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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第四章 脱出聖女の後始末 聖女の愛は全てを乗り越えようとしているのか?

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第154話 現状と対策 ふたつの選択があるようだが、ってお前、司会進行もするのかよ!

「トイウコトデ、フウインハアクマデ、チジョウブブンマデダ」


 お風呂上がりに集まった別の水上コテージ、

 どうやらこの建物は巨大会議室らしく皆で現状と対策確認、

 巨大な樹のボードに引っ掻くように絵が、図解が描かれている。


「というこは、内部は」「オウミオス、ムシガタノテキガ、ジョジョニジョジョニトカシテイル」

「溶かしてるということは、空洞に」「オウロズリ、タテニイッチョクセンノ、モハヤデカイアナダ」

「それは壁を上り下りできるのですか?」「オウナタリ、ニンゲンハムリダナ、ワレワレナラナントカ」


 ってドリアードが普通に司会進行してやがる、

 それに真面目に質問する新ハーレムのミオス、ロズリ、ナタリ、

 エミリもネリィもハミィも真剣に聞いている、そして俺はというと……


「ラスロが降りるなら私が運ぶわ」

「アスト、ありがたいが俺は魔界へ戻るつもりは」

「一度、戻って見るのもいいさね、大きな忘れ物もあるからね」


 魔物椅子状態のアストに座らせられている俺、

 その周囲を囲むように身体をくねらせるナルガ、

 あと一応、リンダディアさんも聞いているが、なんというか、色んな意味で引いている。


(うーん、ちょっと真面目に考えよう)


 魔界と繋がっていたダンジョン、

 いや、もはや繋がり直ったダンジョンだが、

 その封印は例の光魔法で地上部分から強引に抑えつけている状況だ。


(つまりダンジョン内部は、魔物がもうすっかり食い荒らしたようだ)


 ダンジョン自体を喰って完全空洞にするとか、

 いやはや昆虫系魔物は恐ろしい、ただそこを多少は難儀しているようだが、

 普通に大量に出入りしているドリアード達もやっぱり強いし凄い、いや本当に大丈夫なのか?!


「ドリアード」「オウラスロ」

「ダンジョン、魔界ゲートか、大変なことになっているな」

「ソリャアモウ、オオサワギヨ」「正直に答えて欲しいのだが」「ナンダ」


 俺は一息ついて、

 覚悟を決めて聞く。


「犠牲者は」「ニンゲンカ? ゼロダ」

「いや、ドリアードの」「ソレモゼロダ」

「本当にか? 嘘はついていないか?」「ソンナニ、ヤワジャナイ」


 椅子になっているアストを見上げる俺。


「本当なのね?」「ハハッ、ウソハツイテオリマセン」

「だそうよラスロ」「怪我とかは」「シンコクナノハ、アストサマニハコンデ、ナオシテモラッテイル」

「そうだったのか?!」「ええ、今までそれで死んだのは居ないわ、安心して」「心配性さね、ラスロは」


 どうやら本当に犠牲は無いらしい。


「良かった、ならいいんだ、

 ドリアード、俺のせいでお前たちが一体でも死んだら、

 俺は普通に悲しい、普通に泣く、普通に嘆く、だから無理はしないでくれ」


 やべえな俺、

 魔界ではここまでは感情移入しなかったのに、

 どうしたんだろう、待っていると信じていた旧ハーレムに裏切られていたからか。


「ラスロ」「おうドリアード」

「ワレワレノコトナンテ、ドウデモイイ」「いやそれは」

「ダカラ、アストサマヲタイセツニ、ダイジニシテホシイ、ソレガ、ネガイダ」


 怖いドリアードの顔が真面目だ、

 いやそんな気がする、怖いは怖いが。


(すげえ忠誠心だな相変わらず)


 アストのためなら、

 こんな街まで造るくらいだ。


「わかった、その話はわかった」

「ワカッテクレテ、トテモウレシイゾ」

「それで再封印の作戦としては」「センタクシハ、フタツダ」


 具体的な話が出て来た。


「はず、ひとつめは」

「コッチガワノ、フウインヲ、アツクカタクツヨクスル」

「厚く、硬く、強く……そもそもの俺たちの作戦だな」「ワルクハ、ナイ」


 ドリアードが及第点をくれたよ。


「では、ふたつめは」

「オクニハイッテ、マカイガワニモ、フウインスル」

「……それって元々、アスト達の仕事では」「ヤハリ、ゲンカイガアル」


 つまりは多分、

 魔物が魔物に封印魔法をした所で、

 同じ魔属性だから防ぐにも限界がある感じか。


(やはり人間の聖なる魔法は、別格なんだろう)


 だが、そうなると……


「やはり危険だ」「ダナ」

「特にミオス」「私、私がですか」

「経験が無さ過ぎる、若い、何より失いたくない」「まあ」


 奥に入って二重封印するにしても、

 やはりミオスは必要だ、もちろんハミィも、

 ネリィも、そして今、来ていないアリナだって……。


「で、新しい魔王は、やって来そうなのか」

「チェックハ、シテイル」「警戒はしていると」

「イッソ、タオシニイクカ」「いや、魔界へ戻るのは」「私も一緒に行くわ」「アタシもだよ」


 アスト、ナルガは行く気満々だな、

 だがそれは帰りたいだけでは、もっと言えば、

 俺を魔界に連れ戻したいだけではって思ってしまう。


(魔物ハーレムを選ぶ選択肢……)


 そんなのあるのか?!

 新旧ハーレム両方に改めて裏切られ、

 もう誰も信じられなくなり、自暴自棄になってとか……


(さすがにそれは、嫌だ)


 だからといって、

 せっかく来てくれたアスト達を無下にする気もない。


「トニカク、イクナラヨアケマエダ」

「この後か?!」「ムシノテキハ、クラヤミニヨワイ」

「だから朝日の前に、と」「コレカラハ、カミンジカンダ、ヨイナ?!」


 まあ、せっかく来たんだ、

 アリナと早く合流するためにも、

 さっさと再封印を終わらせて王都へ戻ろう。


「わかった、では今夜出発か」「イマカラダ」「ええっ?!」


 もうかよ。

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