表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 伝説の女剣士のやり直し 錆びついた剣と言われても愛で研ぎ澄ますのみ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/158

第70話 いよいよヨランに直接会う手筈 狙いは明日のパレード、やはり自分で連れ戻さなくては

「これがパレードのルートか」

「はい旦那様、こちらの曲がる地点で足止め出来れば、連れて行くことは可能かと」


 王都にあるスタヴィック公爵の別邸、

 そこで念入りに計画を執事と練るモリス=ジョルジール侯爵、

 彼の頭には妻を連れ戻す事以外、考える事が出来ないらしい。


「陛下の顔を潰す訳にはいかない、出来るだけ終わりに近い場所で引っ張ろう」

「しかし城から出て戻るルートゆえ、城に近い場所で騒動になるのはまずいかと」

「騒動では無い、少しだけ早めに帰らせるだけだ、話を聞こうとしない陛下が悪い」


 夜も遅くなろうと言う時間、

 いらつきながらスタヴィック公爵家のコネで入手した、

 パレードの予定ルート表で場所をいくつかチェックする。


「……この騎士団の詰所、ここは利用できないか」

「旦那様、そこはおそらく警備の者が使う場所かと」

「では隣の、これは喫茶店かレストランか、ここのテラスは」「話せても、引っ張るのは難しいかと」


 メイドが濃い紅茶を持って来て置くと、

 即座に奪うようにして飲み干すモリス、

 苛立ちが寝不足と相まって表情を厳しくさせる。


「まったく、手間を取らせて……私とて、こちらの最低限の事さえすれば、

 スタヴィック公爵家へ一緒に頭を下げて、婚約の取り決めさえ書面で交わせれば、

 その後で魔物の出入口を封印する暇くらい、少しならば与えてやっても良いのに……」


 頭を抱えるモリス。


「旦那様、ヨラン様は責任感の強いお方なのでしょう、

 今は魔界封印についてしか頭に無いとなれば、こういった行動も」

「ではこのパレードは何だ!」「おそらく陛下が、国民を安心させるためだと」


 ふうっ、と大きなため息をつく。


「まずは私を安心させてくれ、夫だぞ……」

「こればかりは相手が陛下となると、苦情を出す訳にも」

「……警備の兵隊に金を渡して足止めさせ、ヨランと馬車で話す事は可能か」


 黙って首を横に振る執事。


「旦那様、時間が……」

「妻に会って話をするだけ、ただそれだけだぞ、

 終わった後に城で引き渡して貰う確約が無いのであれば……くそっ」


 窓から遠くの城を見つめるモリス。


「あそこに……あそこに妻が居るのに、

 腕を引いて命令さえすれば……従って来る、はず!!

 何か、何か良い策は無いものか……何か使えるものは……!!!」


 =============================================


「えっと、まず俺がここ、グレナダ公爵家に泊まるのは良いとしてだ」

「はいラスロ様、とても広く大きなベッドですね、まるでハーレム用です」

「いやロズリ、それは良いんだが、なぜ扉の内側で立っている」「警備です!!」


 確かに騎士団員っぽい服装ではある、

 腰にしっかり剣も鞘に納めてさしてある、それは良い、いや良く無いか。


「俺が寝るのをずっと立って見守っているつもりか」「はい」

「いつまで」「朝までです!」「で、パレードは」「一時間ほど眠れば」

「えっ俺が起きてから?」「そうなりますね」「いやいや、ちゃんと寝ないとまずいだろう」


 しかも、それだけでは無く……


「ラスロ、騎士団員は丸二日くらい眠らなくても平気だ」

「だからってヨランまで、ヨランもずっと見張っているつもりか?!」

「私の場合は一時間の仮眠すら要らない、安心して眠ってくれ」「不安になるよヨランが!!」


 これ、灯りを完全に消してもおそらくこのままだよな?

 二人並んで立ったまま、いったい俺が誰にどう襲われるんだよっていう……

 ヨランに至っては勝手にここ公爵邸に入ってきて、いやアリナやミオスに一言はあっただろうが。


「ラスロ様、ご安心してお眠り下さい」

「ラスロ、見張りは任せろ、夜魔とか来たら斬っておく」

「だーかーらー、もう……仕方ない、俺の両隣りで寝てくれ」


 大きすぎるベッドだ、

 三人並ぶくらいなら十分にスペースがある。


「ラスロ様、よろしいのですか?!」

「やっとその気になってくれたか、ラスロ」

「違う違う、普通に眠るだけだ、変な事はしない、あと、させない!」


 パレードに差し障りがあるとまずいからな、

 いや変な意味でじゃないぞ、とにかく普通に眠って貰おう。


「わかりました、こんなこともあろうかとネグリジェを」

「やはりアリナに言われた通り、セクシーランジェリーを用意しておいて良かった」

「ちょ、脱ぎはじめるな、色々と誤解だ、というかお前たち最初からそのつもりで?!」


 などという事がありつつ、

 なんだかんだ距離を保ちながら、

 俺は大きなベッドの中央で、なぜか窮屈そうに眠ったのだった。


(明日のパレード、どうなることやら)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ