第161話 体験者は語る サキュバスとお風呂はマジでやめた方が良い
「という事で、無事封印は終わった」
「そうですか、それでどのくらいは持ちそうですか」
「ドリアードの調整次第だが、半年が一番の線らしい」
と会話しているのは、
ドリアード村で待機していたエルフのリンダディアさんだ、
水路を戻ってさっさと到着し、完了の報告をしている所である。
「ではエルフの森へこの後」
「それは良いんだが、仲間がひとりというか一体と言うか、一魔物増えた」
「ふふ、はじめまして、リムリアよ」「サキュバスか」「御名答」「我々エルフとは相性が悪いと聞くが」
初めて聞くな、なぜだろう。
「リムリア、本当か」
「私が聞いた話だと、すぐ吸い尽くしちゃうみたい」
「吸いやすいのか」「瞬殺みたいよ」「リンダディアさん気を付けて」「わかりました」
とはいえリムリアは、
直接吸う相手は俺だけって決めているらしい、
いや、まだ直接吸われた事は無くてだな、はともかく。
「ラスロ様」「おうミオス」
「このまますぐ行くのではなく、せっかくなのでまたお風呂に」
「まあ虫の大群を相手にしたんだ、みんなすっきりしたいだろう」
気分転換にもなるしな。
「あら、じゃあ私も一緒に入るわ」「いや、リムリアはやめておけ」
「ふふ、良いじゃないの減るもんじゃあるまいし」「減る、ある意味、神経が減る」
「あのラスロ様、どうなってしまうのでしょうか」「リムリアはいわば」「入浴剤よ」「あんな入浴剤が、あってたまるか!!」
ということでみんなで巨大風呂、
ナルガが早速、奥でぴちぴちと跳ねていやがる、
獲れたてかよ、いやあんな巨大蛇、齧りたくもない。
(ていうか俺は相変わらず魔物エリアか)
男湯と女湯ではなく、
魔物湯と人間湯で分かれているも、
仕切りは低い衝立のようなもので隣が見える見える、お湯ももちろん繋がっている。
「私は身体を洗うわ」
「おうアスト、ってそれは!!」
「全身に虫が突っ込んで来てるのよ」
ドリアード達がゴシゴシ洗うと、
全身から無数の虫が、生きてるのもあるな、
抱き抱えられた後に少し痒くなったのは、このせいか。
(ちゃんと全部落としてから、湯船に入るっぽい)
まあ、どっちみち俺は入らないからな!
なぜなら……うん、リムリアが先に入って待っている。
「さあ、ラスロ」
「悪いが俺は湯を浴びるだけにしておく」
「かけてあげるわ」「いや、いい、俺はこっちだ」
と、ドリアードのケツからどばどば出てるお湯を直接浴びる、
いやこれ温めているだけじゃなく、ちゃんと濾過もされれいるから、
そのまま飲めるらしい、いやもちろん絵面的にとてもじゃないが飲みたくないが。
「お先に入るわね」
ミオスがやってきた、
距離的に遠くて身体はよく見えない、
いやお湯に入って境まで行けば見れるだろうが……
(リムリアの入っている風呂だが、さてどうなるか……)
脚を入れた瞬間!
「ひっ!!」「どうしたの?!」
遅れてやってきたロズリが心配する。
「このお湯、な、なにか、変」
「普通のお湯に見えるけれど……」
ちゃぷん、と足を突っ込む。
「ひゃあああああ?!?!」
恐る恐る、
足でお湯をかき混ぜるミオスとロズリ。
「どうしました」「ナタリさん、このお湯」「お湯の感触が!」
「では失礼して腕を……これがまるで、お湯がまとわりついているような感じですね」
「こ、こんなのに入ったら」「どうなっちゃうの?!」「それはそれは、とんでもなく気持ちが良くなるでしょう」
そう、リムリアと一緒に入浴すると、なぜかこうなる。
「どうしましたぁ? えーーーい!!」
あっ、状況を聞いていなかったのか、
ハミィが新ハーレムでは最後にやってきて、
何の迷いもなく一気にポチャンと肩まで浸かった!!
「ほわわわわわわわあああああ~~~~~……あっ」
あっ、ガクンと首の力が抜けたっぽい、
沈みそうなのを慌てて引き上げるナタリ、
遠くてよくわからないが、きっとのぼせているのだろう。
(リムリアという劇薬入浴剤ひとつで、こんなにも……)
※あくまでもお風呂のお湯加減が気持ち良かっただけです※
「あらみんな早いわね」
「姪っ子が素っ裸で大の字ですネェ、みっともない」
あーあー、
旧ハーレムのエミリとネリィも来ちゃったよ。
(忠告すべきか……って、もう遅いか)
並んで入っちゃった。
「はああああっ?!」「こ、こっ、これはああああ!!!」
※あくまでもお風呂のお湯加減が@尋常じゃないくらい気持ち良い』だけです※
この後の様子は、
ある意味で聞くに堪えなかったよ……。
(もちろん魔物は平気だ、ドリアード含めてな)
ということで、次はエルフ国かぁ、
アリナの方が心配なんだが、どうなっているか……。
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その頃、アリナは。
「大聖女様、ごぶさたしております」
「……アリナ、怖いの、死ぬのが……」
「私が居た頃は、ある意味、無理に寿命を延ばしていましたが、もう」
しかしアリナの手を握る、大聖女様。
「私を……治しなさい……でなければ……戦争よ……」
「そうは申されましても」「アリナ……これは命令……」
「はぁ、治癒魔法をかけても、これだときりがありませんわね」
後ろでアリナの周囲に警戒するヨラン。
「どうする、今から強行突破か」
「いえ、いま周囲にいるのは『たとえ自分が死んでも』という皆さんです、
これが一斉に相討ち覚悟で来られると」「ではどうする」「助けを待ちましょう」
と、アリナの背中には、
小さな種がくっついていたのであった、




