第182話 グレナダ侯爵家で大パーティー そこに紛れ込んで来たのは……
「では、乾杯!」「「「「「「「かんぱ~~~い」」」」」」」」
凱旋帰還後のグレナダ公爵家、
当主の合図で祝杯をあげる俺たち、
いつもはお酒を控えるミオスも、今日ばかりはご機嫌だ。
「ラスロ様、これでしばらくは、私達の仲を深めることに専念できますわね」
「いやまあ、魔界の半年間も深めたといったら深められたが」「でも戦いが主でしたから」
「そうですラスロ様、きちんと愛し合うのは王都に戻ってからと」「ロズリ、俺ってそこまで言ったっけ」
まあ、はぐらかしつつも、
それに極めて近いことは何度か言った気がする、
ミオスの誕生日に一泊だけ、ここへ戻ってきた夜にも……
「それでラスロ様、あの言葉は痛快でした」
「ああ、陛下に誰と結婚するか聞かれて答えた話か」
「あの叔母の顔は見物でしたねぇ、なんというかぁ、無?」
そう、結婚式の相手を聞かれた俺は、
『陛下の選んでいただいた通りの相手です!』
と言い放ち、
大きく頷かれた、
その瞬間、新ハーレムから歓声があがった。
(まあ、流れ的にはそうなるよな)
ということでの、
グレナダ公爵家である。
「ふふ、ねえラスロ、ここのお酒は精が足りないわ」
「リムリア、そんなキツいものはここには無いって」
「私はラスロが口移しでくれれば何だって酔えるわ」「いやカミラ、噛んで血を混ぜる気だろう」
と、どさくさ紛れに着飾っているのは、
人間体に化けているサキュバスのリムリアと、
色白のままドレスを身にまとっているヴァンパイアのカミラだ。
(そして俺の頭上には芽の出たアストの種、と)
ちなみにナルガは庭でなんか焼いている、
でかい芋虫……魔界からのお土産というか、
戦ったエント族が『王子』と呼んで必死に護っていたヤツだ。
(ドリアード族のアルラウネみたいな存在らしい)
それがナルガの、本日の夕食として……
あっ、窓から見下ろすとまだウネウネ蠢いているな、
取り囲んでいるドリアード達が嬉しそうだ、敵だからね仕方ないね。
「あっ、ナルガにもちゃんと樽でお酒が」
「ドリアード達もあとでかけ合うって、参加しようかしら」
「カミラ、濡れて凍死してると思われるからやめてくれ……アストも居るか?」
ゆっくり頷いている、
神木には酒をかける習慣があるからね、
修道院前で樹になった大聖女にも機会があればかけてやるか。
(あれはあれで御神体になっているらしい)
その時はドリアードも連れて意思確認だな、
もう喋れないので……って俺の持っているワインも飲み干してしまった、
気付いたメイドが新しいのを持ってきてくれる、なんだか美人オーラが。
「どうぞ」「ありが……えっ、アリナか?!」
「やっぱりラスロ、私に気付いてくれたのね」
「いやまあ、ってじゃあ公爵の相手をしている、背の高いあっちは」「ヨランね、真面目にやっているわ」
更に公爵夫人にはエミリか、
ということは……いやはやハミィがメイドに絡まれている。
「生意気な姪っ子はそろそろお仕置デスゥ」
「年増の嫉妬は見苦しいですよぅ、叔母さん、いえ、おばさん」
「やっぱりお尻ペンペンですねぇ」「もうそんなに小さいお尻はしてないですよぉ」
何を話しているんだ何を。
ちゃっかり紛れ込んでいた旧ハーレム……
陛下への宣言で、間接的にお断りしたのにめげてないのか、逆に火がついたのか。
「ラスロ、やっぱり私達のことは、忘れてなかったのね」
「どういうことだアリナ」「昔、十五年以上前、私達が旅立つとき、
陛下が、私達が魔王を倒したら結婚式を開くって話」「あっ」「それを持ち出してくれて、嬉しいっ」
アリナ達とも、
今回の件以前に陛下が認めていたと言えなくもない、
まったく、どこまでポジティブなんだよアリナ達は。
「ラスロありがとう、改めてラスロを待って、迎え入れる『やり直し』をさせてくれて」「えっ」
「今度こそ、ちゃんと言わせて貰うわ……ラスロ、お帰りなさい」「あ、ああ、ただ……い」「メイドさんはそろそろ」
ミオスが割って入っちゃったよ。
「じゃあラスロ、後で改めて」「お、おうっ」
……後でって、いつだ?!?!
「もう、ラスロ様、変なのが紛れ込んでしまってごめんなさい」
「いやミオス、その言い方はさすがに」「今夜、改めて集まりましょう」
いよいよ、
新ハーレムのみんなに……
「ふふっ、面白そうね、私も行くわ」「なら私も」「リムリア、カミラまで?!」
さあ、どうなる。




