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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 伝説の女剣士のやり直し 錆びついた剣と言われても愛で研ぎ澄ますのみ!

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第28話 ヨランの混乱、夢から覚めたら知らない男と結婚していた気分に だが事実、ならばどうする?!

旧ハーレム剣士ヨラン視点となります。

(どうした、どうなっているのだ、私のラスロは……)


 新たに出現した魔界ゲート封印のため、

 かつてのハーレム仲間と一緒に向かう馬車の中、

 愛しの婚約者ラスロは前の輸送馬車で警備についてくれている。


「アリナ、改めて確認なのだが」

「はいヨラン、いかがなさいましたか?」

「……ラスロは私の、私達の婚約者で間違いないな?」


 両手を合わせ、私を見るアリナ。


「はい、間違いありません! そのために戻って来てくれたのですから」

「うむ、そして私達も戻って来たラスロのために再集結した、まだラスロは心の整理がついていないと言ってはいたが」

「封印を施して、改めてラスロとまた話し合いましょう、もう私達を阻む障害は、何も無いのですから!」


 エミリもネリィも、

 私の顔を見て頷いてくれている。


「勇者様が私達に会うため十二年ぶりに帰ってきた、そこへ私たちも戻って来た、何の問題があるのでしょうね」

「ですぅ、十二年間、何をして過ごしていたかよりもぉ、これからどうやって愛し合っていくかでスゥ……キャッ☆」


 うん、十二年前と表情、目の輝きは何も変わっていない、

 どのようにして待っていたかより、これからをどうするかが大切だ、

 待っていたラスロの迷いを払拭するために、私達はまた、この愛情を燃やすしかない!!


「……正直、ラスロが生きていた、帰ってきた、戻って来たとなったとき、

 長い間に見た悪い夢から、醒めたような気分になった……もちろん結婚はしていたが、

 その瞬間、言い方は悪いが『気付いたら知らない男と結婚していた』そんな気分だ」


 更に深く頷くエミリとネリィ。


「私は、私の心を支えてくれた恩義は感じていますが、

 やはり本当に愛し合っている相手が待っていてくれていたのですから」

「ネリィは、間違えましたぁ、一生を賭けて修正して、ラスロサマとやり直しマスゥ」


 ……やはり後は、

 ラスロが広い心で皆を許してくれれば、

 それで丸く治まる話ではないか、うん、何も難しい事は、無い。


「では結局の所、我々はどうすれば良いのだ、

 あのラスロの反応は正直、混乱してしまう……

 いや、ラスロの方こそ混乱してしまっているのだと思うが」


 十二年も魔界にいた訳だからな、

 仕方が無いとは思う、だが私が思うのは、

 やはりハーレム全員が迷うことなく再集結した、これは誇れる事だ。


(そう、誰一人として欠けること無くだ)


 そして一番頼りになるのは正妻アリナ……


「アリナ、客観的に見てネックになっているのは何だ」

「考えられるのはふたつ、まずひとつは今も変わらず愛しているか」

「当然だ、私が私で居られるのは、ラスロを愛しているからだ」


 また生きた屍、

 便利な人形に戻る気などは毛頭ない。


「もうひとつはやはり、子供ですね」

「そこだ、それがあるからこそ、ラスロと一緒に謝りたかったのだが」

「こればかりは消す事はできませんから、無かった事にせず、解決しないと」


 それを聞いて真っ先に思い浮かんだ言葉……それは、


『上書き』


 であった。


「……やはりラスロとは、早急に新しい子を作る必要があるな」

「はい、魔王を倒すまで、いえ、今日までラスロもずっと我慢してきた訳ですから」

「そうなるとお互いの理解が一致するではないか」「あとは愛し合うだけです」


 私が他の男と結婚し、

 子を作っていたのは事実だ、

 ならば、それを塗りつぶす、超える行動をすれば良い。


「五人か……この年齢でまだ間に合うか」

「ヨランとラスロが本気で協力し合えば可能かと」

「ふたりはどう思う、エミリ、ネリィ」


 ぐいっと顔を近づけるふたり。


「私はいつでも準備が出来ています」

「ネリィは一度に七人、いえ、八人までならお育てする覚悟が、ありまあす!!」

「そうか、一刻も早い方が良いな、封印を完成させて王城に着いたら即、子作りを提案しよう」


 鼻息が荒くなる私。


(……かといってまた一方的に押すと機嫌を損なう。どうしようか、やはりここは……)


「誘惑、か」


 もうラスロが『全てが終わるまで』という言い訳が出来ないように、

 本当の意味で解決を済ませて、あとは……今度こそ、幸せな家庭を築くのみ!!

 とにかく、ありとあらゆる行動、言葉、策略を巡らせて、元のハーレムを取り戻さなければ……な。


(よし、ここから先は、これからこそが本当の、私の幸せだ)

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