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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 伝説の女剣士のやり直し 錆びついた剣と言われても愛で研ぎ澄ますのみ!

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第73話 ようやく気付いたパレードの意図 しかし今更、それを拒む度胸などあるはずもなく。

「ラスロ! ようやく、やっとこの時が来ました!」


 笑顔で俺の前へ駆け寄ってきたアリナ、

 その姿は誰がどう見ても、完全に花嫁衣装と言える、

 純白で豪華なドレスだった、ブーケまで付けて、うん、これはもうそれ以外に無い。


「いやいやいや、聞いてない」

「パレードですよ、パレード!」

「どうしたラスロ、今更怖気づいたか」


 そう言ってやってきたヨランも、

 あきらかに豪華すぎるウェディングドレス、

 歩くのも大変そうな……公爵家クラスだぞこれ。


(おそらくだが、前に一度やったであろう結婚式のドレスを、明らかに上回りたかったのだろう)


 すなわち上書きか、

 というか侯爵家を飛び出してきたヨランに、

 こんなドレスのお金がどこに……まあ城から出したのだろうが、


「いつ注文していたんだよヨラン」

「城でアリナ達と最初に会った時だが」

「気が早いな」「十二年前にすでに用意はしていた」


 いやそれサイズは合っているのか、

 しかしながら元があったならそこから調整して、

 というのであれば短期間に準備出来ていたとしてもおかしくないな。


「エミリはオーソドックスな感じだが、それでも派手だな」

「はい、私が本当に、本来着たかったドレスです、これが本当の私です」

「そ、そうか」「今日からが私の、本当の、本来の、ラスロのエミリです」


 ……思い出した、

 十二年前、森の妖精っぽいデザインを考えてるとか言っていたっけ、

 エルフの花嫁衣装を参考にすると……でもこれはエルフ味はまったく感じないな。


「ネリィ、全然魔女っぽくない」

「コンセプトは『白いプレゼント』でスゥ、ほら、リボンも大きいのガァ」

「なるほど確かに箱っぽいドレス、中はどうなって……見せなくていいぞ!」


 完全に花嫁お披露目パレードじゃないか、

 ようやく気付いたよ陛下め……かといってなあ、

 今更『俺はこんなパレードに出ない』とか言う訳にも。


(はっきり言う、そんな度胸はいかに勇者であっても無い!)


 まあいい、

 あくまでもこれは思い出作りだ、

 旧ハーレムともある意味、これで十二年前の約束は果たしたという事にしてしまえ。


「ラスロも素敵よ」

「アリナ、ま、まあ、ありがとう」

「男前だぞラスロ」「抱きしめたいわラスロ」「しゅきしゅきぃ……ラスロサマァ」


 本当に結婚式前みたいな雰囲気だな、

 彼女達、旧ハーレムがそれを醸し出しているのか、

 俺が勝手にそう取っているのか……このドレスでそれは無いか。


「ちなみにミオス達は、いいのか、このアリナ達の格好は」

「はい、陛下のご指示ですので」「今日ばかりは先輩を立てます」

「国民に平穏を与えるためですから」「叔母さん、そのドレス、色が付いたら道化師ですよ」


 受け入れているというか、

 ひょっとしたら彼女たちも、

 これで旧ハーレムは満足だろう、とか思っているのかも。


(おっと、奥にあるのは今回の馬車か)


 立派な屋根の無い、

 まさに四方八方から見られるための馬車だ、

 運転のダンジュくんはアレか、エスコート役か。


「こんな役回りまで済まない」

「いえ、いざという時の防御もします」

「……このメンバーで防御、居るか?」「しっ、仕事としてっ!」


 ダンジュくんも騎士団員だからな、

 おそらく結構、偉い立場のはずだろう。


「よし、俺は覚悟を決めた、みんな行くぞ」

「「「「「「「「「はいっっっっ」」」」」」」」」


 あくまでも『パレードをする』覚悟だけれどもなっ!!


=========================================


 一方その頃……


「では勇者様御一行に花束を渡す子供達、こちらへ!」


 教会前に並ばされる正装の子供達、

 その中には、あの少年が混じっていた。


(母上……)


 離れてその様子を見る貴族の男。


「よし、ベルナルは手筈道理だな、後は私が……」


 果たしてヨランの運命や、いかに。


========================================


 花火魔法が打ちあがる王城の正門、

 ついにラスロ達の馬車が出ると大歓声があがった。


「いよいよ、か」

「ラスロ、正門の上を!」

「あっ、陛下か、にこやかな顔で手を振りやがって……」「聞こえるぞ」


 そうラスロに言ったヨランの目には、

 すでに涙が溜まっていたのであった……

 この後、置いてきた夫が待ち構えているとも知らずに。

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