表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 伝説の女剣士のやり直し 錆びついた剣と言われても愛で研ぎ澄ますのみ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/158

第44話 魔物との遭遇が多くなってきた 急いだ方が良いということで、とっておきのショートカットを!

「ふう、今度はオークの群れか」


 もはや道とは呼べないような険しいルート、

 ただ方向的にはこう行くしかないという場所を慎重に進むと、

 魔物の群れが定期的にやってくる、それを確実に全滅させて行く俺たち。


「ラスロ、オーク肉は焼くと美味しいのよね」

「ああ、ただそんなに持っていけないだろう」

「ではラスロ様、次の野営地でみんなでいただきましょう」


 すっかり俺の補佐が板についてきた正妻組、

 いやここはサブリーダー組と呼んでおくべきか、

 アリナは元々の、十二年前のパートナーだからその続きのようなものだが。


(ミオスも着実に学んでくれると良いな)


 これが引継ぎになるのかどうかは、まだわからないが。


「ラスロ、やはり方向は正しいようだな」「ヨラン、それはつまり」

「これだけ魔物に遭遇するのだ、開いたゲートがこっちの方向にあるという事だ」

「ラスロ様、敵の強さからいって、急いだ方が良いかと……徐々に確実に、数も質も」


 ロズリの言っている事も正しそうだ、

 本来ならこのような道、馬は通れないのだが……


「ラスロサマァ、地魔法で均しておきましたぁ」

「あっネリィありがとう、もうあんなに先まで道が」

「叔母は斜面の角度まで考えていませんから、私が調整をしました」「ハミィもありがとう」


 なんだかんだいって上手く協力しているな、

 そうこうして進んで行くと、目の前が急に開けたと思ったら……!!


「うわ、渓谷か」


 見渡すとまず弓使いエミリが気付いた。


「あそこですね、向こう側の高いあそこから、

 オークなどの魔物が飛び越えてここまで来たのでしょう」

「なるほど、だがそれだと向こうからこっちへは来られても……」


 続いてアサシンのナタリも。


「遠回りの道を探すには時間がかかりますね、

 いっそここで野営していただければこの私めが、

 日の明るいうちに単独でルートを探して参りますが」「いやいや危ないって」


 とはいえ、

 このタイムロスは痛いなあ、

 と思っていると魔法使い組の四人がやってきた。


「実はラスロが休んでいる間に、とっておきの魔法が! ねえミオス」

「はいアリナ様、本来は私の単独魔法、隠し玉だったのですが、皆さんが協力していただけるということで」

「このネリィの、ラスロサマへの愛でパワーアップ致しますヨォ」「では早速、馬車にお乗り下さい」「えっ?!」


 言われた通り馬車へと入る俺たち、

 って運転席にはさっきの魔法チーム四人がぎゅうぎゅうに座った、

 俺の隣には本来の運転手ダンジュくんが、その後ろは剣士組、最後列は長距離攻撃組……


(何がはじまるんだろう)


 そう思っていた目の前では、

 旧ハーレムのアリナとネリィが無詠唱で、

 更に新ハーレムのミオスとハミィが何か詠唱しながら光を放出する……!!


(そして、その光が馬車そのものを包み込み……う、うっ、浮いたあああぁぁぁ?!?!)


 馬がヒヒィーーンと鳴きながら驚いている、

 そして渓谷の上を飛んで……空中をふわりふわりと……

 やがて高い対岸に到着すると、包んでいた光が消えた……馬をなだめるアリナ達。


「凄いな、馬が、馬車が飛んだよ」

「ええ、びっくりしました、騎士団で伝説になります」


 とまあダンジュくんも驚いている、

 馬車から降りると結構、開けた場所だな、

 ここからさっきの場所まで飛び降りるとか、うん、魔物でなきゃできない。


(いや、帰りも同じことをする必要があるのか)


 と、ここでネリィとハミィが俺の前へ。


「ラスロサマァ、いかがなさいますかぁ」

「えっ、何が」

「この、渓谷を降りられる崖を崩せばぁ、魔物が通り難くなりますガァ」


 あっそうか、

 上からのショートカットを潰してしまえば、

 魔物の進行を遅らせられるのか、と思ったら今度はネリィが。


「私は反対です、いかに私達が飛べるからといって、

 たとえば援軍が行き来できなくなる行為は避ける、むしろ橋をかけても良いと思います」

「だが魔物が」「例えばガーゴイルとか少し飛べる魔物には意味がありませんよ」「まあ、そうだが」


 ……どっちにしろ解決するには、

 魔物ゲートを早く塞ぐのが一番の気もするが、

 ネリィもハミィも言っている事は、まあわかる。


「えっと、アリナとミオスはどう思う」

「「はい、結界を」」「あっ、そうか」


 結界魔法でそもそも魔物を通さなければいいのか、

 もうここの道まで来ると遠回りのリスクとか考えなくて良い、

 むしろ逆に時間稼ぎが出来る、と考えた方が良さそうだな、うん。


(ていうか、ほんっと正妻ふたりして、息ぴったりだな)


 チームというか、

 もはや相方になりつつある、相棒か。


「では今からできるかな」

「はい、この岩を利用して」

「四人で早速、造ってみたいと思います!」


 そしてその間、

 剣士組と遠距離攻撃組は、

 さっきのオーク肉を焼いて食事の準備をはじめたのだった。


「……みんな、ありがとう」


 いやほんと、

 ここから先の悪道は時間がかかるのを覚悟していたが、

 あまり長い距離は無理にしても空を飛べるのはありがたいな。


(こうなると、このパーティーをますます完成させたくなる)


 俺の最初に思った、

 新旧パーティー両方をまとめれば、

 魔王討伐が捗りそうという見立ては正しかった訳だ。


(ただ問題は、再び平和にした後だ……)


 うん、その修羅場に関しては、

 全てを解決してから俺が苦しめば良い、

 今は一致団結して平和最優先、これが一番だ。


(とはいえ、城に帰ったら……)


 ずらり、ずらーりと、

 旧ハーレムの家族が待ち構えていたとしたら、

 俺はいったい、どうすれば良いのだろうか……???

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ