第177話 しばらくお別れ人間界の夜 訪れてきた新ハーレムの面々に俺は……
「ふう、ナルガのヤツ、うるさかったなぁ……」
少しだけ行ってきたアスト城、
アストの種(芽)とリムリア返還と、
あとナルガに挨拶してきた、明日朝集合だそうだ。
(魔界で子作り子作り、もうすっかりその気だったな)
人間界へ戻ってからって約束だったもんな、
魔界に居た間……とはいえううむ、どう逃げ続けようか、
とグレナガ公爵家の俺用寝室で天井を見ながら思う、早く寝ないといけないのに。
(そういやドリアードが言ってたな……)
なんでもアリナ達が何か勘付いたらしく、
『コッチへムカッテイルガ、ドウスル』
まあ運んでいるのはそのドリアード達だ、
速度調整で速く着かせる事も、遅らせる事も出来る、
考えた結果、見送り位はさせてやろうと朝、到着予定だ。
(すれ違いになったら、まあ伝言くらいは残してやるが)
ちなみに魔界の城でそれなりに苦が無いよう、
急に決まったとはいえ、ある程度の服や寝具は持って行く、
足りなかったらこっちに残るドリアードに届けて貰えるし。
(新ハーレムでも、本当に『魔界無理』ってなったら人間界へ送り帰せる)
ただ、当の本人たちは……
コンコンッ
「ラスロ様、もうお休みになられたでしょうか」
「ミオスか、そろそろとは思っていたが、どうした」
「少し、お話を」「ああ、入って良いぞ」「失礼します」
と、扉が開いたかと思ったら、
寝間着姿のミオス達がぞろぞろと入ってきた、
みんな個性が出てるなあ、五人目のリムリアなんてスケスケ……ん?!
「ミオス、これはどういう」
「はい、勇者ラスロ様の新しいハーレム、勢ぞろいということで」
「それはいいが、いや、それはわかるが、なぜリムリアまで」「えっ」「えっ」「「「えっっっ」」」「ふふふっ」
あ、これ勝手についてきたな。
「リムリアはアスト城へ帰しただろう」
「こっちまで、ひとっ飛びよ」「いやそうじゃなく」
「皆さん、する気満々だったから、私も混ぜて貰おうと」「お前なあ……」
色々と整理したいが、
とりあえず部外者は出て貰おう。
「ラスロ、まず最初は」
「ああリムリア、最初はリムリアに出て貰う、
すまない、これは真面目な話の流れだ」「えっそうなの?!」
いやまあ、
とりあえずはそういうことにして欲しい。
「リムリア様」「……ミオス、さんだっけ、じゃあ一旦消えるわね」
あっ、妖精体に変化した、
スケスケのネグリジェが床に落ちる。
「どうせ魔界でしばらく一緒なんだ、我慢してくれ」
「ええラスロ、じゃあまた明日ね、ふふっ、良い夢を」
……窓から飛んで行った、
それにしてもこのネグリジェ、
どっから拝借してきたんだよ、まったくもう。
「これは母のものですね」
「えっ、ミオスの?!」「はい、後で返しておきます」
「明日朝出発だから忘れないようにな」「はい、それで大切なお話なのですが」
今度は横一列に並ぶミオスたち四人。
「打ち合わせか何かか?」
「いえその、改めて私達の、立場の確認を」
「と、いうと」「長くなりますが、それとも短くしますか」「手短に」「では、抱いて下さい」
手短っていうより直入だなおい!
「つまりは」「はっきり、私達を選んでいただければ、絆が」
「……そりゃあ、リムリアも嗅ぎつけて着いてくるはずだなおい」
「こういう行動は、お嫌いでしょうか」「いや、俺の問題だと思う」
ここまで好きになられたら、
とも思うが、十二年前も我慢したんだ、
まあ我慢したから、ああなったとも言えなくもないが。
(だが今回は、新ハーレムについては、一緒に魔界だ)
そうだな、だからこそ、真摯に答えよう。
「私達は、真剣です」
「だったら俺も、きちんと魔界が封印できるまで、ミオス達を大切にしたい」
「……大切にしていただきたいのは、私達との繋がり、気持ちです」「ああ、すまない、だがやはり」
ずいっと迫ってくるミオス。
「やはりまだ、アリナさん達が」
「いや、さすがにそのショックはもう、それよりも」
「ひょっとして魔物の皆さん」「いや、ミオス達に夢中になって、やるべき事をやれなくなるのが怖い」
まあ俺の年齢から言えば、
悠長な事も言ってられないかもだが。
「では、いつ」「解決してからだな」
「それこそ、いつ」「……長くは待たせない」
「本当ですね?」「とにかく魔界での半年は、集中させてくれ」
逃げと思われても構わない、
別に彼女達が嫌という訳では無いのだが、
これでどうこうやってしまうと、アスト達に口実が……
(いや、そういう問題じゃなくてだな)
このあたり、
俺もそろそろ、はっきりさせるべきか。
「わかりました、ではせめて、おやすみのキスを」
「えっ、俺から?」「はい、私やみんなに」「今ここで?」「はい」
キスかあ。
(……これもひとつの、けじめかな)
一歩、いや、半歩前進のために……
「では、目を瞑ってくれ」「はいっ!!」
「そんなに喜ばなくても」「お願いしますっ!!」
そして、俺は……。




