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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 伝説の女剣士のやり直し 錆びついた剣と言われても愛で研ぎ澄ますのみ!

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第30話 アリナとネリィの変わらぬ想い そもそも俺の認識が間違っていたのか?!

 皆の夕食分もしっかりと確保し、

 湖のキャンプ地を離れた我ら一行は、

 運搬馬車の最終目的地である村へと向かっていた。


(で、今度のメンバーはだな)


 先ほどの注意を兼ねて、

 アリナとネリィを運搬馬車に呼び出しての会話だ、

 多少は騎士団員や一般人に聞かれるが、まあある程度は仕方がない。


「さあ、あなた、喉は乾いていませんか?」

「ネリィも、ネリィもラスロサマのお世話をしたく、ラスロサマァ」

「とりあえず、落ち着こうか」


 さっきの事について、さあ、どう言おう。


「もうすぐねラスロ、いえあなた、これから行く封印が終われば」

「全て解決、ラスロサマとの本当に望んでいた、夢のような毎日がぁ……アッ」

「その、なんだ、もし、俺が新しいハーレムと家庭を築くと言ったら」


 ……とたんに静まり返るふたり。


「……そのようなことが、ありえるのでしょうか」

「た、例えばだが、でもああやって、ああして準備して貰って、相手も凄く乗り気で」


 ネリィが小さな杖を取り出した!


「ハミィが唆したのですね、早速、お尻を焼いて参りマスゥ」

「ちがうちがうちがう! そういうのじゃなくてだな」

「三人が家庭を持ってしまったのは私の判断ミスです、私のせいです、許してはいただけませんか?」


 とは言っても、ねえ。


(言い方はアレだけど、周りを巻き込み過ぎている)


「とりあえず、新しいメンバーに変に張り合うのは、やめてくれ」

「あら、でも『より良い結界』にはなりましたが」

「それな」「ラスロサマァ、ネリィは、ネリィはもう我慢できませぇん」「おいこら」


 一般同乗者お構い無しだな、

まだ十二年前なら若くて許される可愛さもあったが、

さすがに三十路となると、いやもちろん俺も十二年の月日分は老けているが。


「ラスロ様、聖者アリナとして申します」「あっはい」

「今回の封印、誠心誠意、実行させていただきますので、どうか私共を信じていただきたいのです」

「でも、あんな風に揉め合ったり、張り合ったりされると」


 やはり不安になる。


「私達の愛は、何ら変わっていません」

「……それは、途中で結婚していてもか」

「はい、心の奥底に閉まっていただけ、その封印が解かれただけの話です」


 真剣な表現のアリナ、少し涙が……

 もう、もはや立派な『聖女』としかおもえない。


「ネリィの心はもうすでに、あの時に戻っておりマスゥ、

 それと同時に、もうあの十二年間には戻れませえん……ドゥカ、ドゥカ」

「他の二人も同じだと思います、それ相応の覚悟とか、子供とか、そういうのを迷いなく断ち切って、ラスロ様の元へ来たのですから」


 ……なんだかその真剣な言葉に、

 俺の迷いや戸惑い、そして『寝取られた』という気持ちを、

 綺麗に浄化させようとする言葉で感じさせてくれる、そもそも……


(俺は本当に、寝取られていたのか)


 俺の事など忘れて、

 結婚して幸せになり子供にも恵まれる、

 それはある意味、死んだ俺のためを想ってのことだ。


(実際に死んだ俺なら、喜んでいただろう)


 でも俺は生きていて、

 みんながずっと待っていてくれていたと信じていた、

 だから、裏切られた、寝取られた、もう新しいハーレムが居る、と。


(これって、みんなが間違えたんじゃなく、俺が間違えていたの、か?!)


「俺は……拗ねているだけだったのかも知れない」

「ラスロ様、いえラスロ、こうしてみんな、戻ってきたから良いではありませんか」

「ですぅ、多少は身体に変化はありますがぁ、裏切った事は、一度も無いですよぉ」


 言いたい事は、わかってきた。

 でも、でもだ、やはりひとつ、引っ掛かるのが……!!


「でもやっぱり、あの新ハーレムに対する態度は」

「一応は、育ててあげているつもりです、素質は認めます」

「姪のハミィはぁ、あの子はしっかり仕付けないといけませんからぁ」


 そうか……いや、旧ハーレムだけの意見を聞くとそちらに流されてしまう、

 新ハーレムの意見だけを聞いてもそちらに流されて、となってしまいそうだ、

 俺のこの迷いを払拭する方法、それはやはり……両方の意見を一緒に聞くべきなのかも?!


(そしてまた喧嘩に、とならないためには)


 まあいい、今はこのくらいにしておこう、

 村に到着したらそこからは本気で魔物討伐モード、

 魔界ゲート封印モードだ、真面目に、真剣に、雑念、邪念を捨てて。


「とりあえずアリナとネリィの気持ちは受け取った」

「他のふたりも」「ですぅ」「うん、ここからは帰りまで、俺の方で考えて整理するよ」


 顔を見合わせるアリナとネリィ、

 そして両脇から、同乗者が居るにも関わらず、

 俺のほっぺに左右から顔を近づけてきて、そして……!!


『『ちゅっ』』


 笑顔のふたり。


「ラスロ様、いえラスロ、封印、頑張りましょう」

「ラスロサマの不安は、このネリィが全て焼き付くしてさしあげマスゥ」

「う、うん、あ、ありが、とう」


 俺の迷いは、はたして晴れるのか。

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