第51話 他のハーレムメンバーとも話をした結果 結婚式はまだしないが、その代わりに……
ようやく人の、馬車の通る道まで戻った俺たち、
しかしまだ魔物が寄って来ないか確認するため朝まで見張る事となり、
その時間を利用して個別に話をしている、まずは正妻組が終わった所だ。
(ミオスは『ラスロ様に従います』と言ってくれたな)
結婚式はまだしない、
そのかわり、何かしらの式はすると……
俺の中では改めての、魔界封印への壮行会みたいなのをイメージしている。
(これである意味、時間も稼げるな)
そう、俺自身、まだ整理がついていない部分がある、
旧ハーレムをどうするか、新ハーレムはどうなるのか、
そもそもアリナ達と、何の問題も無く改めて結婚するのに支障はないのか。
(もちろん俺の選択もあるが、何を選んでどうするにも、一か月は短いだろう)
そして魔界ゲートを完全に防ぐ方法も考えなくてはならない、
外から蓋をするだけでは不完全だという事はわかっているのだが、
じゃあこれからどうするか、どういう方法を取るのが解決法となるのか。
「……ラスロ、話と聞いたが」
「お、おうヨラン、来てくれたか」
「このライト魔法、愛し合うには明るすぎるな」「いや、そうじゃなくて」
俺は結婚式ではない何かを開催したい趣旨を告げた。
「そうか……総合的に考えれば、仕方がないな」
「ヨラン達の家族にも、いきなり結婚式どうこうは刺激が強すぎるだろう」
旧ハーレムと結婚するとしたらだが。
「ではラスロ生還パーティーということにしよう、
ついでにアリナの聖女、私の剣聖を授かる祝賀会、
ということであればまだ許される範囲となるだろう」
……そのあたりの称号は、
本来、十二年前に魔王を倒した(という事になっていた)時、
その褒美として貰えるはずだったのを俺のために辞退してくれていたものだ。
「わかった、むしろそっちをメインにする手もあるな」
「しかしラスロがやっと前向きになってくれて私は嬉しい」
「いや、前向きというよりは……まあいい、他のみんなとも相談するよ」
続いて入れ替わりで来たのはロズリ。
「ミオスから聞きました、結婚式ではなく婚約式をなさるそうですね」
「えっ、そんな話に?!」「結婚式はまだ早いので、その替わりと聞いて」
「ま、まあ、婚約式とまではっきり決めてはいないが」「私は式を二度、挙げられるので嬉しいです」
なんというか、新ハーレムと旧ハーレムの、温度差?!
まあいいや、具体的な内容は城に戻るまで詰め続けよう。
そんなこんなで次は遠距離攻撃組、まず旧ハーレムの弓使い、エミリから。
「ふふ、イベントのタイトルは何だって良いわ、一緒に踊りましょう」
「ま、まあ、そういうダンス的なものも、あるかも知れないな、あまり浮かれるつもりは無いが」
「どちらにせよ、お披露目会ですから……あぁ、みんなの前で思う存分、ラスロを抱きしめられる……」
ダンスだよな?!
という思いを残しつつ、
次に呼びだしたのは新ハーレムのアサシン、ナタリ。
「わかりました、ではそのパーティーの前や当日に情報収集を」
「えっ、何の?」「過去のハーレム、その関係者、肉親が駆けつけるでしょうから」
「まあ、来ちゃうよね、旦那さんとか子供とか」「そのあたりを聞いてラスロ様に、まとめてご報告致します」
気が利いているような、
それでいて何だか怖いような。
さあ、最後は魔法使い組だ、まずは……
「ラスロサマラスロサマラスロサマラスロサマアアアァァァ!!!」
「こ、こら、襲いかかってくるな!!」「ちょーっと抑えが利かないだけですうううゥゥゥ」
「とにかく話を聞いてくれ、結婚式はまだ早い」「プレ結婚式ですねぇ、お望みのままにィィ」
さっさとネリィを剥がして、
最後にハミィだ、ふう、ちょっと唾液が……
「叔母がご迷惑を」
「いやいい、懐かしかった、それより結婚式だが」
「籍を入れられれば、私は何でも構いません、子供の数は叔母を抜きましょう」「えっ、もうそんな話?!」
とまあ、
結婚式ではない何かを行う事はほぼ決まったのだった。
「では、私達の方でも色々と考えておきますね」
「ああハミィ、助かるよ……もちろん陛下とも相談をしないといけないが、
これでとりあえず話はいいかな、あっ、ダンジュくんも呼んで貰えるか?」
一応は、ね。
「もう眠っていますが」
「そうか、じゃあいいや、このライト消して」
「はい……『闇に滅せよ!』終わりました」
ほんとに真っ暗だ。
「じゃあ馬車へ」
「ついてきてくださいね」
「そ、そんなに密着しなくても」「夫婦になるんですから」
さすが闇魔法も使うだけあって、
暗闇でも見えるらしい……さて、俺の未来はどう明るくなるのやら。




