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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第四章 脱出聖女の後始末 聖女の愛は全てを乗り越えようとしているのか?

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第158話 ついに新魔王誕生 アリナ不在の現場に現れたのは……!!

「ちいっ、やっぱり素早いさね!!」


 やはり最前列で戦うはラミアのナルガ、

 しかし蠅王は煩い羽音を響かせ、巧みに避ける。


 ヴヴヴヴヴヴヴヴヴーーーーー!!!!!


 それに鼓舞されるかのように、

 他の虫型魔物も動きを速くする!

 これには人間の物理攻撃組は、防戦一方だ。


(俺を除いてなっ!!)


 ナルガに加勢する俺!


「挟み撃ちだ!」

「そうさね、そうこないとね!」


 しかしやはり空中戦、

 ナルガも、ドリアード達も木に登って対処するが、

 やはり器用に逃げられてしまう、そして太い針金のような足で……!!


「まったく、魔王らしくないねっ!」

「ヒットアンドアウェイというやつだ、疲れたらかなり上空まで逃げやがる」


 エミリが弓矢を放つが……!!


「駄目です届きません」

「こうなったら奥の手さね」

「どうするんだ?!」「アストに投げてもらうさ」


 巨体のラミアであるナルガを、

 抱えるように持ち上げるアスト!

 そして、全身を反らし、渾身の力で……!!


「はああーーーーっっっ!!!」


 気合いの入ったアストの声!

 勢いよく投げられると同時に、

 ミオスが光魔法で目眩ましを!!


 ブウウウウ~~~ン……


(あっさり避けやがった……)


「あーーもーーーー!!」


 そう言いながらガサガサと森に落ちたナルガ、

 まあ、直に戻ってくるだろう、それよりも……って、あれ?!


「ラスロ、次はあなたよ」「いやアスト!!」


 木の腕で抱えられて、

 ものすんごい長さで遠投の構え!!


「いくわよ!」

「ちょ、おそらくヤツは空気の流れで避けるから、いくら速く投げた所で……」

「えええーーーーーいっっっ!!」「うおっ、勢いが、強すぎるぞーーー!!!」


 あぁ、これでせめてアリナが居てくれれば、

 光魔法の(ネット)を造って、着地地点に……!!


 ヴヴヴッヴゥ~~~~~ンッ


 案の定、

 余裕で避けられた!

 心無しか蠅王が、笑っていやがる気が!!


(くっそおおおおおおおお!!!)


 方向的にナルガが待っているなんてことは……

 あっ、かなりずれた場所で頭から埋まっていやがる!

 くそう、とりあえず受け身を取るしか、しかしこの高さは……!!


(全体がでかいナルガと違い、俺が頭から落ちれば……!!!)


 半分観念した所で、

 突如、俺の身体が何かボヨンとしたものにぶつかり、

 受け止められる! ってこ、こっ、この感触はあああああ!!!


「フフ、ラスロ、もう大丈夫よ」「リムリア!!!」


 この危険な匂い、

 俺を抱き包む体温と抱擁感、

 間違いない、魔界で仲間いや仲魔として戦ってくれた、サキュバスのリムリアだ!!


「来ちゃった」「いやそんな遠距離恋愛の恋人みたいな」

「私の気持ちはそうよ」「そ、そんなことより」「大丈夫、ほら」


 見ると蠅王が、十数人のサキュバスやインキュバスに囲まれている!

 さすがにこの数だと、この人数相手では六本足じゃ対処しきれないようで、

 サキュバス・インキュバス独特の『爪を伸ばした手刀』での攻撃を受けている!


 ブブブブブヴヴヴヴヴゥゥゥゥゥーーーーー!!!!!


 蠅王も、仲間を集めるが人間の魔法組が、

 全体魔法で阻止してくれている、低い位置はドリアード達も!

 そうこうしているうちに、蠅王に群がるサキュバス・インクバスの攻撃は激化し……!!


 ヴヴッ、ブブブブブ~~~~ーーーッッッ……!!


「おっ、羽根がボロボロになって、墜落した!」


 そして落下した蠅王を、

 ロズリの剣、ナタリのカタナ、

 そしてナルガが持つツルギで……!!!


「やあああああ!!!」

「とどめですっっっ!!!」

「終わりさねーーーっ!!!」


 濃い紫の血を噴出して、

 蠅王は……動かなくなった!!!


(やった、勝った!!!)


 新しく誕生し、

 人間界へとやってきた魔王を、

 俺達は、無事に退治したのであった!!!


「ラスロ! 良かったわ」

「リムリア! ……ありがとう」

「さあ、怪我人が居たら治しましょう」「お、おう」


 勝ったのは良かったが、

 いや、あきらかに予感はしていたというか、

 話の流れから察してはいたが……ついに、とうとう。


(リムリアまで、やって来ちゃったかぁ)


 みんなに紹介しなきゃな。

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