第175話 陛下に報告 魔界へ行くと言ったらその反応は……!!
「ほう、自らまた魔界へ行くというのか!」
「はいっ、新たな魔王が誕生し、討伐したものの、
更に次々と……という可能性が高く、その芽を摘みに」
そう片膝着いて陛下に報告、
俺の後ろには新ハーレムの四人、
そして俺の両肩にはアストの芽と妖精姿のリムリア。
(妖精はギリセーフらしい、正体は言わずもがな)
自らの顎鬚を撫でる国王陛下。
「寂しくなるが仕方がない、してラスロ、そなたの従魔は」
「もちろんアスト、ナルガ、リムリアは連れて行きますが、
その、こちらにアスト城と、いくつかのドリアードを残す事をお許しください」
両目を閉じる陛下、そして黙り込んだ、
これは魔物の痕跡をごっそり引き上げてくれると思って喜んでたのに、
なんだ残すのかよといった感じの雰囲気だ、でもこれは譲れない、なぜなら……
「……勇者ラスロよ、してその理由は」
「はい、まず俺たちが魔界へ行くと、また新たなゲートが、
魔物の一団が人間界へ出現した時、俺たちが気付かない場合があります」
片目を開く陛下。
「ほう、その時は」
「こちらに置いたドリアードから報告を受け、
魔界からになるのか人間界に戻ってかはわかりませんが、即座に対処致します」
その言葉に、
更にもう片方の目も開く陛下。
「間に合うのか」
「実はそのために……アリナ達を、こちらに置いて行こうと」
「なんと、それで戦力は大丈夫なのか」「はい、私は陛下が編成して下さった、新しいハーレムの能力に賭けたいのです」
その言葉にくすくす笑うリムリア、いや、やめてくれって。
「なるほどな、して真意は」
「真意、ですか」「わかっておる、己を犠牲にして、魔界側から封印するつもりもあるのだろう」
「……よく御存じで」「そのために新しいハーレムを連れて行くのであろう、今度は寂しくないように」
まあ、もうそういうことでいいや。
「しかしながら、我々はいつでもこちらへ、人間界へ戻る事ができます、
陛下がお呼びなら、ドリアードに伝えていただければ、速やかに陛下のもとへ」
「皆まで言うな、こちらのことは聖女アリナ達に任せて、魔界での魔王討伐に集中せよ」「ははっ」
これ絶対、
厄介払い的な感情もあるな、
新旧ハーレムについては陛下の捲いた種もあるのだが。
「して、出発は」
「……明日朝とか、いかがでしょう」
「早いな」「こういうのは、早く手を打った方が」
実は王都へ戻ったら、
魔界→大森林から抜けてきたドリアードが、
最新情報としてエント族の長が魔王になりそうだと。
(俺らをせっつく嘘、とは思いたくないが)
まあ、これだけこっちで尽くしてくれたんだ、
更に今後も少しだが人間界に居残ってくれる、
もうこうなると、騙されていたとしても良い、まであるな。
「では壮行会は」
「今回はこっそり、国民に心配はかけたくないので」
「わかった、必要最低限にしよう」「ありがとうございます」
改めて陛下が、
今度は俺の後ろに並ぶ新ハーレムへ端から声をかける。
「ミオスよ、無事に帰ってきた暁には、国教へ聖女の推薦をしておこう」「ありがとうございます」
「ロズリよ、無事に戻ってきたならば、我が国王の命により、剣聖の地位を与えよう」「ははっっ」
「ナタリよ、無事に」「何もいりません、当然のことをするまでです」「そうか、わかった、さすがナタリよ」
暗部時代の繋がりを、
変に強くするような真似はお断りって感じか。
「ハミィよ、無事に成し遂げて来たなら、ラスロの側室ながら、名誉宮廷魔術師の称号を与える」「ありがたき幸せですぅ」
「ということでラスロよ、これで良いな?」「その、出来ればアスト城を、帰って来てからも、出来るだけ」「考えておこう」
アストの種が俺の肩でぴょこぴょこしてら。
「ふふっ、私はどっちでもいいわ、ラスロが魔界へ永住するのであれば、ね」
怖い事を言うなぁ。
「ではラスロ、今夜は」
「別れもあるでしょうからグレナダ公爵家へ」
「して明日朝」「はい、出発の報告をして、そのまま」「うむっ」
こうして俺たちは、
アリナ達が戻ってこないうちに、
さっさと魔界へ旅立つ事を決めたのであった。
(アリナに、ちゃんと来ないように釘を刺しておかないとな……)
かといって陛下に伝言は、気が引けるな。
「ところでラスロよ」「ははっ」
「北の、マベルス修道院から問い合わせがあってな」
「何でしょうか」「大聖女の足の裏から根が出てきて、削っても削っても生えてくるそうだ」
もうかよ早いな、
それだけ大聖女の身体が限界を超えていたのだろう。
「それに関しては、アリナの方へ」「うむ、わかった」
俺、し~らないっと。




