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第3話 神のみぞ知る

泰斗と楓の婚約発表から2週間後。


あのあと無事に披露宴も行われ、幸せな2人を見ることが出来た。


だがしかし、この状況が許せない。


「草太郎様、あーん」


「・・・」


「『あーん』してくれないと口につけて舐めちゃいますよ」


「・・・あーん」


さっきから幾度となく繰り返されている光景だ。


その度に藍の周りにあるものが破壊されている。


「ねぇ、何で桜さんまでついてきたの?」


若干いつもより低音なせいか声が震えている。


口は笑っているが目が笑っていない。


「本人に聞けばいいんじゃないか?」


隣にいた神於は気だるげに言った。


「聞いたら刺しちゃいそうだから聞いてないんじゃない」


既に限界が来ているらしい。


下手したら桜のみならず周りの人間まで刺されそうだ。


しょうがない。一応止めとくか。


「桜、お前がここにいると迷惑だ。帰れ」


「お言葉ですが神於様、私は草太郎様の言葉にしか従いません」


「じゃ、帰れ」


すると間髪入れず草太郎は言った。


「ひどいです。見損ないました」


「へーへー、帰れ」


「嫌です」


「さっきの言葉は嘘か?」


「・・・・・すみませんでした」


「泰斗の様子見に行くから、そんときな」


「はいっ」


「全然顔を見せに行かなかった俺にも非はあるし」


「楽しみにしています」







桜が帰ってしばらくした後、神於は心底心配して言った。


「さっきのあいつの顔見たか?」


「ん?ああ、素直な時のあいつは可愛いよな」


「・・・じゃなくて、怖いって!!あれ明らかに『楽しみにしています』がすんごくヤバ気だったって!!!」


「そうか?」


「ああ!そうとも!!」


「うっそだあ~」


「いや、後で後悔すんのお前だぞ」


「う、嘘だろ?」


「・・・・・」


「いやいや、無言って怖いから!!!」


「お前にはもっと怖い未来が待っている」


「いや、いらないからその予言」


「・・・・・」


「今日も平和ですねー」


槙は少し離れた場所で3人分のお茶を淹れながら言った。

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