第178話 そして出発の朝 やってきたアリナ達に告げたのは……
「では勇者ラスロよ、我が国へ侵攻する恐れのある新しい魔王退治、
見事成し遂げて半年後に帰ってくるのだ、良いな?」「ははっ、必ず陛下のために」
翌朝、謁見の間で形だけの出発式、
一応は偉い人たちに見守られながらだ、
グレナダ公爵家当主も見てくれている。
(そう、義理の父になるかも知れない人……)
後ろの新ハーレムにも陛下は言葉を。
「ミオス、ロズリ、ナタリ、ハミィ、勇者をしっかり支えるのだぞ」
「「「「はいっっっっ」」」」「では行って参れ」「全ては、平和のために!」
そう言って出ようとすると……!!
「ラスロ!」「……アリナか」
「酷いわ、私達も連れて行って!」「それは出来ない」
「どうして……ねえ、ラスロ」「アリナ達には、重大な仕事がある」
続いてヨラン、エミリ、ネリィも入って来た。
「ラスロ、魔界へ逃げるつもりか」
「ねえラスロ、もう私はひとりよ、だからラスロも私だけを見て」
「このネリィめが、ラスロサマヲヲヲ、オマモリシマスゥゥゥ」「みんなも聞いてくれ」
旧ハーレムの四人に向かって、俺は告げる。
「リーダーとして重大な任務を告げる、まずは城を、この国を、人間界を守って欲しい」
「つまり……留守番?」「俺たちが魔界へ行っている間、他の新たな魔界ゲートが開くかも知れない」
「それに対処して欲しいと」「ああ、アリナ達を信頼しているからこそだ、戦力的にもアリナ達が適任だ」
頷いてくれている、
チョロいなあ、まあ嘘ではない。
「その時はラスロには」「こっちのアスト城にドリアードが十体前後残る、
緊急事態を伝えてくれれば俺たちの耳に入るし、場合によっては駆けつける」
まあそれは本当に有りうるからな、
あまりあって欲しくは無いが、理由としては十分だ。
「……ラスロのことだから、理由はそれだけではありませんね」
「そうだな、俺たちが全滅しそうになったとき、助けに来て欲しい」
「魔界まで?」「そうだ、案内はドリアード達がしてくれるだろう」
と、ここでネリィを見る。
「ラスロサマァ?!」
「ネリィ、ドリアードは魔界で新たな魔王になりそうな、
エント族と総力戦で戦う、それに備えて忙しい、だからだ」
コクコク頷くネリィ。
「このワタクシめが、ラスロサマのために魔界エエエェェェ」
「違う、ドリアードに任せっきりだった子供達の世話、ネリィがするんだ」
「えええぇぇぇ……今更ですかァ」「自分の子供だろう」「でもォ」「ドリアードを、そして俺を困らせるな」
あっ、しょんぼりしちゃった、
「でも、でもォ、でモォ」
「エミリもネリィも、ヨランもだが、
自分の産んだ子供に対しては責任を持て、俺がどうとか関係ない」
……かといって笑顔で『処分しました!』とか言われても困るが、
さすがにそこはわかってくれるだろう、それすら無理ならもう、俺は……
そして痺れを切らしたミオス。
「ラスロ様、そろそろ」
「そうだな、あっアリナ、大聖女の足が根っこになったらしい、
そろそろらしいので遺言くらいは聞きに行ってやってくれ」「……はい」
さあシメよう。
「では改めてリーダーとしての命令だ、
基本的には半年間、こっちで待機、警備だ、
アリナ、ヨラン、エミリ、ネリィ、頼んだぞ」
少し間を置いて……
「「「「はいっっっっ」」」」
さあ行こう。
「ラスロ!!」
「……アリナ、まだ何か」
「ううん、行ってらっしゃい、待ってるわ」「ああ、半年後にな」
そして旧ハーレムに見送られながら、
あっ、陛下もまだいたんだ逃げててもいいのに、
とにかく新ハーレムと一緒に俺はまず、城を出た。
「さすがラスロ様です」「いやミオス、特には別に」
「昨夜のキス、嬉しかったです」「頬やおでこに軽くだぞ?」
「まだ前払いですものね、半年後、こちらへ戻ったら……」「気を引き締めてくれ」
そして俺たちは、アスト城へ。
「ラスロ、アストサマガ、マッテイルゾ」
「ああドリアード、待たせた……おっとナルガ」
「人間への別れは済んだのかい?」「さっきな、ってミオス達は来るぞ」「良いさね」
入るとまず、
通常サキュバス体のリムリアが。
「ふふ、忘れ物は、なあい?」
「無いし、あったらドリアードに頼む」「あの」
「あっ、君は」「アイン、です」「ネリィの長女だね、お母さんが来るはずだから、面倒見て貰ってね」
残った少数ドリアードも、
まったく面倒を見なくなる訳じゃないらしい、
とはいえ今までのようなマンツーマンは無理だろう。
「待っていたわラスロ」
「アスト待たせた、さあ行こうか、
それでラグラジュ大森林か、それとも」「ここよ」
そう言って、
アスト城のエントランスで、
ナルガやリムリアとも一緒に何か念じると……!!
「こっ、これは、魔界ゲート?!」
「一方通行だけどね、一度きりだけど」
「つまり、これをくぐると」「戻りは遠回りになるわね」
さあ、いよいよだ。




