第183話 結局、ワイワイガヤガヤ 新ハーレムと魔物ハーレムと、そして……
「リムリアさん達も、本当に頼もしかったですよ」
「ふふ、ありがとミオス、でもやっぱりトドメは人間にして貰わないと」
「それにしてもカミラの遠距離攻撃は凄かったな」「ラスロ、今更よ」「今更でもさ」
とまあ俺用の寝室に大集合、
新ハーレムの四人と魔物ハーレムの二人、
おまけで頭上にアストの種(芽)が、いちいち相槌を打ってくれている。
(そうそう、さっき何だかメイドが四人も来ましてね)
夜更かしするなら濃い紅茶をどうぞと、
アリナ達に似たメイド、いやまあ本人達なんだが、
それがどさくさまぎれに入ってこようとしたのでミオス達が紅茶だけ貰って追い返した。
(あれ? 風が……)
いつのまにか窓が開いてる、と思ったら!!
「何やら楽しそうにしてるさね」
「ナルガ! ここ何階かと」「踏み台があるさね」「えっ」
窓の下を覗くと、
ドリアード達が組体操のように重なり合い、
ナルガの巨体その踏み台になってくれている!
「お前ら、大丈夫か」
「ダイジョウブダ、モンダイナイ」
本当にタフだなあ、
聞けば対エント族で犠牲者は居なかったとか、
逆にあっちは壊滅、唯一の頼みの綱だった王子もナルガの胃に……
「ナルガ、ちょっと仲間外れみたいになって悪かったな」
「仕方ないさね、そう思うなら明日はアスト城へ泊まると良いわさ」
「そうだな、それはそれとして、あの芋虫は美味しかったか」「まあまあ、そこそこ、中の上さね」
塩でも振れば良かったんじゃ。
「それでナルガさん達は、いつ魔界へ戻られるのですか?」
おお、ミオスがぶっ込んできた!!
「ラスロと一緒なら、すぐさね」
「とりあえず貸しは返してもらわないとね、ふふっ」
「私も私でラスロとは重大な約束をしているのよ」「カミラ……」
やはり憶えていたか。
「あのぉ、その約束というのはぁ」
「ネリィさん、結論から言うと私はラスロを貰うの」
「おいおい、誤解されるだろう」「あら、言ったままよ」
ここは俺が説明しておくか。
「つまりだな、アンデッドでヴァンパイアのカミラは、
俺が死んだら、その死体を貰い受ける契約をだな、まあ」
「あら、それこそ誤解よ、私は『死ぬ直前の』ラスロを貰うの」「同じだろう」
話を理解しようとするミオス。
「つまりは、カミラさんがトドメを刺したいと」
「そういう意味では合っているわね、生きていないと眷属には出来ないの」
「えっ、ラスロ様をアンデッドに?!」「お人形さんね、永遠に動き続ける」
一応、俺の意識は無いようにして貰える、はずだ。
ロズリが慌てて俺に詰め寄る、いや近い近い近い!
「ラスロ様、そんなに早く死ぬのですか」
「いやいや、寿命で死ぬ時だ、カミラの能力で死体を若返らせるらしい」
「……不老不死ですか」「いや、抜け殻だ、もうそうなったら好きにして貰って良い」
別に絶対に墓へ埋めてくれとは思わない、
魔王退治に最大限、協力してくれたカミラへのお礼だ。
「あの、半年間もご一緒させていただいて何ですが、カミラ様」
「何かしらナタリさん」「少なくとも私はまだお聞きしていなかったのですが、
カミラ様とラスロ様との、馴れ初めは……どのようにしてお会いしたのでしょうか」
そういえば、
まだ誰からも聞いてなかったのか、
うん、俺も話した覚えは、まったくない。
「私も聞きたいです!」「私もですね」「このハミィもぉ」
えっ、そんなに喰いつくの?!
「ラスロ、良いわね?」
「ああカミラ、教えてやってくれ」
「懐かしいわ、あれはラスロ達が『死の沼地』へ来た時のことなんだけれども……」「ちょっと待った」
俺は扉の方へ。
「いつのまに、何をしているんだ、アリナ達」
開くとどさどさどさっと倒れてきた!
「ラスロありがとう、入れてくれるのね」
「夜の、ベッドでの護衛に来た」「寝る前のハグはご入り用かしら?」
「このネリィめ、ハミィのお尻を117回ペンペンしに来ましたあアァ」「お前ら……」
そして窓から声が。
「聞かせておやり、減るもんじゃないわさ」
「ナルガ、そうは言っても物理的に狭くなる」
「こうしましょう、廊下から入らないで下さい」「ミオス……」
半年間で、
見違えて逞しくなったんだよな。
「では改めて、あれはラスロ達が、
どうしても『死の沼地』を通り抜けたいってなったんだけれども……」
魔物ハーレム、
最後の一体の回想が始まった。




