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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
序章 魔王を倒した勇者、ハーレム崩壊の現実を突きつけられる
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第6話 新しいハーレムで再出発と思いきや 旧ハーレム大集合でどうなるどうする俺?!

「勇者ラスロよ、南西の山脈から魔物が大発生したらしい」


 ここは王城内にある謁見の間、

 国王陛下がそう、俺たちに告げた……


(やっべ、俺が魔界から無理矢理こじ開けて来た所だ!)


 だって閉じ方わからなかったんだもん、俺一人だし。


「動きが組織的で、どうやら新魔王が誕生したのかも知れぬ、

 そこで賢者ミオス、剣士ロズリ、アサシンのナタリ、魔法使いハミィ、

 以上の婚約者と一緒に様子を見に行き、出来れば討伐して参れ、良いな?」


 俺を先頭に後ろの新ハーレムメンバーと声を揃える。


「「「「「ははっ!!!!!」」」」」


 返事を聞いて満足そうな陛下、

 俺のためにわざわざ『新しい婚約者』を集めた甲斐があった、といった表情か。


「無事に帰ってきたら改めて皆で結婚式だ、国を挙げて盛大に祝う、期待しておるぞ」


 さあどうしようか、

 あれを封じるにはよほどの賢者か聖者と魔法使いが必要だ、

 それでも完全に封じ切れるかどうか……しばらくは出て来る魔物を倒し、今のハーレムパーティを育てるしか。


(みんな俺の表情を見て頷いてくれている)


 早速、心が通じ合えた気がした。


「よし、じゃあ行こうか」

「「「「はい、ラスロ様!!!!」」」」


 陛下に一礼し、

 出口へ向かって歩き出したその時……!!


「お待ち下さい!」


 入って来たのは、懐かしの面々、

 四人揃っている、いや、でも、まさか、

 みんな手の届かない所に行ったはずでは……俺は陛下を見る!


「陛下!!」

「うむ、お主のハーレムは確かに崩壊した、

 完全に死んだと思い、誰も待ってはおらなかった、だがな……生きて帰ったという、報せは送った」


(その結果が、これかぁ)


 まず最初に飛び込んで来たのは、聖者アリナだ!


「ごめんなさい、助けられなくて! でもずっと、ずっと祈ってた!」


 続いて剣士ヨラン、弓使いエミリ、魔女ネリィも!


「勝負は、決着は着けてきた、私は今より、ラスロへと戻る!」

「ごめんなさい、私が悪いの、ねえ許して、抱きしめさせて、お願いだから」

「ラスロサマァ! アナタの、アナタのネリィが愛しにきましたぁ! ラスロサマラスロサマラスロサマ!!!」


 みんな確実に年齢を重ねている!

 これが十二年の歳月か、仕方が無いとはいえ……

 でも元気そうだ、泣きながら笑っている、良かった、でも、でも……


「ヨラン、エミリ、ネリィ、三人は子供とかは」

「それも含めて決着しました、侯爵家の息子が困る事は無いでしょう」

「謝罪の手紙は出すわ、それでもう、終わりよ」「スンッ、てなりましたぁ」


 そして正妻は……


「アリナ、修道院は」「破壊してきました♪」「えええぇぇぇ……」


 ドン引きする俺に構わず、

 群がって来る旧ハーレムのみんな、

 と、そこへ割って入ってきた新・婚約者たち。


「アリナ様、もう遅いです、修道院跡地へ帰って下さい」

「ヨラン様、ラスロ様をお護りするのに、サビついた剣はもういりません」

「エミリ様やこの方々を、とりあえず毒針で眠らせましょうか」

「ネリィ叔母様、七人も子供を作っておいてよくもまあ、来られましたね」


 それに対して旧ハーレムも黙ってはいない。


「貴女は誰でしたっけ? 修道院生活が長いのですっかり忘れてしまいましたわ」

「よし決闘だ、瞬時に片を付けよう、そして負けたらさっさと荷物をまとめて帰れ」

「ラスロは昔から私の胸で眠るのが好きなのよ、さあ、抱きしめてあげるから、今ここで!」

「ネリィ、またお尻ペンペンしますよ? ラスロサマァ、ネリィの愛に、恐怖を感じながら溺れて下さいマセェ!!」


 これに対してもまた言い合っている、

 そしてワイワイガヤガヤと修羅場に……

 どうしよう、と、陛下を見ると……あっ、逃げた!!


(うーーーーん、どうしよう)


 新ハーレムは経験が足りない、俺との仲も、絆も足りない、

 旧ハーレムは崩壊したものの経験豊富、俺の事は魔界に行くまでは良く知っている、

 ということはだ……これ、四と四を足して、全部一纏めにすれば……新魔王討伐が一気に捗りそう!


(とりあえずは、それで行くかぁ!!)


 俺は意を決して、

 みんなに大声をかける。


「みんな聞いてくれ! とりあえず魔物調査だ、平和最優先、これで行こう!!」


 俺の真剣な表情に、

 それぞれのハーレムメンバーが顔を見合わせる、

 そしてまず口を開いたのは……新ハーレムの賢者ミオスから。


「そうですね、我々の愛をよく知っていただかないと」


 続いて剣士ロズリ、アサシンのナタリ、魔法使いハミィも。


「新しい剣の方が、威力も切れ味も使い勝手も良い事を証明致しましょう」

「私はラスロ様のために何でもすると誓いました、昔の仲間よりも働いてみせましょう、そう、何もかも」

「魔法使いは伸びしろが大切と教わりました、ラスロお兄様? オジサマ? のために、成長します!!」


 負けじと旧ハーレムの聖者アリナも。


「十二年分、みんなでこれから倍以上にして愛するわ」


 そしてもちろん剣士ヨラン、弓使いエミリ、魔女ネリィも。


「私は私自身が剣だ、剣は元の鞘に納まるのみ、寄付した愛剣も取り戻して来た」

「私はずっと、ずーっと弓の鍛錬を欠かさなかったわ、それはラスロ、結果的に貴方と再び会う、今日のためのものよ」」

「ラスロサマ、ネリィは、ネリィはきゅんきゅんしていますう、こんなの十二年ぶりですううううう!!!」


 そして新ハーレムの面々が旧ハーレムの面々を睨む、

 もちろん睨み返して、お互い目が、表情がバチバチしている、怖ぇ。


(これはもう、強引に進めるしか、ないよね?!)


「そういった話より魔物討伐が先だ、南西の山脈、さあみんな、行くぞ!」

「「「「「「「「はいっっっっっっっっ!!!!!!!!」」」」」」」」


 ……こうして出来立てほやほやの新ハーレムと、

 十二年前に崩壊したはずに旧ハーレムが奇妙に合わさった、

 俺の新しい、自分を入れて九人の新パーティーが始まったのだった。


(これ、いつ、どう決着をつければいいんだろう……)


 そして、俺の新旧ハーレムに対する最終的な結論は??

 ハーレム崩壊、十二年後の物語が、これから始まる……!!!


 ~第一章へ続く~

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