第145話 決戦に備えて寝よう と思ったらまたしても、これはやはり誰の仕業かといえば……!!
「よし、明日朝の出発に備えて今日は早めに眠ろう」
「ええラスロ、一緒に寝ましょう」「何があっても、すぐ起きてみせよう」
「なんなら朝まで抱きしめてあげても良いのよ?」「結界魔法は、ばっちりですゥ」「いやいや」
俺の寝室、
そこなぜか集まっている旧ハーレムのみんな、
なんでも突然、俺が居なくなった原因を探りたいらしい。
(前回、アストに連れ去られたのですよ)
気が付くとアスト城で、
いつ、どうやって連れてこられたかはわからない、
それはアリナ達も同じで、どうやら今回は警戒してくれるらしい。
「その、俺を警備してくれるのはありがたいが、密着はしないでくれよ」
「懐かしいわ、十二年前、結界を張った廃屋でみんなで眠ったのを、憶えてるわよね?」
「あの時はみんな疲れ切っていたが、ラスロと一緒のおかげで癒された」「軽く抱きしめてあげたわ」「あれ以上のコトを……フフフフフ」
ネリィは何を妄想しているんだか。
「まあ、何事も無く朝を迎えたらそのまま出発だから、
緊張してなかなか寝付けなくて、やっと眠ったら全員で寝坊、
などということには、ならないようにな」「それは衛兵に言ってあるので大丈夫ですわ」
しっかりしているなアリナ。
「では灯りを暗くしよう」
「ええ、ラスロは先に寝てくれて良いわ」「しっかり見張っておこう」
「温もりが欲しかったら言ってね」「ラスロサマの寝顔があああァァァ……アンッ」
さて、ラグラジュ大森林での再封印、
封じる前にどうやって空いたかも調べないとな、
もし本当に新魔王が誕生したなら、対処すべきかどうか……
(まあいいや、明日考えよう……おやすみぃ……)
……ZZZzzz……
そして、夢を見た。
「ごめんみんな、やっぱり俺は新しいハーレムと家庭を作るよ」
「そんな! 私達はラスロのために」「待てなかったのが、そんなに許せないのか」
「間違いは誰にでもあるわ、騙された私も悪いけど」「ラスロサマ、ネリィはラスロサマなしでは生きていけませェン!」
旧ハーレムのみんなが手を伸ばすが、
俺は新ハーレムのみんなと一緒に去る。
「……そうですか、では私は再び、修道院に籠ります」「私も西の、ジョルジール侯爵家に戻るとするわ」
「私のこうなったらエルフの森へ、あぁハルラさん、また抱きしめてあげる」「はぁ~い子供みんな集合、東へ帰りますよおぉ~~~」
「ちょ、切り替え早いな」「そうです、今度こそ本当にラスロを失ったのですから、またみんな元の場所へ」「戻るだけだ」「戻るわ」「戻りますぅ」
あっさりと消えて行く旧ハーレムの四人。
(……なんだかな、これ、俺が望んだことなのに、なんだろう、このモヤモヤは)
心に大きな穴が、
ぽっかりと空いた気分だ。
「人間なんて、そんなものよ」「リムリア!!」
目の前に夢魔、
サキュバスのリムリアが浮かんでいる、
魔界で一緒に魔王を倒し続けた仲間(仲魔)だ。
「人間なんで、簡単に裏切ったり、あきらめたりするものよ」
「いやそんな、でも俺には新ハーレムが……あれっ、ミオス?!」
「ふう、『ざまぁ』を堪能できたので、私達はこれで」「胸がすっとしました」「では暗部に戻ります」「叔母のあの顔が見られて満足ですぅ」
みんなが、
選んだはずの新ハーレムもが去って消えて行く……。
「ラスロ、さあこっちよ」
「やっぱり一緒に魔界へ戻るさね」
「アスト、ナルガ……リムリアも……あっ、カミラ!!」
いや、これはあきらかに、おかしい!!
「ねえラスロ、私達は人間と違って、絶対に裏切ったりは……」
「リムリア、こんな夢を見せて、どうするつもりだ……俺は、俺は」
「私はどんな夢だって見せてあげるわ、ラスロの見たい夢、そして……私の見せたい夢……また逢いましょう、今度は……」
と、ここで目が醒めた。
「おはようラスロ、今日は出発でしょう?」
「アスト……またアストの寝室に、いつのまに!」
「だから言っているじゃないの、その気になればラスロをいつでも好きに出来るって」
ナルガもベッドの上でクネクネしている。
「おはようさ、ラスロの寝顔は相変わらず可愛かったさね」
「……アリナ達が俺を見張っていたはずだが、さてはリムリアが眠らせて」
「ふふ、ご想像にお任せするわ」「さあ朝食をいただいて出発しようかねえ」
やはり魔物は恐ろしい、
それは味方になっても、
更に、ハーレムになったとしても。
(あまり考えなかったが、今にして思えば……魔物ハーレム、か)
いや、考えるのは四人、違う、四体揃ってからだ。
新作『VIVA! 地味ハーレム ~異世界転生したのでひたすら地味に生きて行こう~』
スタートしました、現在第5話までアップ、とりあえず毎日2話更新目標で頑張りますので皆様、是非!




