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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 伝説の女剣士のやり直し 錆びついた剣と言われても愛で研ぎ澄ますのみ!
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第9話 とりあえず宿に到着 これで落ち着いてハーレムと話が出来るはずが。

 夕方、ルバークという街に到着、

 ここ自体は不便だが様々な場所へ行く拠点・中継地点となるため、

 そこそこちゃんとした街ではある、領主の街はかなり遠いが、町長がちゃんと居る。


(挨拶に行くの、面倒臭いな……)


 何せ魔界から帰ってここを通った時、

 完全に『ラスロの偽物』扱いをされてしまった、

 教会に居た半隠居の聖女ハンナさんが顔見知りで、何とか信じて貰えた。


(お金も借りちゃったんだよなぁ)


 教会から失敬する不届きものである、

 だから寝取られるという天罰が、いや順番が違うか、

 ロズリが馬車から身を乗り出して先の方を見ている。


「さあラスロ様、宿です!」

「うん、この街にはひとつしかないからね」

「宿代など、経費は私が預かっています、お任せ下さい!」


 食堂も併設した大きな宿、

 馬車から最初に降りたロズリが早速、俺を待っている。


「どうぞこちらへ」

「お、おう」「ミオス様も」「はい」

「……じゃあアリナ、足元気を付けて」「はいっ!!」


 今はみんな大切な仲間だ、

 ロズリは勝って気を良くしているが、

 これから協力して魔界の出入り口を封じるミッションを忘れてはならない。


(このあたり、釘を刺しておかないと)


 新ハーレムだけでは魔界は封じられない、

 旧ハーレムも出来るかどうかわからない、

 両方が協力してこそ、そしてそのためには信頼関係が必要だ。


「ヨランも、ぼーっとしてないで」

「……はぃ」「まったく落ち込み過ぎだ」

「私は、私は負けてはいけなかった」「後で話を聞いてやるから」「……っ!!」


 うん、元気に馬車を降りた。


(最後列の四人も普通に降りていますよ!)


 仲悪そうな叔母と姪はスルーしておこう。

 こうして宿の中に入る、うん、以前も会ったおかみさんだ。


「いらっしゃい、まあラスロ様!」

「その節はどうも、ってそんなに日数は経っていませんが」


 挨拶もそこそこにロズリがヌッ、とまるで割って入るように受付へ。


「王城の用件による視察の途中です、五人部屋と四人部屋を用意していただきたい」

「それはそれは、最上級の冒険者ルームがふたつありますが、どちらも基本は四人部屋ですわ、

 ただしどちらも追加料金で追加ベッドを」「では頼む、私達の方が五人で……」「えっ、そうなの?!」


 俺の声とほぼ同時にヨランも動いた。


「いや、私達の部屋だ、先ほどラスロは私の話を聞くと言った」

「お話でしたら食事の時でよろしいのでは? せ・ん・ぱ・い」

「ちょっと揉めるな揉めるな! ええっと、おかみさん」「決まったら教えて下さいね」


 代金は同じか、九人分。


「あれっ、馬車の運転手、ダンジュさんだっけ」

「彼は馬車で寝るそうですよ、見張りを兼ねて」

「この規模の街でも盗まれる心配が」「念には念を入れてです!」


 という事で部屋の鍵をロズリとヨランが受け取った。


「さあラスロ様、お荷物を運びますね」

「ラスロ、早速こちらで話を聞いて欲しい、私は……」

「ええっと、まずはお腹が空いたから食堂へ」


 うん、逃げた。


(馬車でも大変だったなぁ……)


 お城からまず最初に馬車へ乗った時、

 互いが互いの話を邪魔してゴチャゴチャになった、

 これではまともに会話できないと、思わず一喝してしまった。


(そのせいで、しっかり聞くことが出来なかったんだよなぁ……)


 そう、旧ハーレムが寝取られた、

 崩壊した経緯を……聞くのが怖いが、これが現実だ。


(あっ、ロズリがもう場所を取った!)


 素早いなあ、はりきり過ぎだ。


「こちらが一番大きなテーブルのようですよ!」

「ええっと、十人座れるな、ロズリ、ダンジュさんを」

「彼は馬に餌をあげている最中かと、ついでに自分で何とかするでしょう」


 いいのかなあ、

 俺から離れたくないだけなんじゃ。


(さて、俺の座る場所は……)


 なんとなく逃げるように、

 端の横席にひとりで座る……と、

 斜向かいにロズリとヨランが座った。


(遅れてみんなも……)


 ロズリの側には新ハーレムが並び、

 ヨランの側には旧ハーレムが並んだ、

 これは何だ、停戦会議か何かか? 俺は仲裁役かよ。


(司会者席でもあるな)


 まあいいや、料理が来ちゃったし……

 運ばれて来るのが新ハーレム側だから、

 ロズリ、ミオス、ナタリ、ハミィが受け取って、嬉々として俺の前まで並べてくれる。


「ほら、アリナ達にも」「はい、先輩方」


 こうしてずらりと料理が並ばれて……

 あっ、一応は乾杯するのか、ここは俺が。


「では魔界の出入り口を封じるために頑張ろう、乾杯!」

「「「「「「「「かんぱーーーい!!!!!!!!」」」」」」」」


(心の中で運転手ダンジュさんにも乾杯、っと)


 呑み始めると、早速ヨランが。


「……やっと話せる、聞いて欲しい、私は何も寝取られたという訳ではなく、実は……」


 被せるようにロズリも。


「ラスロ様、私の剣技なのですが、実はかつて、ヨラン先輩のライバルである騎士団の……」

「ちょ、両方同時に話しかけないっ!!」


 とりあえず静かに食事させました。


(……落ち着いて話すためにも、ちょっと、食事が終わったらクールダウンするかな)

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