第147話 いよいよ出発 と思ったら、まさかの意外な展開が待っていた!
王城で謁見の間、
例によって俺の両サイドにはアリナとミオス、
さらに後ろには旧ハーレム、新ハーレムの残りの面々。
(そして俺の頭上には、アストの種が芽を出している)
みんな勢ぞろいで控えている、
いやナルガもきっとアストと一緒に控えているだろう、
この場合の『控えている』は、普通に待機している感じだろうけど。
「皆よ、今回も頼むぞ」
「ははっ、陛下、お任せ下さい」
形だけのご挨拶、しかし面目は大切だ、
国民に安心感を与えるだけでなく今回の場合、
王都に魔物が住んでいる事への批判をかわす目的もある。
(お城まで建てちゃったからね)
歓迎しているのはマザーツリーを治してくれただけでなく、
超ご機嫌にしてくれた事に感謝しているエルフの皆さんくらいか。
あ、あとドリアードに世話して貰っているネリィの子供達、パパー! って懐き過ぎだろう。
「今度の封印が成功すれば、以前より長い期間取れるのだな?」
「はい、最低でも三か月、長ければ半年か一年は持たせたい所です」
「さっさと終わらせて平和にしようぞ、魔物の心配の無い世界に、な」
あ、俺の頭上の種(芽)が激しく動いている、
これは怒っているな、後でフォローしておかないと。
(アスト達は心配はされてないよ、とか)
まったく面倒臭い。
「では勇者ラスロよ、平和になった時の褒美は」
「はい、それは真の平和になった時に言わせていただきます」
「しかしそれでは準備が」「手間は取らせませんし、平和になること自体がご褒美です」
ほほう、という表情の陛下、
実はまだ考えてないだけなんだけどね褒美なんて!
(新旧ハーレム、そちらを選ぶかで決まるかも)
だから、まだ選べて無いので褒美も決まりません。
「では聖女アリナよ、平和になった時の褒美は」
「はい、やはりラスロとの、終の棲家をお願い致します」
「うむ、考えておこう、ラスロとも相談してな、なあラスロ」「ははっ」
なんだか俺に投げられたような気がする。
「では賢者ミオスよ、平和になった暁の褒美は」
「はい陛下、小さい領土で構いません、ラスロ様と生活できる場所を」
「ふむ、考えておこう、ラスロともよく相談してだがな!」「は、ははっ」
……これ、次はヨランとロズリに行くのか?!
全員やってたら時間かかるな、このあと見かけだけの馬車で出発、
王都を出たら待たせているドリアード達、その移動屋敷に乗っているアストとナルガと合流なのだが……
(ん? なんだなんだ、外が騒がしいぞ?!)
見ると外への出入口から、
衛兵が慌てて駆け込んで来た!
「陛下、陛下ーーー!!」
「なんだ騒々しい、勇者一行の出立式であるぞ」
「それが、それが……敵が攻めてきましたっ!」「な、なんだとおおおおお?!?!」
敵ってまさか、
新たな魔物かー?!
「して、その敵とは」
「はい、北方からやってきた、マベルス修道院からの聖騎士団です!」
「すなわちそれは」「はい、『憎きアリナを出せ』との伝言が、いかがなさいましょう」
あー、破壊してきた修道院か、
態勢を立て直して復讐に来ちゃったか、
これから再封印という大切なタイミングで……!!
「では行ってきます」「アリナ?!」
「これは私の案件です、私ひとりで片付けてきますね」「おいおいおい」
「すぐに終わらせますから、その後、すみやかに出発しましょう」「いや、そんな」
魔界ゲートに対応するための、
これから繰り返されるであろう大切な封印作業、
その出鼻をくじかれた、アリナの元修道院からの襲来。
(いやこれ、どうなるんだろう)
俺と十二年ぶりにやり直したい崩壊した旧ハーレム、
新たに陛下から任命されて俺と新しく生活を始めたい新ハーレム、
そして魔界からやってきて、更に数が増えそうな魔物ハーレムたち……。
「ラスロ、愛しているわ」
「ラスロ様、お慕いしております」
俺はこれからどうなるのか、
そして最終的な結論をどうするのか?
それはまだ、俺にもわからない……決めるのは、俺だ。
(とはいえ、どうして良いか、わからねえ)
そんな状態、状況で、第四章へ続く。




