第171話 最低限の義務は済んだ、となると俺の帰る場所は
「本当にありがたい、あの巨大トカゲには森のエルフ皆が困っていた所だ」
最後と決めたマザーツリーを治している間、
その集落(森)の長であるお爺さんエルフに感謝される俺たち、
良かった、あのトカゲはやはり駆除して良かったようだ、一安心。
(もし『我らの神獣様に、なんてことを!』とか言われたら、どうしようかと)
まあトカゲだからな、
エルフが敬う要素ゼロだ、
お礼に俺たちは普通に食事を頂いている。
(にしても焼き芋虫は勘弁して貰いたい)
平気で食べているのはナルガ以外だと、
ナタリくらいか、十二年も魔界に居た俺でさえ一匹が限界だった、
いや普通の食事も普通にあるから、あえてチャレンジする必要はないのだが。
(余った分はナルガの口に流し込みました)
トカゲの後のデザートに、
まあまあだったらしい、いや果物もあるのだが。
「アストは大丈夫か」
「ええ、もうしばらくかかるわ」
「治りそうか」「それはとっくに、今はサービスタイムよ」
何をやっているんだ何を、
一体化しているのはわかるが内部は見えないからな。
「ドリアード、具体的には」
「フュージョン、シテイルナ」
「つまりすなわち」「ニンゲンデイウ、スペシャルマッサージダ」
まあいいや、
このマザーツリーが終われば最低限の義務は終了だろう、
なんだよお礼がエルフの聖域に入れたことだとか、こちとら魔界でサキュバスの棲家に突っ込んだんだぞ。
(変な事はされてないぞ、物理的には、直接的にはな!)
ただ、夢の中でぐっちょんぐっちょんにされたが。
「で、リムリアは何をしているんだ」
「ふふ、マザーツリーの若木があったから、ちょっと夢を見せてあげただけよ」
「喜んでいるのか」「興奮しているわね」「つまりどうなる」「成長が早くなるわ、ふふっ」
おそらくこのくらいのサイズの若木だろうな、
昔、王都に植えたマザーツリーは……人と同じくらいの大きさ、
特に顔とかないよな? あったらそれはドリアードだ、ていうか幹がやわらかい。
「あんまり触っちゃだめよ、ふふっ」
妖精の姿のまま、
若木の周囲を回っている……
さて、食事を終えて休んでいるミオス達の方へ。
「落ち着いたか」「ええラスロ様、これでもう帰るだけですよね?」
「そうなるな」「やはり帰るならばミオスの、グレナダ公爵家へ」「ロズリ、うーん」
「しばらく大丈夫なら、アタシたちと一度、魔界へ帰るといいさ」「ナルガ、行ったらこっちへ帰さないつもりだろう」
ドリアード達が、わらわらやってきた。
「アストサマハ、モチロンダガ、ラスロト、ナルガト、リムリアタチガ、カセイシテクレレバ」
「コレホドアリガタイコトハ、ナイゾ」「キテクレナイカ」「エントノヤツラヲ、ミナゴロシダ」
「うんまあ、ここまでお前たちが協力してくれたお礼はしたいが……もうちょっと考えさせてくれ」
ドリアード達がどう言おうが、
どれだけ助けてくれた事実があったとしても、
俺の帰る場所は人間界であり、そして王都の……
(アリナ達は、今頃どうしているんだろう)
ちょっと聞いてみよう。
「どうせあっちに種を残しているんだろう、アリナ達はどうなっている」
「モメテルナ、コドモモマキコンデ」「来られそうか」「ムリダナ」「やはりか」
「ラスロ様、良いアイディアが」「なんだミオス」「私達、新しい正妻側室の四人と一緒に、魔界で加勢を」「そうきたか」
新ハーレムと俺は、
最初も思ったが絆や経験がまだまだ足りない、
コンビネーションを鍛えるためにも魔界修行は良いかも。
「オオ、ホカノニンゲンモ、キテクレルカ」
「封印の様子を見るタイミング的に、半年で一度戻るぞ」
「ソレマデニ、エントノヤツラヲ、カイメツデキレバヨイ」
……今回は先の見えなかった十二年よりも、
きっちり半年と期限が決まっていて、目的が、
新ハーレムの能力底上げという明白なものであれば、耐えられそうだ。
(今度はひとりじゃないからな)
一応、聞いておくか。
「ロズリとナタリとハミィは」
「ラスロ様の剣となれるならば」「魔物相手の経験を積みたいです」「魔界で新婚旅行ですねぇ」
「そうか、改めてミオスは本当に良いのか」「はい、何よりアリナ様たちを、こちらへ置いて行けるのが」
そうなると、
魔界へ来られないようにする必要があるな。
「アスト、アストはドリアード達の主人だろう、どうする」
「ラスロが加勢に行くなら私も喜んで行くわ、行くに決まっているじゃない」
「ふふ、わたしも」「まあリムリアは来るよな」「アタシもさ、カミラも起きるかもしれないねえ」
と、そこへ遠くから声が!
「勇者殿ーーー!!」
「えっ、リンダディアさん?!」
ドリアードに担がれてやってきた。
「先ほど、エルフ王より正式な報酬が決まりました」
「それで、何を」「エルフの奴隷を何人か」「いらねえ」
奴隷エルフ……痛々しい、
ひょっとしたらエミリの子供達が、
首輪を着けられて来たりして、だったらなお、いらない。
(うん、アストがマザーツリーから分離したら、速攻で帰ろう)




