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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 伝説の女剣士のやり直し 錆びついた剣と言われても愛で研ぎ澄ますのみ!

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第69話 明日のパレードについて 陛下はもう寝るらしいので宰相さんが答えてくれました

「陛下はお休みだ、よってこの私が答えよう」


 ええっと十二年前は見なかった顔だ、

 ただ衛兵が『宰相が会う』というのでこのチョビ髭が宰相なのだろう、

 フルネームを聞けばどのあたりの人物かわかって俺が気を使う可能性もあるので、あえて聞かない。


(ちなみに一緒についてきているのは、さっきの流れでアサシンのナタリだ)


 別に護衛という訳では無く、

 後で『ひとりで勝手に行って』とか言われないためだ、

 特に旧ハーレムに……いや後ろめたい事は無いのだが、これに関しては。


「失礼、明日パレードが行われると」

「ああ、アリナ殿とミオス殿には伝えてあるはずだが」

「聞いてない……それで、どのようなパレードで」「パレードだ」


 いや、何パレードだっていう話だ。


「婚姻パレードと聞いて来ている兵士も居るようですが」

「その情報は古いな、今は『単なるパレード』としか言っていない」

「はあ」「そのあたり、ヨラン様、いや、ヨラン殿とロズリ殿にも伝えてある」


 つまり、俺まで来てなかっただけか、

 これがわざとなのか、そうでないのか……

 ナタリを見たら『知りませんよ』といった感じで首を振っている。


「それでは俺は、俺たちはどうすれば」

「パレードはパレード、今日、帰ってきた時のような感じで王都を回れば良い」

「名無しパレードというか」「それで良い、それだけで意味がある」


 うーん、ここは具体的に聞こう。


「意味を教えて頂けますか」

「そうだな、もうすでに魔物再出現の噂はここ王都にも広まっている」

「あっ、それで」「心配せずとも勇者様が帰ってきたぞと、皆を勇気づける、勇者の仕事だ」


 それだとある意味『名無しパレード』にも意味は出るな、

 完全に喜ぶ訳にはいかないって考える人からすれば壮行の意味も出て来る。


「では婚姻パレードだとは」

「そう思う奴は思うだろう、何パレードだとはっきり言わないのは、

 見る国民、王都の民がそれぞれの想いで明日のパレードを見るからだ」


 つまりみんなで勝手に『○○パレード』だって思えるように、か。

 手抜きの気もするが、逆にはっきりさせられない俺にとっては、ありがたい。


「つまり、全てにおいてお任せパーティーと」

「そうだ、あまり難しく考える事はない、勇者様にとっても自分のためのパレードだ」


 そこまで言って貰えると、

 随分と気が楽になるな、ありがたい。


(自分の立場というか選択が定まる前だからな)


 曖昧な状況であるならば、

 そのまま曖昧なパレードをさせて貰えるか。


「わかりました、では明日に備えて失礼します」

「それが良い、陛下もこれが、勇者にとって前に進むきっかけになればと」

「きっかけ、ですか」「全てを決めるのは勇者自身だ、いつどこで、どう決めるかは、な」


 宰相の言葉を胸に廊下へ、

 つきそってくれたナタリが俺に話しかける。


「ラスロ様、これからどうなさいましょうか」

「まあ、パレードの詳細もわかったし、休むか」

「ではグレナダ公爵家へ、皆さん待っているかと」


 新ハーレムの面々か、

 ナタリはそちらへ連れて行きたいと。


「ラスロ!!」「おうヨラン」

「アリナが急遽、大切な話があるそうだ」

「わ、わかった、じゃあナタリ、行ってくるよ」「はい」


 連れて行かれたのはお城の応接室、

 新ハーレムと話し合った所だな、今度は旧ハーレムか、

 みんな座って落ち着いている、なんだろなんだろ、俺も座る。


「ラスロ、待ってたわ」

「おうアリナ、急な話ってなんだ」

「はい、突然ですが明日、パレードを行うそうです」


 今、報告かよっ!!


「……陛下がミオスを中心に話を、というのが元々の話だったが」

「そうですね、ミオスとロズリと、私とヨランで」「えええぇぇぇ……」

「嫌でしたか?」「いや、まあ任せてはいたし」「という事で、内容もお任せ下さい」


 ……いいのかこれ、

 一応は確認をしておこう。


「実は宰相から聞いていた、それで内容は自由だと、むしろ内容の無いパレードでも良いと」

「そうですね、見た方が『見てわかる』パレードにした方が良いでしょう」

「にしても急だな」「再封印の準備に集中させるためです」「あっそうか」「我々だけでなく」


 兵士の皆さんもか、

 下手して魔界から魔物が一斉に、

 という事もあるからな、うん、イベント系は先に済ませた方が良い。


「わかった、信頼するよ、うん……」


 四人を見渡す俺。


「どうしました?」

「いや、ほんっとにみんな、十二年経ったんだなあって」


 今更だけど、そして俺もだが。


「気持ちは変わっていませんよ」「むしろ十二年前に戻った」

「そんなに老けたかしら、でしたらもっと化粧をしてきましょう」

「ラスロサマァ、十二年会えなかった分、これから十二年、倍以上、会いましょうゥゥゥ」


 うん、俺を取り戻したい気持ちは十分に伝わってくる、

 何せそれまでのものを、投げ捨ててまで来たんだから……


(来てる子供達については、今は言い難いな)


 会った事も含めて。


「話はそれだけか?」

「あっ、お話をして良いのでしたら、いくらでも」

「明日のパレードもあるから、無いならこれで……」


 出るとロズリが待っていた。


「ラスロ様」「ど、どうした」

「それが、ミオス様が緊急で、どうしてもお伝えしなくてはならない事が出来たと」

「わかった、ええっと」「さあ、こちらへ」


 応接室から今度はどこだ?

 と思ってついていったら外だ、

 馬車に乗せられ、しばらくかけて行った先は……グレナダ公爵家。


「あっ、当主様にご挨拶は」

「もうお休みになられているそうです」


 執事やメイドに案内され、

 十二年以上ぶりの公爵家に入ると、

 奥の居間に新ハーレムが集合していた。


「ごめんなさいラスロ様、緊急事態です」

「いったい何があったんだ?」「はい、実は……」


 座って紅茶を飲んだ所へ、

 ミオスが話した言葉は……!!


「……急遽、明日、パレードを行う事になりました」


 うん、知ってるぞーーー!!!

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