第149話 ようやく話は終わった しかしここで別行動になるとは
「ラスロ、話はついたわ」
ようやく終わった会話、
いや俺は途中で飽きてドリアードと雑談していた、
色々と懐かしい、魔界での話とかも、まあ色々と。
(とはいえ、どの個体がどれか、さっぱりだ)
つまりはそれぞれの特定ができない、
それでも話を無理にでも合わせてくれるのは、
やっぱり良いヤツだ、顔は子供が泣くけど……慣れれば懐くのも居る。
(ネリィの子供はともかく、話を戻そう)
というか本題だ。
「それでアリナ、どうなったんだ」
「私が行くわ、それで瀕死の聖女様を治してくる」
「護衛に私がついて行こう」「ヨランもかぁ」「出来るだけ早く戻る」
前衛のヨランはともかく、
封印結界魔法の中核であるアリナが欠けるのは痛い。
「アリナ、すぐに戻って来られるか」
「ええ、マベルス修道院も世界の危機を放置するほど、愚かではないはずよ」
……その修道院を破壊してきた聖女が言うかっていう、
まあ事情が変わったから仕方なくではあるのだけれども。
「では終わり次第、ラグラジュ大森林へ直で来てくれ」
「デハ、オレタチガナンニンカ、ツイテイコウ、カツゲバスグダ」
「確かにな、王城専用のドラゴンを除けば最速だ」「おいおい、魔物が来るのか?!」
聖騎士団長が、
あきらかに嫌がっている。
「ブライ聖騎士団長さま、では聖域の手前までなら」
「……視界の入らない位置にな」「はい、ドリアードさんたちも」
「ラスロガ、イヤ、アストサマガヨイナラ」「行ってあげなさい、あと代わりに心当たりはあるから」
ナルガの言う代わりってアリナのか、
そうなると……いや、真っ先に思い浮かべた姿は振り払おう。
ということでドリアードは八体がアリナとヨランについていくようだ。
「トチュウデ、フタリヨウノ、コヤヲツクッテヤロウ」
「ああ、雨が降ると濡れるからな、頼んだ、お前たちも無事に合流してくれ」
「ではラスロ、行ってくるけど私が着くまで無理はしないでね」「アリナの警備は任せてくれ」「ああ」
ということで去って行ったアリナ達、
聖騎士団もみんなついて行った、良かった、
これでとりあえず王都は大丈夫か、揉めないで済みそうだ。
「ではラスロ様」「ああミオス、っていうかナルガ、もういいぞ」
土の中から這い出てきた。
「人間を食べるのはお預けかい?」
「いや喰うな、もし喰うなら最初は俺にしろ」
「そういう意味で喰うと言ったんじゃないさね」
……さて、本来の移動屋敷に入ろう、
運転席もとい前方窓席はエルフのリンダディアさん、
あそこもあそこで個別に小さいトイレが作ってある。
(見たらびっくりするだろうな)
まずミオス、ロズリ、エミリが入り、
ネリィとハミィが入ってナタリで扉を閉める、
そしてナルガは屋敷の側面を這って登り、俺はアストに持ち上げられて天窓へ。
(最後にアストが入って、屋敷がドリアード達に持ち上げられた)
そして走り始める、
遠目で見てた城の衛兵が敬礼してるな、
と外を眺めていた俺をアストがベッドへ引き寄せる。
「さあ、到着まで、いちゃつきましょう」
「そういうことならアタシもさ、さあ、しばらくは」
「ちょ、少し落ち着いたら下でみんなと話をさせてくれ」
ということで二手に分かれての出発だ。
「それよりアスト、エルフ達の樹を治す対価は?」
「あっ、エルフからアストへ支払うんじゃ駄目なのか」
「当然よ、私はラスロの命令、お願いでやるんだから、もう」
数が数だ、
マザーツリーが四十何本だったっけ。
「……やはり俺はついていかないと、だよなあ」
「あら、だったらアタシもついていくさ」「そうなるか」
「それで正式な対価は」「そうだな……まあ、一緒に考えるか」
時間つぶしにもなるしな!
「ねえラスロ」「どうしたアスト」
「ついでに婚姻についても、もうちょっと詰めましょう」
「あ、ああ、もう少し、本当にもうちょこっとだけな」「ふふふ」
……色々と、追い詰められてるなあ。
(いや本当に、どうなるんだよ俺は)
決断はしないといけない、
うん、旧ハーレムを取るか、
新ハーレムを取るか、それとも……?!




