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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第二章 エルフに嫁いだ弓使い しかし本当に愛する人が戻ってきた以上、抱きしめずにはいられない!

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第93話 とりあえず話題をエミリに エルフの森では、いかに生活していたのか?

 途中にある行きも寄った集落で昼食、

 一応、ディープドリアード達についても話して、

 危険性が無い事をわかってもらった、一応の報告は必要だ。


(もし大森林に何か起きれば、奴らがここへ報せに来るかも)


 その時に『魔物が襲ってきたぞ!』ってならないためにね、

 特徴も教えたし……まあ奴らは強い、めっちゃ強いからここの衛兵が、

 無理に迎撃しようとしてもアイツら無傷だろう、そういう意味では心配は無いのだが。


「それでラスロ、私達に何か言うことは?」「エミリ……」

「ラスロ、魔界でどのように過ごして来たか急に興味が湧いた」「ヨラン……」


 考えすぎかもしれないが、

 このふたりは俺が魔界へ居る間に、

 結婚していた事に後ろめたさがあったとしてだ。


(俺が魔界でやっていた行動によっては、つけ入る隙がある、とでも)


 とりあえず軽く、

 無難な感じで話して、

 なんとか違う方向に持っていこう。


「考えてもみてくれ、魔界に人間がひとりで十二年も居たんだ、

 まったく何も無く、味方もおらず、ひたすら戦い続けていたとしたら、

 いかに勇者と言われる人間であっても、心も体も持たないし帰ってこられない」


 新ハーレムのふたりは静かに食事中、

 これは様子を見ているのか、割って入るべきじゃないと思っているのか、

 おそらく彼女達も興味があるのだろう、まあ、助け舟的な期待はできないな。


「それで、向こうで魔物の女を」

「あくまで魔物は魔物だ、って女って言ったっけ」

「ラスロの慌てぶりを見ればわかるわ」


 さすがエミリさん、

 肉をもりもり食べながら。


「魔王を退治するため魔物を倒し、

 仲間に出来る魔物は手懐け、十二年間生きてきた、

 野良の暗黒竜だって乗りこなした、とにかく大変だったんだ」


 ヨランは食べ方が上品だな、

 十二年前とは大違いというか、

 やはり貴族の、侯爵夫人ともなると躾けられたか。


「ラスロ、その『仲間の魔物』について詳しく」

「それはまた、おいおい、ヨランのその質問は置いておいてだな、

 エミリの方こそエルフの森では、どうやって生活していたんだ?」


 口をハンカチで拭いて水を飲むエミリ。


「……そうね、エルフらしい、自然の中で生きるっていう、

 スローライフというやつかしら、そこで自然に囲まれて暮らしたわ、

 何不自由なく……本当に幸せにして貰った、その当時の、その環境においてわね」


 つまり、俺が生きていたと知らなかったからってことか。


「エルフから差別とかは」

「無いといって良いわ、もちろん暮らしていた場所自体が、

 エルフの国で唯一、人間と共存して良いってエリアだったから、まあ区別ね」


 差別では無く区別、ものは言い様だな。


「そこで毎日、どんな生活を」

「普通に果実を採ったり農作業したり、

 たまに気性の荒い獣を弓矢で仕留めたり」


 別に肉は駄目とかないんだ、

 さっきもっりもり食べていたが。


「退屈はしなかったんだな」

「ええ、定期的に弓矢の大会があって、

 そこで人間対エルフの対抗戦が」「エミリ強そうだな」「ほとんど勝ってたわ」


 昔から凄かったもんな、

 横に五つ並べた的めがけ、

 矢を同時に五本引いて全て的中とかやっていた。


「嫉妬とかは」

「あそこに住んでいる時点でエルフ扱いよ、

 そういう紋章も魔法で刻まれるの」「じゃあ、エミリにも」


 首を左右に振る。


「お城に戻った時、アリナ様に消して貰ったわ」

「じゃあ今は」「綺麗さっぱり、ほら」「いや見せられても」

「これで清い身体になったとは思わないけど、元には戻ったわ」


 きっと本来は、

 何らかの魔法がかけられていたのだろう、

 それを完全浄去できるアリナの凄さよっていう。


「じゃあ、その森の生活は悪くは無かったと」

「今はもう思い出よ、ラスロの居ない十二年間を、

 そのうち十一年半を過ごすために必要だった場所、それだけの話よ」


 エミリの中では、

 もうすっかり過去の話か、

 でもまだ子供達が王都に来ているというのに……夫もか。


「嫌な思いは無かったのなら、その、良かったと言うべきか」

「良かったわ、だってこうして、ラスロに再会できたのだもの」

「そのための十二年、いや十一年半だったと」「そういう意味では本当に感謝だわ」


 俺と復縁できれば、だが。


「……わかった、不幸になっていなくて良かった」

「ええラスロ、改めて一緒に、幸せになりましょう、子は三人は欲しいわ」

「まあ今は平和最優先だ」「そうね、次はラスロの番よ、魔界での生活はどうだったの?!」


 話を誤魔化せなかったーーー!!


「ヨランは」「私の話は以前にしたが」

「あっはいそうですね、あっ、デザート頼むか?!」

「ラスロ、私は話のデザートが欲しいわ」「私もだ」「エミリ、ヨラン……」


 ここで俺に目を合わせたのは、ナタリだった。


「では、私の過去の話でも」

「お、おう、それは聞きたい、是非聞きたい、今ここで聞きたい」


 国の、城の元暗部、

 アサシンであるナタリの過去とは……?!

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