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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 伝説の女剣士のやり直し 錆びついた剣と言われても愛で研ぎ澄ますのみ!

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第17話 新ハーレムと新らしい出発 旧ハーレムとは再出発

「それでねラスロ、私も思ったんだけど、十二年間、世間を知らなかったのは私も同じで……」

「ラスロ様、魔物が居なくなって平和になったと思ったら対魔物協定を結んでいた北東の三国が……」

「まあ世間と隔絶された世界って意味では同じかもな、昨日の友は今日の敵ってやつか」


 馬車が街を出て数時間、

 俺の左右で別々の話を始めたアリナとミオスに、

 それぞれの内容を同時に聞きつつ、左右に振り分けて言葉を返す。


(何の修行だよこれは……)


 とりあえず『どちらも選ばない』という選択をした俺に、

 双方、旧ハーレムと新ハーレムが同時に押しかけて来た結果、

 俺は両方、平等にかつ出来るだけ一緒に対応する事にした。


「だからお城に帰った時、十二年の月日を一番感じたのは……」

「毎年、魔王討伐記念パーティーというのを王城で行っていたのですが、そこへ来た各国大使も……」

「うん、俺も陛下の老けっぷりにびっくりした、どこも我が国を味方につけたいんだろうな」


 やれば出来るもんだ、

 思い起こせばたったひとりで魔王と一緒に魔界へ飛ばされた時、

 どこまでやれるか、もうこうなったら出来るだけあがいてやろうと腹をくくったら、何とかなった。


(だから、二人同時会話なんて、慣れてしまえば……!!)


「それで私達と再出発するにあたってなんだけれども、ねえラスロ」

「ラスロ様、わたくしどもとの、新しい婚約者との新たなスタートなのですが」

「「結婚式は、いかがなさいますか??」」


 ……確かに陛下は戻ってきたら結婚式、とは言っていた、

 だがおそらくそれは魔界との道を封じる事が出来ればという話だろう、

 そうだ、これをダシに使えば……上手くいくかもしれない。


「二人とも、いやみんなも聞いてくれ、結婚式を挙げるには、

 俺が無理矢理こじ開けてきた、魔界との道を塞ぐ必要がある」

「ラスロ、私の魔力は十二年前と変わってないわ」「私もラスロ様のために!」


 ……実際、俺の見立てだと二人、

 いやネリィとハミィも合わせて四人で、

 なんとか出来る可能性は半々といった所だ。


(最悪の場合、誰かが内側から……いや、これを考えるのはまだ早い)


 犠牲を前提として考えるのは、やめよう。


「きちんと事が解決したら俺は嫌でも結論を出す、だからそれまでは」

「わかったわラスロ、それまでに納得させて見せるわ」

「ラスロ様、結婚式は『私達との』という事で陛下もおっしゃっていましたよね?」


 ……うるさいのはこのW正妻だけで、

 他は大人しいのは両方、よく躾けてあるな、

 そこはありがたいんだけど、でも二人でも十分やっかいだ。


「とにかく平和最優先、魔族への対応、出来れば新魔王討伐が今、俺たちのするべき事だから、

 それだけはどうか、見誤らない欲しい、いいか」「「はいっっ!!」」


 うん、きちんと聞いて欲しい話には素直になってくれる。


「それでラスロ、結婚式のドレスなんだけど……」

「ラスロ様、式の来賓として元婚約者とその夫、子供の席を……」

「だーーーかーーーらーーー!!!」


 そうこうしているうちに山越えの砦についた、

 こっちは魔界から王都へ行く時には通らなかったな、

 何せ整備されていて警備もしっかりしているから通行料が高い。


(通りがかりのボロ馬車に無料乗りさせて貰ったからな、あの商人には感謝だ)


 運転手のダンジュが警備兵と話をしてくれている、

 漏れ聞こえてくる話によれば、山を越えた反対側の砦では、

 すでに魔物が何度か来ているらしく、また村からの避難民もそこそこ来ているらしい。


(これは早く対処してあげないと)


 今更だがいかに帰ってくるためとはいえ、

 自分のした事のいいかげんさに少し腹が立つ、

 まあ、だからこそ陛下もこうやって自分で開けたドアは閉めてこいと……わかって言ってるよな多分?


「すこしおトイレにぃ~」


 あっ、ネリィが降りた。


「じゃあ俺も」「お兄さま、私もです」「……ちっ」


 なぜ舌打ちしたネリィよ。



(……ふう、すっきりした)


 用を足し馬車へ戻る、

 途中なぜかハミィが俺を警備してくれたのは、

 きっとネリィから護ってくれたのだろう、ヤンデレは油断できない。


(十二年前は、されるがままだったけどね)


 その話は、また今度。

 ……あっそうだ、とここで俺はひとつのアイディアが浮かんだ。


「では出発致します」

「ごめんダンジュ待って……アリナ、ミオス」「「はいっっ」」

「席替えだ、俺の隣はヨランとロズリに」


 これで少しは静かになるかな?


「わかりました、ラスロのご要望でしたら」

「ラスロ様、では私はラスロ様の後ろに」

「ええっと、とりあえずはそれぞれの場所、交換でいいかな」


 ついでに三列目も、

 ネリィとハミィは窓側にして隣り合わないようにして貰った。


「それでは行きます」


 警備兵が見送る中、

 ダンジュが馬車を走らせて、

 俺たちは山越えに入るのであった。


「ラスロ、私を思い出すために聞いて欲しい話があるのだが」

「ラスロ様、私の『ラスロ剣』について、いかにラスロ様の影響があるかというと……」

「あっ、うん……」


 まーた両耳をフル回転だな、まあ仕方ないか。


(ええっと、お昼には温泉か、そこで一息つこう)


「ラスロ、聞いているか」

「ラスロ様、聞いてくださいませ」

「はいはい、ちゃんと聞いていますよーーーっと」

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