第170話 エルフ国王に謁見 そこで与えられた褒美とは
「皆よご苦労である、我はエルフ王じゃ」
「「「「「「「「「ははーーーーーーーーー」」」」」」」」」
控えて頭を下げる俺たち人間九人、
あとリンダディアさんも片膝ついて片腕を何だか前で横にしている、
そしてふんぞり返っているアスト、その上は妖精姿のリムリア、更に……
「ねえラスロ、アタシはいつまでこの邪魔な樹を纏ってないといけないのさ」
「ナルガ、しーっ、しーーっ! あくまで『やたらでかいドリアード』ってことになってるんだから」
「ドッチカトイウト、エントダナ」「アイツラユルサネエ」「オレモオレモ」「タテニ、ヒキサイテヤリタイ」
そういや魔界じゃドリアード族vsエント族の戦争が始まるんだっけ、
そのせいでこっちのドリアードもそこそこ減っているらしいのだが、
いやそんな話よりドリアードに擬態しているナルガ、はっきり言ってバレバレだが。
(わかった上で見逃して貰っています)
このあたり、続々とマザーツリーが治っているからね、
特に重傷、いや重症、重体だったのは優先して治療済みで、
ドリアード曰く『春が戻ってきた状態』だとか、みなぎっているらしい。
「そして大精霊アスト様、妖精リムリア様、精霊ドリアードの皆様、
本当に、ほんっとうに感謝しております、本格的なマザーツリーの治療は大戦前以来で……」
「長話は良いわ」「ふふ、エルフの摘まみ食いは我慢、我慢」「ドウデモイイガ、ナルガニナニカクワセテヤレ」
うん、俺たちもそろそろ腹が減った。
「宴は用意しております、ただし、その前に……人間に褒美をやろう」
「ははっ、ありがたく受け取らせていただきます、エルフ王殿」
「本来であれば人間は絶対に踏み込めないこの地、それだけで褒美なのだが……」
知らねえよ、助けてくれって言って来たのそっちだろう、
あくまで陛下に頼まれたから来てやっただけで俺はエルフに用は無い、
もっと言えばそれに付き合わされたアスト達には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「エミリよ」「はい」「そなたを正式に、人間の世界へ円満に戻る事を許そう」
「……ありがとうございます」「円満ゆえ、夫のハルラをエルフの森その内部へ戻すことを許す」
「そちらもありがとうございます、それで」「子に関しては本人の希望通りにしよう、すでに特別に連れてきておる」
その言葉が合図なのか、
どこからかやってきたのは……!!
「お母様!」「かーさまー!!」「ララル! エルノ!!」
おお、娘さんと息子さんだ、
ハーフエルフだからこの子らもここは入れないはずだが、
これも褒美のうちか、エミリに抱きついている……あれ、旦那さんは?!
(どこにも居る気配は無いな)
隠れて見ているとかも無さそうだ。
「あの、お母様、私、やはりお母様と、エルフと人間の森に」
「ぼくもぼくもー、いっしょにかえろー、パパもまってるよー」
ああ、やっぱりそっちで待っているのか。
(ようはみんな、元に戻したいのか)
十一年半、本当に幸せだったのだろう、
計算すれば俺とエミリとのパーティーの倍以上、三倍近い時間を……
これは、いくら王都がマザーツリー復活でエルフ(ハーフエルフ)が過ごしやすくなったとはいえ、無理だな。
「……こうしましょう、ずっと、ずっと手紙のやり取りはしましょう」
「嫌です! どうして、なぜ以前のように」「ねー、もうお仕事おわったー?」
「お願い、私は、私はもう……あぁ、許して、お願い」「お母様……」「かーさまー……」
なんだ、何も進展してないじゃないか、
やっている事は自分の子供に土下座で許しを請うだけ……
一旦戻った時も、ずっとこんな感じだったんだろうなって見透かせる。
(ふう……エミリは諦めるか)
そもそも選ぶって決めてなかったし、
ということはだ、もういっそ旧ハーレムは……
おっと、アストがしびれを切らしたか、移動し始めた。
「もういいわね、ラスロ、食事を貰ったら次のマザーツリーへ行きましょう」
「ああ済まない、そんなに無理しなくていいぞ」「じゃあ帰りましょう」「だな」
「待ってくれ! いや、お待ちくだされ、まだあと、せめてあと十七本」「いや、もう十分ですよね、まともな褒美もないし」
俺は繋ぎ直して元の三階建てになった移動屋敷へ、
新ハーレムの四人もついてきているな、エルフ達は焦っている、
リンダディアさんには悪いが、枯れる危険が迫っている樹はもう無いはずだ。
「ラスロ待って!」「アリナ、アリナ達はエミリと一緒に、エミリの件が解決するまで一緒に居てやってくれ」
「そんな!」「きっちり終わるまで、王都に来なくて良いから」「おいエミリ」「ヨラン、私の気持ちは決まっているわ」
「このネリィめだけでも、ラスロサマと」「叔母さん、パーティーが違いますよ」「移籍しますゥ」「いりません、ね? ラスロ様ぁ」
こうして俺たちは、
旧ハーレムとリンダディアさんを置いて、
お情けでもう一本だけ近くのマザーツリーを治しに行って帰ることにした。
(うん、エルフ関係は、もういいかな)
ちなみにナルガの食事は、
そこいらへんに居た巨大トカゲを捕まえた。
「ナルガ、どっかで焼くか?」
「自分で斬って適当に食べるわ」
「腹を壊すなよ」「心配してくれるのね」「まあな」
……俺の選択が、
結論に近づいたような気がする。




