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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 伝説の女剣士のやり直し 錆びついた剣と言われても愛で研ぎ澄ますのみ!

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第74話 ただのパレードという名の婚約者お披露目パレード そこで待ち構えていたのはもちろん……

「ラスロさまーー!!」

「おお、本当にラスロ様だ」

「見なさい、あれが伝説の勇者ラスロ様よ」


 沿道の声が自然と耳に入ってくる、

 俺がこうやって晒される事で王都の民が、

 国民が安心できるのであれば、いくらでも表に出る、のだが……


「おめでとうラスロ様!」

「ラスロ様、ご結婚おめでとうございます!」

「すげえ、ラスロ様の嫁で馬車が溢れ返っている!!」


 おいおいおい、

 そんなまるで詰め合わせみたいな!

 これ、ただのパレードではなく完全に花嫁お披露目パレードだ。


(せめて婚約者お披露目パレードってことにしてくれ)


 そんな俺の気持ちなど空しく……


「アリナ様ー! ご結婚おめでとうございますー!!」

「あぁ、お隠れになられていたと噂のアリナ様が、ついにご結婚を!」

「わあ! ラスロ様アリナ様、どうかお幸せにーー!!」


 その言葉にアリナも……


「みんな、ありがとう! ラスロと幸せになるわー!!」


 そんなわざわざ答えなくても!

 こういうのは、にこやかに手を振っているだけで良いのでは?

 なんとなく外堀を埋められているような気が、まだ結論も出てないのに。


(でも、思い出作りという事であれば、多少は自分の好きに思っても……)


 このパレードが終わってから、


『素晴らしい思い出をありがとう、もうこれで思い残す事はありません』


 と言われたりしたら……

 あーでも、それは改めて魔界封印に行く時、

 何か自分の身にあった時のため、とも取れるな。


(って、俺は何を妄想に、真剣になっているんだ)


 そんな俺の頭の中にお構いなく、

 パレードはどんどん進んで行き、

 観衆の数も声援も多くなってくる。


「あれはヨラン様、剣聖候補だったヨラン様では!」

「伝説の剣士がラスロ様の元へ帰ってきた、これはもう安心だ!」

「ヨランお姉さま、ラスロ様、やっと結ばれたのですねー!!」


 あれ、ヨランに妹っていたっけ?

 いや単に騎士団時代の後輩か何かだろう、

 ヨランも笑顔だ、まあ今は好きにさせておこう。


(思っていたよりも、ゆっくり進んで行ってるなぁ)


 例のコース地図を見せられた時、

 一時間くらいで終るだろうと思ったのだが、

 これは倍かかるな……群衆の声が嫌でも聞こえてくる。


「ラスロ様、エミリをお願いします!!」

「エミリ、やっと会えたんだな、おめでとう!!」

「これでエルフより優れた弓使いが、また生まれるぞー!!」


 いや勝手に決めないで、

 と言いたいがこの姿を見ては、ね……

 これで実は結婚しないんですよ、って誰にどう言おう、まあ陛下だな。


(繰り返しになるが、まだ決めてはいない)


 遠くに死んだ目をしたエルフが立っていたが……

 今度は魔術師ギルドの前を通る、おっ、今のネリィと同年代っぽいのが!


「ネリィ! 二度目の結婚おめでとう!!」

「今度こそ絶対に、勇者様を離すんじゃないぞー!!」

「はーーーい!! みなさァン、ネリィが幸せになりに王都凱旋デェース!!」


 いや凱旋って!

 封印の状況を考えたら、

 俺たちの戦いはこれからだ! って状況なのに。


(結婚がゴールだとしたら、まあそうなのだろうけど)


 俺との、な。

 といった感じで俺はパレードで手を振り続け、

 途中で新ハーレム達の方へ逃げながらも馬車は中間地点へ。


(そう、国教の大教会前だ)


 そこには白い布がかけられた足場があり、

 壇上には子供達が九人、花束を持って立っていた、

 そして真ん中に立っているのが……ヨランの長男、ベルナルくんだ。


(待ち構えていたか……)


 馬車はゆっくりと子供達の前で止まる、

 そして花束を構える中、大教会のバルコニーから、

 うっすら記憶にある枢機卿の爺さんが顔を出した、懐かしい。


「さあ、この世界の救世主たる者達に、花束を!!」


 ベルナルくんが花束を差し出した瞬間、

 その時、ヨランの取った行動は……!!


=======================================


(よし、ヨランが来たな!)


 頭上で花束を持つ子供達、

 その中には自らの長男ベルナルもおり、

 丁度、その真下で潜む夫モリスは、ほくそ笑んでいた。


(ヨランが花束を取ろうとした瞬間、下からこちらへ引きずり降ろす!)


 その瞬間、回収して連れ去る手筈は出来ている、

 自分なら、夫であればもう逆らえないはず、あの時とは違って……

 そう信じて疑わないモリスは、今か今かとその瞬間を待つ。


(ある意味、二度目の結婚式のようなものだ、私とな!!!)


 果たしてモリスの、

 妻ヨラン奪還作戦の運命やいかに?!

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