第62話 陛下にご報告 そして俺の希望を伝えるのだがさて、どうなる?
「……という訳で、とりあえず仮の封印を施して参りました、
おそらくは一か月はなんとか持つかと、その間に早急に対処法を……」
目を瞑って聞いてくれている国王陛下、
たまに白髭を撫でているから眠っている訳では無い、
状況を頭に入れてくれているのだろう、そして話が終わっても考え込んだままだ。
(こっちも動かず、片膝着いて待っている)
ちなみに最前列には俺とミオスが並んでいる、
一応は陛下が宣言した勇者と正妻だからな、正式に送り出した……
なので二列目は同じく新ハーレムのロズリ、ナタリ、ハミィが同じ格好で頭を下げている。
(で、少し間を空けてその後ろには……)
旧ハーレムのアリナがひとりだけポツンと、
一応は三列目だ、おそらく『喋りかけて良いのはここまで』というラインなのだろう、
封印に関しての説明は補足があるなら、ミオスだけでなくアリナの言葉も必要だろうからな。
(……まーだ考え込んでいるな、国王陛下)
暇なので頭を下げるついでに更に後ろを見る、
四列目は残りのヨラン、エミリ、ネリィ、大人しいくしている、
そこからさらにぐっと下がってダンジュくん、門の衛兵の前って言って良いくらいだ。
「……ラスロよ」「ははっ、陛下」
「ではその一か月の間に、完全な封印は、出来るか?」
「それは、誠心誠意、努力してみせます、するのはミオスとアリナ、ハミィとネリィですが」
ここでようやく目を開いた陛下。
「では、間に合わなければどうする」
「また、仮の封印を……そしてその間にまた対処法を」
「それで最終的には完璧な封印に繋げるという訳じゃな」
そう上手く行くと良いのだが、
こういうのは本当に何が起こるかわからない、
俺が魔王と共にマグマへと、いや魔界へと落ちた時のように。
「わかった、というかお主らに任せるしか無かろう」
「努力します、必ず再び、この世界に平和を……誓って」
「とりあえず魔物が残っていないか捜索はさせよう」
あと、まだ無いとは思うが新たな魔界ゲートも。
「ありがとうございます、それで挙式の方なのですが」
「それはやろう、ミオス、ロズリ、ナタリ、ハミィ、準備は出来ておるな?」
「「「「はっっっっ」」」」
いやいや、何を四人して声をあわせて!!
確かに出発時、陛下が用意してくれたハーレムで、
すぐにでも式を、みたいな事は言ってくれていたけれども!!
「陛下、その話なのですが、やはり完全に解決していない今は」
「式を挙げてパレードをするくらい一日で済むだろう、長くても二日じゃ」
「いえ、そういう問題では無く」「どうしても心に引っかかるというのであれば、考えるが」
正直、まだ結論が出せていない。
「式の延期は可能でしょうか」
「わかった、結婚式は延期しよう、だが凱旋パレードは行う」
「その、私共が戻って来たときのあれは」「あんなものはパレードでも何でも無い」
まあ、単なるお迎えってことなんだろうな。
「わかりました、あくまで私が帰ってきた、という」
「それで王都の民も、もっと言えば国民も安心するであろう」
「そういう事でしたら」「ゆえに封印は、必ず成し遂げることだ、もちろん魔王退治でも構わん」
ようは結果的に魔物が出なくばれば良いということか。
「ははっ、全力を尽くさせて頂きます」
「うむ、ではパレードの打ち合わせはミオス」「はいっ」
「色々と忙しいであろうが、中心となりやってくれ」「仰せのままに」
そして退場していく陛下、
とりあえず結婚式は回避、でいいんだよな?
その代りのパレード、まあ俺たちがついさっき戻って来た時の延長線上みたいなものだろう。
(これで……一安心、だよな)
とはいえ、やる事は山積みだ、
リーダーとして封印の細かな方法を聞かないと、
いや俺にちゃんと理解できるとは思えないが……
「ミオス、大丈夫か」
「はい、素敵なパレードに致しましょう!」
「いや、そうじゃなくて」「お任せ下さいっ!!」
なんだか浮かれているな、
陛下からアリナ達の話が出なかったからか?
そんなアリナ達は……まだ子持ち組が何か暗いな。
「アリナ」「はいラスロ」
「ヨラン達の事は、任せても大丈夫か」
「私に任せていただけるのであれば」「お、おう、では任せた」
という事で一旦は……
って俺たち、どこへ行くのだろうか?
まだお城に来賓として住まわせて貰えるのだろうか。
「あっ、ダンジュくん、ありがとう」
「お休みをいただきましたが、呼んでいただければすぐに」
「いやいや、しばらくは英気を養ってくれ」「ははっ」
ということで、
とりあえずは衛兵に連れられるまま……
あっ、やはり俺&新ハーレムと旧ハーレムで分かれるみたいだ。
「ラスロ、ではまたのちほど、ミオスもね」
「はいアリナ様! ではラスロ様、参りましょう」
「おう、では……ていうか誰か今後について説明してくれ」
顔を見合わせる新ハーレムの面々。
「リーダーのラスロ様がご存じでは?」
「えっ」「えっ」「ええっ」「ええっと」
「衛兵について行こう」「「「「はいっ」」」」
これはあれだ、
みんながみんな行き先を知っていると思って、
街中の道を歩いていていつのまにか出口へ行っちゃうみたいなやつだ。
(衛兵もわかっていなかったりして)
結果、応接室に到着したのであった。




