したものの、棟梁が酒ばかり飲んでいたことで離婚し、仕事がまわらなくなって解散、そんなおり院長のヴェストリアに声を掛けられた。

 ヴェストリアは本当に人間がよくできており人当りもよい、話好きで、この街で卒業した孤児達や付き合いのある人たちと普段からコミュニケーションをとっていて、ガットルンのことも噂を聞いていたらしく、街中でばったりでくわし、相談をすることになったのだ。


「私もねぇ~前からヤンダには聞いてたけど、そこまで酒に飲まれちゃってたとはね。子供ができてなくて、ほんとよかったわ。」

 ヤンダというのは棟梁の旦那だ。ちなみに飲んだくれ棟梁のほうが女性である。


「ヤンダはウィンクーンに行って事務仕事でも探してみるっていっていたけれど、あなたはどうするの?貯金はあるの?」


 ガットルンは幼子の時からヴェストリアに面倒を見てもらっていたことから、もちろん頭が上がらないし、嘘も言いにくい。正直に貯金がないことを話すことにした。


「大工も5年くらいになったので、自分用の道具もいくつか買ったりし始めていたこともあって、ほとんどないです。」

「次も決まってなさそうね。」

「はい、探しているところです。外の街に行くつもりはないので、この街で、できれば住み込みさせてくれるところがあればよいのですが」

「ガットルン!よかったら、しばらく孤児院での仕事をやらない?あなたは、よく下の子の面倒を見てくれていたし、大工仕事もそれなりに覚えてきたのなら、孤児院の修繕もやってくれると助かるわ。実はね、最近ひまわり孤児院の方がキャパオーバーらしくて、うちにも引き受け人数を少し増やせないかって役場から言われているところなのよね。どう?どう?」


 ガットルンはこの先も手に職をつけて大工で食っていこうと思っていたが、すぐに次が見つかるかもわからない、突然雇うとなった場合は待遇がわるいケースもあるかもしれない、と考え、腰掛でしばらくやるにはいいか、と思い安易な気持ちで了承した。

「院長先生!ありがとうございます。それではお世話になろうと思います!」


 住み込み先だが先生ということで個室待遇、買いそろえた大工道具ももってきて、子供たちの世話の合間に大工仕事、給金も高くはないが元孤児としては不満はない。そんなこんなでヴェストリアにも優しくしてもらいながら、腰掛の予定が気づけば10年以上、完全にベテランとなってしまっていた。婚期も逃してしまって未だ独身、このまま年を重ねて、いずれは院長先生を継ぐのもいいかと考えていた今日この頃だった。


 そんな穏やかな日々を感じていたが、そうは問屋が卸さない。最近のガットルンには大きい悩みが発生していた。

 それはクソガキ4人組である。孤児として預けられるタイミングはマチマチであるが、総じて5才以下で預けられることが多い、小さい子供の場合はまだよくわかっておらず、孤児院で集団生活をする中でだんだんと教育され、いい子になるのが普通なのだが、こいつらは違っていた。

 特に最大の問題児がマリィという7歳児だ。とにかくやんちゃなのである。

 体力がありあまっているのか、波長の合う園児3名を連れまわし暴れたい放題、入園タイミングは4歳であり、他の子と同じ教育をしたのに、なぜと思うが、とにかく、このマリィという幼女は身体能力が高いのだ。鑑定を受けたことがないのでわからないが、恐らく通常の人間に比べ、レベルが高いのだろう。理由はわからないが・・・


 今もクソガキ4人組が外のスペースでアホみたいに走り回っている。

 こうして、外ではしゃいでいるだけだと、かわいい子供たちなのだが、屋内でも同様にはしゃぎまわるので質が悪い。最近はこいつらのせいで教師より大工として仕事をしている時間の方が長い気がする。


 ふと見るとマリィが遊具にぴょんぴょんと登って行った。孤児院の遊具はガットルンが暇な時間に作って設置しているものだが、マリィの上ったハシゴを二つ合わせて三角にしたような遊具は落ちたら危ないし、撤去しようと思っていた、そんな矢先だった。


「おい!あぶないぞ!」

「オラ!トンボ!捕まえてやるぞ!」

「さすマリ!やっちゃえ~」

「ファーーー」

「あっ」


 少し前にちょっとだけ夕立がふっていて、地面は湿っているだけだが遊具はまだ乾いていなく濡れていた。このこともあって、マリィは足を滑らせて転落。

 ドンっ

 あわててガットルンがかけよる。完全に頭から落ちた。


「おい!マリィ!大丈夫か!?」

「マリィちゃーーん」


 何か起きたのかと他の子どもたちも駆け寄ってきた。

 マリィは声を発せず、こっちをじっと見ていた。


「おい、どうした?痛いか?」

 マリィは痛みを感じている様子もなく、ただただじっと見ていた。

 それから3分くらい、何も言わないマリィをガットルンは抱っこして屋内のベットにつれていった。


「何があったの?ガットルン先生」

「タニア先生、マリィが遊具から落ちて頭を打ったみたいで」

「まあ、大変、院長先生を呼んでくるわね」


 マリィをベッドに転がしたが、全く声を上げない、相変わらず目は開いていて、ベッドに放り込んだのに自分で座りなおしてキョロキョロしている。

 子分3人もマリィの様子がおかしいことが不安になってきたのか近くで静かに見守っていた。10分ほどたってヴェストリアがやってきた。ちょうど買い出しに行っていたようだ。


「マリィが頭を打ったってきいたけど!」

「はい、血もでていませんし、少しコブになっているようですが大丈夫そうです。ただ・・起き上がってから全くしゃべりません・・・」

「外傷はなくても内側に何かある可能性もありますしね、マリィ!ヴェストリアですよ、わかりますか?」




「園山、明日の山本の外回り予定はどうなってる?」

「はい、課長!ちょっと待っててください」

 園山真理子は今日も大忙しだった。

 大手メーカーの子会社に新卒で就職して早7年がたとうとしている。

 28才、彼氏なし、東京の中でも少し外れたこの営業支店でずっと営業管理の仕事を続けている。

 最近、会社は拡大路線で営業担当がどんどん補充されるが、営管は補充されない。

 このため、じわじわと残業が増えてきていた。休日出勤が入るときには残業時間が月に70時間くらいまで行った時もあった。

 しかして労組は対して仕事もしてくれず、課長に言っても補充はこない。残業代こそしっかりでているが、若い時間は長くない。

 しかし疲れて帰って転職活動する気力もなく、趣味といえば小説や乙女ゲームなど文系趣味だ。会社での出会いも周りの営業職はゴリラ系ばかりで趣味とは合わない。


「もうひと踏ん張りするか~」

 そういってエナドリを飲んでパソコンに向かう。夜の21時半ごろ、一区切りついた。

「お先、失礼しまーす」


 営業達の中で遅い組が支店に戻り始めたころ、退勤した。

 私でこれなのに営業や課長はどんだけ仕事がんばるねん。そう思いながら帰路に着く。

 今日は金曜日、今週の土日は何も予定をいれていないので、何をしようかワクワク考えながら電車にゆられる。今日は夜更かししちゃおうかなあ。

 最近はまっている乙女ゲーム、「薔薇園から始まる大恋愛」通称バラ恋、既にシナリオは全部クリアしているもののゲームとしてのやりこみ要素でプレイヤーのレベルがあり、クリア後でも遊べるのだ。真理子はこのゲーム、シナリオ以上にビジュにひかれてはまっており、かっこいい推しキャラ達のレベルあげをしているだけで、仕事で疲れた心が浄化されるのであった。


 夜の3時を過ぎ、眠くなってきた。明日は休みだし寝坊しよう。そう思いながら寝て、起きたら昼の12時だった。

 思ったよりも寝ていたが、用事があるわけでもないし、まあいいかと考え、朝ごはんにパンを焼いて食べたらもう13時。


「う~ん、さすがに休日に家から全くでないのは引きこもりよね。」


 真理子は大学からずっと一人暮らしなので、特に誰にも何も言われることはないのだが、ちょっとひけめを感じて、出かけようと考えた。

「昨日もバラ恋してて、どっか出かけたいとことか考えてなかったなあ」


 そういいながらも準備をして外に出た。本屋や雑貨屋でも見て回るか、そう思いつつ定期の範囲でいける繁華街へ行こうと考えながら歩きだす。さっきまで夕立がふっていたようだったが、今は晴れあがっており天気もいい。


「ちょっと公園でも散歩していくか」


 普段は公園など素通りだが、今日はマジでやることがないので、ふらっと入っていく。

 市が整備している少し大きめの公園で木がいっぱいあって空気がおいしい。そんな中、歩いていると遊具が目に入った。


「子供のころよく遊んだなあ」


 真理子は高校の時に友達の影響で今は文系趣味だが、中学までは陸上をやっていて体育会系だった。ふと懐かしくなってジャングルジムを見上げる。子供の時にジャングルジムの上に登ってみた景色を思い出した。


「今だと、背も高くなってるし、あの頃とは違うよね」

 そういってジャングルジムの上に登った。

「う~ん、あっ、ここで立ったらもっと高い目線になる!これが大人だ」

 そういって夕立で濡れたジャングルジムの上に立ったアホな成人女性は案の定、足を滑らせて転落、そして、、、頭を打って死んだ。




 バゴーーーン

 真理子の頭に強い衝撃が走る。頭を打ったのだ。だが、その直後。

 バゴーーーン

 真理子の頭に強い衝撃が走る。頭を打ったのだ。

 だが、なぜだろう、一瞬の間をおいて2回頭を打って、一回目はめっちゃ痛かったと思った次の瞬間、痛みが消えて2回目は打った感覚はあるのにほとんど痛くない。


 目を開けると目の前には外国人っぽい男の人がめっちゃ眼前に迫ってきて何か言っている。

 ヤダ、ホリも深くて、ちょっとかっこいいかも。そんなことを考えなら周りを見ると小学生くらいの子供たちが何人かいてギャアギャアいっている。

 どの子も日本人っぽくなく、外国人だろう。たまたま散歩にきていた外国人学校の人たちなのか、と思い、大丈夫大丈夫と言おうとして立ち上がろうとした瞬間だった。記憶がつながった。


 頭が爆発しているようだった。この世界でのこれまでのマリィとしての記憶、赤ん坊のころ愛情を注いでくれた両親、スタンピードで村が襲われたこと、ローズガーデン孤児院に引き取られたこと、クソガキどもと遊びまわったこと、走馬灯のように一瞬でながれてくる。

 そうか私は前世の記憶が戻ったのか。じゃあ園山真理子はどうなったんだ。あの時、死んでしまったのか。

 答えはわからなかったが、今はもうマリィでしかない。そう思った瞬間、恰幅のいい優しそうなババアに呼ばれた。

「マリィ!ヴェストリアですよ!わかりますか!?」

「うっせーババア!!でっけー声出さなくても聞こえてるよ!!」



 キャラクター紹介

 園山 真理子(享年28才)

 夢見るアラサー

 レベル:Lv1

 職業レベル:なし

 装備:Tシャツ、ジーンズ

 所持金:1万5千円

 3人兄妹の末っ子として甘やかされて育つ。このため、やや自信家な面がありつつも愛嬌もあって社内の受けはいい。暗めの茶色の髪にセミロングで目は悪くないためコンタクトなしの裸眼だった。白馬の王子様とは言わないものの、細マッチョのイケメンを待っていて、気づけばアラサー、そして異世界転生。仕事は忙しいものの、それなりに充実感のある日々であった。転生前の世界、地球では全ての人間、動物がLv1。


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