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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 伝説の女剣士のやり直し 錆びついた剣と言われても愛で研ぎ澄ますのみ!

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第75話 新旧ハーレムのチームワーク そしてパレードはフィナーレへ

「まあ素敵な花束、ありがとう!」


 ヨランが動こうとした瞬間、

 なぜか新ハーレムの正妻ミオスがそう言い前に出て、

 真っ先にベルナルくんの花束を受け取った!!


(いや、ぐいっと斜め前に出たぞ?!)


 不自然なくらいに……

 ベルナルくんは、あれ、なぜだか安心した表情、

 そしてヨランは、と思っているとロズリが引っ張った?!


「ヨランさん、お友達の娘さんだそうですよ」

「えっ、誰?!」「ヨランさま、ヴィルジニ=ヴィアールのむすめ、マノンです!」

「うそっ、ヴィルジニの?!」「あっ、俺も何度も会った事あるぞ!!」


 周囲を探すと居た居た、眼鏡をかけているが、

 間違いなく十二年前に知っている、女剣士ヴィルジニだ!!

 こちらの目線に気付いたようで手を振ってくれている、俺とヨランも笑顔で振りかえす!


「どうぞー、ははうえが、おあいしたいそうです!」

「ええ是非、いいわよねラスロ?」「ああ、それにしても、娘かぁ」


 って花束持ってる子ひとり余っているな、

 これは俺のか、急いで受け取ってっと、

 そして子供達は揃って一礼、馬車は再び走り始めた。


「ラスロ、懐かしいわねヴィルジニさん」

「ああアリナ、俺たちの準メンバーと言っても過言では無かったからな、なあヨラン」

「……十二年前、帰って最初に励ましてくれたのがヴィルジニだった、最初は手紙のやりとりもしていたが……」


 一瞬、暗い表情になりかけたが、

 民衆のために笑顔で手を振る、俺も振らなきゃな、

 それにしてもさっきの花束贈呈……あれで本当に良かったのだろうか?


「ヨラン、あれで良かったのか?」

「何がだ」「いや、ベルナルくんの花束を」

「むしろ助かった、一瞬、下の幕から……いや何でもない」「???」「見間違いだろう」


 下の幕ってなんだろう、まあいいや。


「あの、ベルナルくんの花束だけでもいただきますか?」

「ありがたいが気持ちだけいただく、そのまま貰っておいてくれ」

「はい……特に手紙なども入っていないようですし」


 とチェックするミオス、

 横取りしたのはヨランのためなのだろう、

 なんだかんだでチームワーク良いな、新旧ハーレム。


「おっ、今度は確か……」

「エルフ街ね、私にはもう関係ないわ」「エミリ……」

「エミリさん場所を、こちら側なら普通の商店街です」「ありがとうナタリ」


 急に新ハーレムが旧ハーレムをフォローしている感じ、

 着ている花嫁衣裳っぽいのも旧ハーレムが本域で派手なのに対し、

 新ハーレムは控えめとも言えなくは無い……このあたり、気を使っているのかな。


(誰が気を使っているか、というのもあるのだろうが)


 そんなこんなでパレードはお城が見えてきた、

 いよいよフィナーレへ、現役騎士団が勢ぞろいしているな。


「勇者ラスロ様、ならびに聖女アリナ様ご一行に、敬礼っ!!」


 綺麗な礼だなぁ……

 懐かしい見知った顔も、そこそこ。

 そして陛下が見守る中、普通にお城の中へ吸い込まれる俺たち。


(うん、無事に終わった……と、思う)


 でも何か、

 なーーーんか心にモヤッと、

 これは何なのか……まあいいや、これで義務は果たした。


「さあラスロ」「ラスロ様」

「あっ、もう降りるのか、ありがとうアリナ、ミオス」

「「いえいえ」」「で、アリナはもう聖女なのか?!」「みたいですね!」


 幸せそうな笑顔……

 本当、ロズリもエミリもハミィもだが、

 完全に嫁に来たみたいだ、俺はまだ……決めていないというのに。


「あっ、ダンジュくんもありがとう!」「いえっ!!」


 ダンジュくんの敬礼を最後に見て、

 婚約者お披露目パレードらしきもの

は終わったのであった、

 さあ、これからが本格的な、魔界封印の始まりだ!!


======================================


「御主人様」

「……ベルナルは」

「教会でお菓子を貰っている頃かと」「そうか……」


 深く大きなため息をついた、

 ヨランの夫であるモリス侯爵、

 台座の幕の下から出た所で立ち尽くしていた。


「……御主人様? 旦那様?!」


 執事が心配そうに声をかけるも、

 俯いたまま……そして静かに話しはじめた。


「あんな笑顔、今まで一度も見た事なかった……」


 ヨランがラスロと並んでの笑顔を思い出す、

 本当に心の底からの、まさに解放されたかのような……

 それを見て全てを察し、まさに心が完全に折れた様子だ。


「確かにあの奥様は、初めて見せる表情でしたが」

「ああなった以上、私にもう用は無いな……よし、帰るぞ」

「あの、奥様は」「新しいのを用意してくれ、何でも言う事を聞くならもう誰でも構わん」


 ようやく前を向いて、

 息子の居る教会の方へ歩き出したモリス。


(心の整理が出来たら、礼でも贈っておこう)


 こうしてヨランは、

 晴れて自由の身になれたのであった。


 ……そう、自由には。

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